白黒ハッキリつけましょう 19
「それでは、ルールなので私の言うことを一つ聞いてもらいます」
「うっ…はい……」
イーリスは諦めたように視線を下げる。
…さて、何にしましょうか……
「……そういえば、こんなことになったのって、そこのイーリス嬢の魔法のせいだよな?」
そのとき、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。
辺りはレオン殿下のおかげである程度静かになっていたので、自然とその声が全体に響き渡る。
「確かに…あの魔法のせいで俺たちは危険な目にあったよな…」
「そもそも、あんな危険な魔法をこんなところで使うなんて、いったい何を考えているのかしら…」
「つまりなんだ?イーリス嬢が悪いってことか?」
「…そうだよ、イーリス嬢が悪いんだ」
「あんな危険な魔法をこんなところで使うから、俺たちがみっともなく逃げる羽目になったんだ!」
「そうだ!イーリス嬢が悪い!」
「そうだそうだ!」
…え?いったいなんですか、これ?
たった一つの小さな声だったはずなのに、それが徐々に大きなざわめきになって、次の瞬間にはイーリスを糾弾する巨大な集団みたいになっている。
「聖女のくせに!責任とれ!」
「そもそも気に食わなかったんだ!聖女だからって偉そうにしててよ!」
「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
「お前なんか聖女の資格なんてねぇよ!」
「平民なんてまともな教育も受けてないやつを聖女にするなんて、そもそもおかしいと思ってたんだ!」
「何が聖女だ!この薄汚い平民のくせに!」
あらゆる怒号が飛び交う。
模擬戦用の広場はもはや、糾弾と非難の嵐になっている。
その中には、イーリスの聖女の資格や、さらにはイーリスの生まれまで否定するようなものまであって、とても聞くに堪えない。
「ひぃぃぃぃっ!ごめんなさいごめんなさい!」
イーリスも完全に怯えてしまって、その場に座り込んで縮こまってしまっている。
……なんだこれ?
なんだか無性にイライラする。




