↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/29

第2話 スキル選定日

スキル選定の儀は、王城最大の聖堂で執り行われた。

十三歳となる王族の少年たちが、神々の加護を受けて“その才能”を示される神聖な日。


天蓋の下、整然と並んだ席に、王と王妃、重臣たちが座っている。

その中で、三人の王子たちが順に祭壇へと進み――スキルの審判を受けていく。


最初に立ったのは、第一王子・レオン。


彼が手をかざすと、剣のような光が天から舞い降り、彼の頭上に宿った。


『戦神の剣(ウォーゴッドブレード)』


会場にどよめきが走る。

「王の器」「まさに軍神」と、口々に称賛があがる。


次に進み出たのは、第二王子・ジーク。


彼の前に現れたのは、万華鏡のような光の球。輝きが分裂し、知恵の印となった。


『千智眼(サウザンドサイト)』


王都の評議員たちが頷く。「内政の要」「国を導く頭脳」――誰もが納得の一手だった。


そして、三男カイの番が来た。


カイは少し緊張しながらも、笑みを浮かべて祭壇に立つ。


両手を差し出し、天に祈る。


その瞬間──


小さく、そして淡い光が彼の手のひらに宿った。


剣ではなく、知識でもなく。

まるで“何にでもなれそうで、何にもなっていない”ような光。


そして告げられたスキル名は――


『勇者(ブレイヴ)』


……沈黙。


誰もが、言葉を失っていた。


やがて、ジークが小さく鼻で笑う。


「……器用貧乏の極みだな」


レオンは興味すらなさそうに背を向ける。


「何でも“そこそこ”できるが、“何一つ”極められない。

 それが“勇者”だと? ふざけているのか、神は」


カイは混乱していた。


剣も使えると聞いた。魔法も、回復も、知識も――全部対応している。


なのに、なぜ。

なぜ皆、こんなにも冷たいのか。


「……何でもできるのに、なんでダメなんだ?」


誰にも答えは返ってこなかった。


その夜、母・リシア王妃だけが、カイの部屋をそっと訪れた。


「カイ。あなたは、誰よりも自由な子よ。

 人を守るのに、剣だけが必要なわけじゃない。

 “勇者”は、そういうスキルなんだと……私は思うの」


その言葉だけが、カイの心に残った。


だが、その母も――間もなく病に倒れ、この世を去ることとなる。


スキル“勇者”――

誰からも理解されず、誰にも期待されない力。

それでも、カイは心に刻んだ。


「オレは、オレのやり方で、誰かを守る勇者になる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。