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第10話 第四層・ミスリルの光


第三層を抜けた先に待っていたのは、

重く冷たい空気と、澄んだ鉱石の輝きだった。


「……これが、ミスリル……」


四方の壁に無数の鉱脈が走る。

それは青白く発光し、空間全体を幻想的に照らしていた。


(不思議だ……温かい……でも、厳かな感じもする)


調律槌を取り出す。

ガルドから託された、ミスリルを“共鳴”で見分けるための道具。


軽く打つ――

キィィン……と澄んだ音が鳴った。


「反応あり……よし、これで――」


そのとき。


「――試練の地に、足を踏み入れるとは」


低く、地を這うような声が響いた。


カイが振り返ると、

鉱脈の中央、崩れた岩の上に“鎧のような何か”が立っていた。


それはまるで、“意思を持った金属”だった。


重厚な全身装甲、顔のない兜、

そして腕には“鉱石でできた大剣”。


「汝、ただの盗掘者ならば、この地で果てよ。

 されど――真に“鍛える”ために来たならば、我が刃を超えてみせよ」


カイは剣を構えた。


「……あんたが、この層の守護者ってわけか」


「名は《ミスリルの衛兵(ガーディアン)》――我が身は鉱石、我が使命は選定。

 未熟な者には、ミスリルは応えぬ」


「なら――力づくで証明するしか、ないな!」


最初の一撃は、圧倒的だった。


その大剣は、まさに“鉱山ごと断ち割る”重みと精度。

風圧だけでカイは数歩押し戻された。


(この力……さっきの魔族のほうが“禍々しかった”けど、

 こいつは“純粋な強さ”で押し潰しにくる)


一撃一撃を、受けずに流す。

封印状態の今、真正面から受ければ骨が砕ける。


ステップ、回避、斬り返し――

しかし、剣が“通らない”。


(金属の鎧じゃない……こいつ自身が、鉱石の“魂”なんだ)


ならば。


「この剣で、お前の“意志”を断ち切る!」


呼吸を整え、一瞬だけ気配を消す。

それはセランに叩き込まれた“流れを断つ剣”。


一歩。


二歩。


一閃!


剣が、ガーディアンの肩口に食い込んだ。


ギィィン……!


その音が、空間全体に響く。


そして――


ガーディアンは、背後の岩壁に倒れた。


「見事だ。勇者よ」


声はもはや、どこからでもなく、空気に溶けていた。


「汝が鍛えしその刃は、真に“仲間と歩む者”の剣。

 ならば、ミスリルは応えよう」


カイの足元の岩が崩れ、

そこから、淡く光る“純粋ミスリル結晶”が顔を出した。


「……ガルド。これで、お前と最高の剣を作るよ」


カイは結晶を抱きかかえ、帰路につく。

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