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第8話 第二層・群れの支配者


ゴブリンダンジョン・第二層。

そこはまるで“地下村落”のように広がっていた。


(……天井が高い。音が反響しない構造……隠れ家に向いてる)


視線を走らせれば、崩れかけた石の柱、火の灯らぬ燭台、無数の獣骨。

その隙間から、複数のゴブリンたちがこちらを窺っていた。


「数は……10体以上。下手に動くと一斉に来るな」


(まずいな……封印がある今のオレじゃ、連戦に耐えられない)


だがそのとき――


「――ギギャァアアッ!」


一際大きな声とともに、奥から現れたのは

鋼の槍を携え、肩幅広く、全身に白い骨飾りをまとう一体のゴブリン。


「……ボス、か」


背後にいた他のゴブリンたちが、その出現と同時にぴたりと動きを止める。


(“支配型”か……こいつが司令塔だ)


明らかに知性を帯びた目で、カイを見据えてくる。

通常のゴブリンとは格が違う“リーダー種”――


《群れ統べるゴブリン・リーダー》


「……やるしかねぇか」


剣を構え、深く息を吸う。

ここまでの修行、すべてを込めて。


「行くぞ、“カイの剣”!」


先に動いたのはゴブリン・リーダーだった。


槍を突き出しながら跳躍し、上段から叩き潰すような一撃。

カイは紙一重で回避し、すかさずカウンターを狙う――が、


「――ッ!?」


刹那、槍がカイの太刀筋を遮るように逆手に振られた。

鍛えられた戦闘本能――いや、経験だ。


(こいつ……ただの化け物じゃない。戦い慣れてる!)


距離を取り直し、周囲の地形を確認する。


(ダメだ、正面からやっても削り負ける……なら)


カイは低く構え直した。


ステップ。右足から巻き込むように左――


ゴブリン・リーダーの槍が動く。


読まれている。

それでも――


「……だからこそ、踏み込む!」


カイは剣を投げるように振り抜いた。

その動きに、一瞬、槍を振るい遅れる。


(今だ――!)


がら空きになった脇腹へ、カイの剣が突き刺さる――!


「ギギャアアアァァ!!」


呻き声とともにゴブリンリーダーが後退する。

それと同時に、支配されていた周囲のゴブリンたちが一斉に暴走を始めた。


(やば……まだ全員残ってた……!)


囲まれた。だが、カイは笑った。


「オレは、“群れ”より強い。だって――」


「オレは、“友”と作った剣で、戦ってるんだからな!」


剣を構え、再び跳び込む。


戦いが終わったのは、数分後。


カイは血と汗にまみれながら、倒れたギザラの槍を手に取った。


「ふぅ……ミスリルは、まだ先か。……行こう、第三層へ」


地の奥へ、静かに続く石段。

そこには、さらに深く、さらに危険な闇が待っている。

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