第3話(新規) 最初の一本
翌日、ガルドは朝からカイを引っ張り回していた。
向かった先は、グレイル鍛冶師協会の一角――無骨な炉と、鉄の香りが満ちた鍛冶場。
「うっわ……暑いなここ」
「当たり前!ここは命を打つ場所だからな!」
小柄な体で大ハンマーを振るうガルド。
その背中はまだ子供なのに、なぜか妙に“格好良かった”。
「見てろ、カイ。
これが……おれっちが初めて“誰かのため”に打つ剣だ!」
炉の中に赤く光る鉄をくべ、音と熱の中で火花が散る。
汗だくになりながら、ガルドは黙々と打ち続けた。
「この金属は《青鋼》。ミスリルには劣るけど、十分使える。
形も重さも、カイに合うようにバランス調整してるんだ」
「オレに合う剣って……そんなの分かるのか?」
「わかんねーよ。けど、見てたんだ。あんたが戦ってるときの“間合い”も、“足の使い方”も!」
カイは剣を握る。
どこか、軽すぎず重すぎず――“自然”に近い感触。
「これが……オレの剣……?」
「いや、まだ“試作一号”。でもここから、おれっちと一緒に探してこうぜ。
お前にとっての“本当の剣”ってやつをさ!」
カイは、剣を鞘に収めた。
「ありがとな、ガルド。
これ、ちゃんと“使って”返すからさ。
……いつか、すげぇ剣に育てようぜ」
「へっ、当たり前じゃん!“世界一の鍛冶師”がついてるんだ。
あんたの剣、必ず“伝説”にしてやるよ!」
二人の少年の約束――
それは、遥か後の“聖剣との対峙”へとつながる小さな始まりだった。




