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# 最終話 ## 「勇者やめようかと思ったけど」

# 最終話


## 「勇者やめようかと思ったけど」


破滅竜ヴァルガスとの戦いから一か月後。


世界は平和を取り戻していた。


人間と魔族の交流も始まり、


王都には魔族の商人が訪れ、


魔界には人間の冒険者が観光に行くようになった。


千年前の勇者と魔王が叶えられなかった夢。


それが今、実現しようとしていた。


---


そして。


ユウトは王城の庭園に呼び出されていた。


嫌な予感しかしない。


目の前には――


リリナ。


エリス。


ルナ。


ミレア。


クロエ。


五人が並んでいた。


全員真剣な顔。


「勇者様」


リリナが前に出る。


「今日は決着をつけます」


「何の?」


「誰がお嫁さんになるかです」


「やっぱりかぁぁぁ!!」


---


逃げようとした。


だが。


後ろには魔王。


王様。


グレイ。


騎士団長。


連合軍の将軍たち。


なぜか観客席まである。


「逃げるな勇者」


魔王が親指を立てた。


「世界を救った男だろう」


「こんなの聞いてない!」


---


最初に前へ出たのはリリナ。


「勇者様」


赤髪を揺らしながら笑う。


「私、昔は盗賊だった」


「うん」


「でも勇者様と出会って変われた」


リリナは少し照れた。


「だから好き」


会場がざわつく。


---


次はエリス。


「勇者様」


銀髪の四天王は真っ直ぐ見つめる。


「私はずっと強さだけを信じていました」


「うん」


「でもあなたは違った」


エリスは微笑む。


「優しさも強さだと教えてくれた」


そして頬を赤くする。


「好きです」


---


ルナも前へ出る。


「勇者様!」


魔王の娘らしく元気いっぱいだ。


「私は最初から好きだった!」


「知ってる」


「今はもっと好き!」


ルナは満面の笑顔だった。


「だからお嫁さんになります!」


「断定!?」


---


ミレア。


王国の聖女。


「ユウト様」


少し緊張している。


「あなたといると安心するんです」


優しい笑顔。


「世界で一番」


そして小さな声で。


「好きです」


---


最後はクロエ。


「勇者様」


いつも余裕そうな彼女も今日は真面目だった。


「私は人を信用したことがありませんでした」


静かな声。


「でもあなただけは違いました」


クロエは微笑む。


「だから好きです」


---


全員の告白が終わった。


静寂。


皆がユウトを見る。


魔王も。


王様も。


世界中が見ているような気がした。


「えっと……」


ユウトは頭を掻く。


そして笑った。


---


「俺」


「勇者を辞めようと思ったことがある」


全員が驚く。


「敵にモテるし」


「毎日騒がしいし」


「命も狙われるし」


五人が苦笑する。


確かにその通りだった。


---


「でも」


ユウトは空を見上げる。


平和な青空。


守りたかった世界。


仲間たち。


全部そこにあった。


「今は思う」


「勇者になってよかった」


五人が微笑む。


---


そして。


ユウトは続けた。


「だから」


皆が息を呑む。


「今は誰か一人を選べない」


「え?」


「みんな大切だから」


沈黙。


数秒後。


---


「つまり!」


ルナが叫ぶ。


「全員チャンスあり!?」


「そこなの!?」


「負けません!」


「望むところです!」


「勇者様覚悟してください♡」


「長期戦ですね♡」


五人が燃え始めた。


---


ユウトは頭を抱えた。


結局。


何も終わっていなかった。


すると魔王が肩を叩く。


「頑張れ」


「他人事ですね!?」


「私はもう結婚しているからな」


「ずるい!」


---


その時。


空から花びらが舞った。


人間と魔族。


二つの種族が笑い合う。


世界は平和になった。


そして勇者ユウトの日常は――


これからも騒がしいまま続いていく。


---


# エピローグ


数年後。


ある歴史書にはこう記された。


> 勇者ユウトは人間と魔族を結び付け、

> 世界に平和をもたらした英雄である。


そしてその下には小さく、


> なお、結婚問題は最後まで解決しなかった。


と書かれていた。


「誰だこんなの書いたのーーー!?」


勇者の叫びは、


今日も世界に響いていた。


**完**


---


## 続編予告


### 『勇者を引退したのに、なぜか悪役ヒロインたちと同居することになりました!?』


平和になった世界。


勇者を引退したユウト。


ようやく静かな生活が送れると思ったその時――


「今日から一緒に住みます♡」


悪役ヒロイン全員が家に引っ越してきた!?


勇者の本当の地獄はここから始まる――!

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