# 第八話 ## 「世界最強の敵、破滅竜ヴァルガス」
# 第八話
## 「世界最強の敵、破滅竜ヴァルガス」
北の大陸――。
そこは既に地獄だった。
山は砕け。
森は燃え。
街は消えている。
その中心にいたのは――
巨大な黒い竜。
全長五百メートルを超える怪物。
黄金の瞳。
漆黒の鱗。
空を覆う翼。
それが。
**破滅竜ヴァルガス。**
「グオオオオオオオオオオオオ!!」
咆哮だけで大地が割れた。
---
人類と魔族の連合軍。
総勢十万。
その全員が震えていた。
「化け物だ……」
「勝てるのか……?」
誰も自信がなかった。
だが。
最前線には勇者ユウトが立つ。
隣には魔王。
そして。
リリナ。
エリス。
ルナ。
ミレア。
クロエ。
全員がいる。
「行こう」
ユウトが言う。
魔王が笑う。
「うむ」
人類と魔族。
初めて同じ敵へ向かって走り出した。
---
戦いが始まった。
「撃てぇぇぇ!!」
無数の魔法。
無数の矢。
無数の砲撃。
空を埋め尽くす。
だが。
ヴァルガスは翼を振った。
ドォォォォォン!!
全て消し飛んだ。
「なっ!?」
「嘘だろ!?」
絶望が広がる。
攻撃が効かない。
まるで災害そのものだった。
---
その時。
「勇者様!」
リリナが飛び出した。
超高速の斬撃。
「はああああ!!」
鱗に当たる。
だが。
カン!!
傷一つ付かない。
「そんな……」
エリスも最強魔法を放つ。
巨大な炎。
巨大な雷。
だが。
無傷。
ルナも。
クロエも。
ミレアも。
誰も通用しない。
---
ヴァルガスが口を開く。
嫌な予感。
次の瞬間。
「危ない!!」
魔王が叫んだ。
黒い光が放たれる。
世界を消し飛ばすようなブレス。
ドォォォォォォォォン!!!
山が一つ消えた。
連合軍も吹き飛ぶ。
数千人が戦闘不能になる。
絶望だった。
---
「これが……」
ユウトは唇を噛む。
「千年前の怪物……」
その時。
胸が光った。
勇者の紋章。
そして。
ユウトの前に幻が現れる。
初代勇者アレンだった。
『未来の勇者』
『聞こえるか』
「アレン……!?」
『ヴァルガスを倒す方法は一つだ』
『勇者と魔王の力を合わせろ』
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魔王も同時に驚いていた。
彼の前にも幻がいた。
若き日の魔王。
『未来の俺』
『また勇者と戦うなよ』
「うるさい」
『共闘しろ』
魔王は苦笑した。
「仕方あるまい」
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ユウトと魔王。
二人は向かい合う。
「やるか」
「やるしかない」
そして。
手を重ねた。
その瞬間。
黄金の光と黒い魔力が混ざる。
天へ柱が伸びた。
世界が震える。
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「すごい……」
ルナが呟く。
「これが……」
エリスも息を呑む。
「伝説の力……」
勇者と魔王。
二つの力が融合する。
そして。
一振りの剣が現れた。
白と黒が混ざった神剣。
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ユウトが握る。
「これが……」
魔王が笑う。
「千年前の切り札だ」
ヴァルガスが咆哮する。
巨大なブレスを放つ。
だが。
ユウトは走った。
一直線に。
「うおおおおおお!!」
全ての想いを乗せて。
家族。
仲間。
人間。
魔族。
未来。
全部を守るために。
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神剣が輝く。
そして。
一閃。
ズバァァァァァァァン!!!
世界が白く染まった。
ヴァルガスの動きが止まる。
静寂。
数秒後。
巨大な身体に一本の光の線が走った。
そして――
崩れ落ちた。
ドゴォォォォォォォン!!!
破滅竜ヴァルガス。
討伐。
世界は救われた。
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歓声が上がる。
人間も。
魔族も。
皆が泣いていた。
抱き合っていた。
千年続いた戦いが終わったのだ。
しかし。
その直後。
「勇者様ーーー♡」
リリナが飛びつく。
「私が一番に抱きつきます!」
エリスも飛びつく。
「抜け駆け禁止!」
ルナも飛びつく。
「ユウト様!」
ミレアも。
「お隣失礼します♡」
クロエも。
結局。
ユウトは五人に押し潰された。
「た、助けてぇぇぇ!!」
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魔王はその光景を見ながら笑う。
「世界は平和になったな」
するとグレイが言った。
「ですが魔王様」
「なんだ」
「勇者殿の結婚問題はまだ戦争中です」
魔王は真顔になった。
「……確かに」
世界平和の後に残った最後の戦い。
それは――
**勇者争奪戦だった。**
## 次回予告
**最終話「勇者やめようかと思ったけど」**
五人のヒロインがついに告白決戦!
勇者が選ぶ相手は誰なのか!?
そして笑顔で迎える大団円!
「勇者って悪くないかもな」
感動の最終回へ!




