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# 第五話 ## 「魔王、娘より先に勇者に興味を持つ」

# 第五話


## 「魔王、娘より先に勇者に興味を持つ」


魔王城――。


魔界の中心にそびえる巨大な城。


その最上階。


玉座の間では重苦しい空気が流れていた。


魔王軍幹部たちが並ぶ中、


玉座に座る魔王が静かに口を開く。


「ゼクト」


「はっ」


最強将軍ゼクトが片膝をつく。


「勇者はどうだった」


「危険です」


幹部たちがざわついた。


ゼクトが他人を評価することなど滅多にない。


「覚醒した勇者は我々の想像以上です」


「ふむ」


魔王は顎に手を当てる。


「それで?」


「なかなか良い男でした」


「そこなのか!?」


幹部たちが総ツッコミした。


---


さらに会議は続く。


「娘のルナは?」


魔王が尋ねる。


幹部たちは気まずそうに目を逸らした。


「その……」


「勇者様大好きです♡状態です」


「知っておる」


魔王は深いため息を吐く。


「エリスは?」


「勇者様大好きです♡状態です」


「知っておる」


「元盗賊団長リリナも」


「勇者様大好きです♡状態です」


「知っておる」


魔王は頭を抱えた。


「なぜ我が軍は恋愛軍団になっておるのだ……」


---


その頃。


ユウトたちは王都へ帰還していた。


街はお祭り騒ぎだった。


「勇者様だ!」


「将軍ゼクトを退けた英雄だ!」


「かっこいい!」


ユウトは照れていた。


しかし。


「勇者様~♡」


「ユウト様♡」


「結婚しましょう♡」


「私が正妻です♡」


いつもの四人がいる。


住民たちは笑った。


「勇者様も大変だな」


「羨ましいけどな」


「俺なら三秒で結婚する」


ユウトは泣きたくなった。


---


その夜。


王城で祝勝会が開かれた。


豪華な料理。


音楽。


踊る貴族たち。


だが。


事件は起きた。


突然。


バリン!!


窓ガラスが割れる。


全員が振り返った。


そこには――


黒い翼を持つ少女が立っていた。


年齢は十七歳くらい。


銀色の長い髪。


赤い瞳。


黒いドレス。


そして。


信じられないほどの美少女。


「やっと見つけました」


少女は真っ直ぐユウトを見る。


「誰?」


するとルナの顔色が変わった。


「まさか……」


エリスも驚いている。


「あなたが来るなんて」


少女は優雅にお辞儀した。


「初めまして」


「私は魔王軍諜報部隊隊長」


「クロエと申します」


場が凍る。


諜報部隊隊長。


つまり魔王軍でも超重要人物だ。


王国騎士たちが武器を構える。


だがクロエは気にしない。


彼女はユウトの前まで歩いてくる。


そして。


片膝をついた。


「勇者様」


「はい?」


「迎えに来ました」


「どこへ?」


「私のお婿さんとして♡」


「増えたぁぁぁぁ!!」


会場中に叫び声が響いた。


---


リリナが立ち上がる。


「待ちなさい!」


エリスも前へ出る。


「順番があります!」


ルナも怒る。


「割り込み禁止!」


ミレアも負けない。


「ユウト様は渡しません!」


四人とクロエ。


五人の美少女が睨み合う。


バチバチバチッ!


火花が散る。


ユウトは遠い目をした。


(勇者ってこんな仕事だったかな……)


---


その頃。


魔王城。


一人の老人が魔王へ報告していた。


「魔王様」


「なんだ」


「実は勇者について調べていたところ……」


老人は震えていた。


「驚くべき事実が判明しました」


魔王が眉をひそめる。


「申してみよ」


老人は言った。


「勇者ユウトは――」


「千年前の初代勇者の血を引いています」


魔王の目が見開かれた。


そして。


さらに続く言葉に、


魔王は玉座から立ち上がる。


「なに……!?」


魔界を揺るがす秘密が、


今まさに明かされようとしていた――。


## 次回予告


**第六話「勇者の血筋と千年前の秘密」**


初代勇者の正体とは!?

魔王家との意外な関係が判明!?


そしてクロエも本格参戦!

勇者争奪戦はさらに激化する!


「勇者様、逃がしません♡」


異世界ラブコメ、急展開!

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