# 第四話 ## 「魔王軍最強将軍、襲来!」
# 第四話
## 「魔王軍最強将軍、襲来!」
ゴゴゴゴゴ……
森が震えていた。
魔王軍最強将軍――ゼクト。
その存在感だけで空気が重くなる。
「勇者を渡せ」
ゼクトは巨大な剣を肩に担いだまま言った。
「断る!」
リリナが前に出る。
「勇者様は私たちが守る!」
「同感です」
エリスも魔力を解放した。
紫色の魔法陣が何重にも展開される。
ルナも剣を抜く。
「お父様の命令でも聞かない!」
ミレアは聖なる杖を構えた。
「ユウト様には指一本触れさせません!」
四人の美少女が並ぶ。
普通なら勝負にならない。
だが――
ゼクトは笑った。
「そうか」
ドン!!
たった一歩。
踏み込んだだけだった。
次の瞬間。
「えっ――」
リリナが吹き飛ぶ。
ドゴォォン!!
木々を何本もへし折りながら転がった。
「リリナ!」
ユウトが叫ぶ。
しかし。
「まだだ」
ゼクトは既にエリスの目の前にいた。
「速っ!?」
エリスの魔法が放たれる。
何百もの炎弾。
雷撃。
氷槍。
すべてを――
ゼクトは剣の一振りで消し飛ばした。
ズガァァァン!!
「きゃああっ!」
エリスも地面に叩きつけられる。
ルナが飛び出した。
「やめろぉぉぉ!」
王族特有の強力な闇魔法。
しかし。
「甘い」
バキッ!!
防御ごと砕かれた。
ルナも倒れる。
残ったのはミレア。
「聖なる光よ!」
巨大な光の柱が天へ伸びる。
だがゼクトは突っ込んだ。
そのまま。
光を斬った。
「そんな……」
ミレアも倒れた。
静寂。
ユウトだけが立っていた。
---
「なんでだよ……」
ユウトは震える。
リリナ。
エリス。
ルナ。
ミレア。
みんな傷だらけだった。
今までどんな敵にも負けなかった四人。
その四人が一瞬でやられた。
ゼクトが近づく。
「終わりだ」
巨大な剣が持ち上がる。
ユウトは動けなかった。
怖かった。
足が震える。
逃げたい。
元々ただの高校生だった。
本当は英雄なんかじゃない。
その時だった。
「勇者様……」
リリナの声。
「逃げて……」
「だめ……です……」
エリス。
「生きて……」
ルナ。
「ユウト様……」
ミレア。
皆が自分を心配していた。
ボロボロなのに。
苦しいはずなのに。
それでも。
自分のことを――。
ユウトの中で何かが弾けた。
---
「ふざけるな」
ゼクトが眉をひそめる。
ユウトが立ち上がった。
「俺は弱い」
「そうだな」
「怖いし、情けないし、何もできない」
ゼクトは黙って聞いている。
ユウトは剣を握る。
「でも」
光が溢れ始めた。
「仲間を傷つけられて黙ってられるほど――」
勇者の剣が輝く。
「俺は最低じゃない!!」
ドォォォォォォン!!!
黄金の光が森を包んだ。
ゼクトの目が初めて見開かれる。
「勇者の覚醒……!?」
ユウト自身も驚いていた。
身体が軽い。
力が溢れる。
剣が歌っているようだった。
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「来い!」
ユウトは走った。
人生で一番速く。
ゼクトも迎え撃つ。
剣と剣が激突。
ガギィィィン!!
衝撃波で森が吹き飛ぶ。
二撃。
三撃。
四撃。
互角。
いや――。
徐々に押し始めていた。
「馬鹿な!」
ゼクトが叫ぶ。
「この力は!」
ユウトは答えた。
「知らない!」
「え?」
「俺も初めてだから!」
「おい!」
戦いの最中なのにツッコミが入った。
しかし。
次の瞬間。
ユウトの剣が光を放つ。
「うおおおおお!!」
一閃。
ズバァァァァン!!
ゼクトの鎧に大きな亀裂が走った。
将軍は後方へ吹き飛ぶ。
何十メートルも。
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ゼクトは立ち上がる。
そして笑った。
「なるほど」
「これが勇者か」
剣を鞘に収めた。
「今日は引こう」
「なに?」
「だが覚えておけ」
ゼクトは振り返る。
「次に会う時は本気で殺す」
黒い魔法陣が広がった。
転移魔法。
そして姿が消える。
静寂が戻った。
---
数分後。
目を覚ましたリリナたち。
真っ先にユウトへ飛びついた。
「勇者様ぁぁぁ!」
「ご無事ですか!?」
「心配したんだから!」
「怪我はありませんか!?」
ユウトは苦笑した。
「大丈夫だよ」
するとルナが言った。
「やっぱり勇者様かっこいい!」
「そうですね」
「惚れ直しました♡」
「私もです♡」
ユウトは嫌な予感がした。
そして予感は当たる。
四人が同時に言った。
「結婚してください♡」
「増えたぁぁぁ!!」
森に勇者の叫びが響いた。
だが彼らはまだ知らない。
魔王城で――
魔王本人が。
ユウトの写真を見ながら。
「ふむ……」
と呟いていたことを。
そして。
「なかなか良い男ではないか」
と言っていたことを。
## 次回予告
**第五話「魔王、娘より先に勇者に興味を持つ」**
魔王城で開かれる緊急会議!
勇者に興味津々の魔王!?
そして現れる新たな悪役ヒロイン!
「勇者様を連れて帰ります♡」
モテすぎ勇者の受難は終わらない!




