# 第二話 ## 「四天王と盗賊団長、勇者を取り合う!」
# 第二話
## 「四天王と盗賊団長、勇者を取り合う!」
「好きです!」
「私の方が好きです!」
「いや、私の方が先に告白した!」
「順番なんて関係ありません!」
ユウトの部屋。
深夜。
勇者の部屋とは思えないほど騒がしかった。
「帰れぇぇぇ!!」
ユウトの叫びが響く。
ベッドの左には盗賊団長リリナ。
右には魔王軍四天王エリス。
二人ともユウトの腕を掴んで離さない。
「勇者様は私と一緒に盗賊団を作るんです♡」
「勇者様は魔王軍の次期総司令官です♡」
「ならないから!」
ユウトは全力で否定した。
すると。
ガチャッ。
部屋のドアが開いた。
「ユウト様!」
入ってきたのは王国の聖女。
金髪美少女のミレアだった。
「こんな夜中に何を――」
そこで固まる。
リリナ。
エリス。
そしてユウト。
三人がベッドの上にいた。
「……」
「……」
「……」
ミレアの顔が真っ赤になった。
「な、な、なにしてるんですかぁぁぁ!!」
「違う!!」
ユウトは必死に弁解した。
しかし。
リリナがユウトに抱きつく。
「勇者様と愛を語ってました♡」
「嘘つけ!」
エリスまで抱きついた。
「将来の結婚式の相談です♡」
「してない!」
ミレアの目から涙が出た。
「最低です!」
「だから違うって!」
聖女は逃げるように部屋を飛び出した。
ユウトは頭を抱えた。
勇者人生。
開始二日目。
既に終わりそうだった。
---
翌朝。
王城の食堂。
ユウトは周囲から冷たい目で見られていた。
「勇者様……」
「最低ですね……」
「女たらしですか……」
全部誤解だった。
だが説明しても信じてもらえない。
その時。
王国兵が飛び込んできた。
「大変です!」
「魔王軍の幹部が街に現れました!」
食堂が騒然となる。
「なに!?」
「幹部だと!?」
ユウトも立ち上がった。
ようやく勇者らしい仕事だ。
「俺が行きます!」
---
街の広場。
そこには一人の少女が立っていた。
黒髪。
赤い瞳。
黒いドレス。
年齢は十六歳くらい。
驚くほど美しい。
周囲の兵士たちは震えている。
「まさか……」
「魔王の娘……!」
ユウトも息を呑んだ。
魔王の娘。
つまり敵の中の敵。
すると少女はユウトを見る。
そして。
満面の笑みを浮かべた。
「見つけた!」
「え?」
少女は走り出した。
兵士たちが構える。
しかし。
少女はユウトの前まで来ると――
ぎゅっ。
抱きついた。
「やっと会えたー♡」
「えぇぇぇぇ!?」
広場中が静まり返った。
魔王の娘は幸せそうに笑う。
「私、ルナ!」
「勇者様のお嫁さん候補です!」
ユウトは天を見上げた。
(神様……)
(俺、本当に勇者なんですよね?)
後ろでは、
「は?」
とリリナ。
「戦争ですね」
とエリス。
二人が恐ろしい笑顔を浮かべていた。
そして王国最強の聖女ミレアまで現れる。
「私も参加します!」
「なんで!?」
こうして――
勇者ユウトを巡る、
とんでもない恋の戦争が始まったのだった。
## 次回予告
**第三話「悪役ヒロインだらけの勇者パーティー」**
盗賊団長が仲間に!?
四天王も勝手に加入!?
魔王の娘までついてくる!?
そして勇者パーティー結成の日、
王様が盛大に頭を抱える――!
「こんなパーティー聞いたことない!!」




