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スペースコロニーのぼくら(仮)  作者: たいじゅ@音森の館
22/25

お仕事見学 「スペースコロニーができるまで」その7

円筒形


円盤型


輪っか型


球体


なんかよく分からない形


etc、etc


次々と様々なスペースコロニーがスライドに表示されていく。



こういったスペースコロニーは全て、スペースコロニー管理委員会の手によって建造されている。




僕らの前に立ってマイクを手に説明しているのは、スペースコロニー第一企画管理部の副部長らしい。


小柄でちょっと小太りな体に、人の良さそうな顔が親しみを感じさせるおじさんだ。


「えー、そんなわけで人類は色々なスペースコロニーを考え出してきたわけですが、今や全てのスペースコロニーは我々スペースコロニー管理委員会が主体となって作っております。

今日はみなさんにその大まかな流れを説明しようと思います。

いつか皆さんの中から、一緒に働く人が出てくるのを期待してスタッフ一同気合を入れて準備したので、乞うご期待ください。」


そう言い終えると、スクリーンに新たなスライドが表示された。


「まずは我々、スペースコロニー管理委員会における、スペースコロニー関係部署の説明です。」

その言葉と共に、スライドに組織図が表示される。


スペースコロニー企画管理部は三つに分かれている。

それぞれに企画管理課、設計課、資材課など様々なセクションが所属し、時には外部の企業などと連携してスペースコロニーを作っていく。



【第一企画管理部】

民間人の居住を主とする一般的なスペースコロニーを担当する。

企画管理部に配属される新人は、最初の一年は必ずこの部署に配属される。

一番人員が多い部署。


【第ニ企画管理部】

商業用のスペースコロニーを担当する部署。

各企業などからの依頼に応じる為に、かなり幅広い分野のスペシャリストが揃っている他、多方面との連携が必須なこともあり外部の人との交流も多い。

そのせいかクセのある人材も少なくないらしい、というのはカズヤがお父さんから聞いた裏話なんだが、今は内緒にしておく。


【第三企画管理部】

公的機関が必要とするスペースコロニーを担当する部署。

極めて機密性の高い案件を扱うことが多い為に、第一、第二よりも厳しいセキュリティで守られたエリアに存在する



「見ての通り、それぞれ担当するスペースコロニーの内容は異なりはしますが、基本は我々第一企画管理部が担当する一般用と変わりません。

そんなわけで、今回は一般の居住用スペースコロニーの建造工程の説明で・・・ゲホゲホゲホ・・・し、失礼。

ここから先は私の部下の槙野園まきのえ紗英香さえかくんが説明します。

槙野園くん、よろしく。」



副部長に促されて壇上に上がったのは、綺麗な黒髪ロングヘアーの女性だった。

四角いメガネが少し生真面目な印象を与えているが、ぴっちりしたスーツからはち切れんばかりにその存在を主張している豊満な胸と、アンバランスなほどに細い腰というまるで漫画の世界の住人の様なルックスが男子の視線を釘付けにしていた。



「どこ見てるのかなぁ?」


リズのその一言に我にかえる僕。


「べ、別に何も見てないよ、うん。


いやぁ、は、は、は。」


そう取り繕う僕を冷たい目で見るリズ。


勘弁してほしい。

ついつい目がいっちゃうのはしようがないじゃないか。

健全な男なんだもの。

見ちゃうよそりゃぁ。

そういうもんだよ。

うん。


べつに、リズの胸がどうとかじゃないよ、、うん。

いやむしろリズの年相応の控えめな胸の方が好きだよ、もちろん、うん。


でも槙野園女史の大人の魅力も捨てがたいというか、ね、うん、そう、ああいうのもいいなぁと思ったりはするんだよ、うん。


「えっちな目してるよ〜」


「そ、そんなことないよ?」


「ほんとかなぁ?」


「ほ、ほんとだって〜!」


「へぇ〜w」




ゴホン


そんな感じでしばらくリズにイジられてた僕は、槙野園女史の咳払いで我に返った。



「そろそろおはなししてもいいかしら?」


少し抑えめの静かなトーンの声だ。


メガネの奥の目が一瞬ギラっと光った気がした。


あっというまにざわついていた皆んなが静かになる。


「では始めます。」


冷ややかにそういうと、槙野園女史の説明が始まった。




まず、一番最初に考えるのは、そのスペースコロニーのテーマと、どのくらいの人数を収容するのかを決めることだという。


テーマは、どの様なイメージのスペースコロニーとするかである。

例えば、自然を主体とした広々とした開放的な空間とするのかとか、近代的な都市群にするのかとか、地球にかつてあった中世の街並みなどの再現をするのかといった様なものである。


収容人数は文字通りスペースコロニーに何人の人を収容するのかということだが、その数を基準に必要な機材や資材などの量を決めるため、何よりも第一に設定するんだけど、実際にはその数字の2倍〜3倍の数を収容することが前提となるらしい。


なぜかというと、これは2と3のルールに関係することで、非常時に他のスペースコロニーの住人が避難してきた際に収容できる余裕を持たせるためなのだという。

それだけの余裕を持たせることができない限り、その企画が実行されることはないそうだ。



「まだ人類が地球だけで生活していた時代は、問題が起きた時、人々はそのまま陸続きに近隣の土地へ避難することができました。

しかし、我々の暮らしているスペースコロニーではそうはいきません。

スペースコロニーの外は宇宙です。

したがってスペースコロニーの外へ避難となると、他のスペースコロニーなどへ移動ということになります。

ですが、避難先のスペースコロニーに十分な余裕がないと、避難した人を収容できないばかりか限りあるスペースや食料などのリソースを奪い合うことになりかねません。

地球ではそれらのことから多くの戦争が起こり、無数の悲劇が起きたことは皆さんもご存知の通りです。」


その言葉と同時に、地球で起きた悲劇の数々の映像が流れる。

さすがにあまりに悲惨なシーンは省かれているが、昔見学に行った歴史資料館の映像では目を背けたくなる様なむごたらしいものも多くあったことを思い出してしまった。


「我々。スペースノイドにとってスペースコロニーはそれぞれが独立した自治権を持っていますが、それらは地球にあった様な国家の様なものとは違います。


我々は皆同じ宇宙に生きる隣人なのです。


あえて我々に国家があるとしたならば、それはこのスペースコロニー社会そのものが一つの国家といえます。


ですから、我々が互いに助け合うのは当たり前のことなのです。」


そういうと、槙野園女史は場内にいるみんなの顔を見渡した。


うんうん、とうなずく第一企画管理部の副部長さん、

過酷な宇宙において万が一の時には、自分一人でできることなんて本当に微々たるものであり、他の誰かの助けがないと助からないことが多い。

だからこその2と3のルールがあり、それを元にした考え方がスペースコロニーを作る時にもベースになっているという事実を知って、改めて幼少から教え込まれた2と3のルールの重要性を思い知らされた。



「収容する人数が決まると、それを元に必要とされるおおまかなスペースコロニーの大きさを決めます。

これは人数あたりどのくらいの大きさが必要かという基準があり、それを元に決めていきます。」


槙野園女史の説明とともに、基準は想定収容人数 5,000人単位の2倍プランと、3倍プランでそれぞれに必要な基本的な機材や資材の量とその平均コスト、必要な工程日数がスライドに表示される。


「これらは代表的なスペースコロニーの構造を含めて表示してあるわけですが、あくまでも目安をつけるための素体となるものです。

最初に決めたテーマを元に、その構造や内部のデザインを手直ししていきます。」


素体となるスペースコロニーの図が、次々とテーマに沿って変更を加えられていくと同時に変化していく様子がスライドに映っている。


「宇宙港はどこに置くか、その規模はどのくらいにするのか、居住区のブロック分けはどうするのか、その階層構造はどうするのかなど 大まかなコンセプトを決めていきます。」


内容を確定させると自動的に暫定的なイメージ画像が3Dのウォークスルーも出来る状態で生成される。


ここまで来ると、次は設計課の出番となる。

設計課は企画管理課が作成した資料を元に具体的な設計図をおこしていく。

問題がある場合はその都度企画管理課と話し合って調整を行う。

そして大まかな設計図を作り上げる。


「こうして設計課の作成した設計図を元に、スペースコロニーを建造していくわけです。」


槙野園女史の言葉と共に、スペースコロニーの設計図がスライドに表示される。


「ここで皆さん、ここまでの話しを聞いて何か気がつきませんか?」


そう言いながら場内を見回す槙野園女史。



設計図なんて専門的な図面見せられても素人の僕らに分かるわけないんだけどね・・・。


「ヒントはスライドの中で企画管理課と設計課のやり取りの中にあります。何かが無いと思いませんか?」


槙野園女史の質問に首をかしげる僕たち。


すると、カズヤが手をあげた。


「そこのキミ、どうぞ」


槙野園女史がカズヤに発言を促すと、側に控えていた職員の人がカズヤにマイクを手渡した。


「えっと、まちがってたらすみません。企画から設計に至るまでの間に、使用される具体的な技術について言及している場面がありませんでした。」


カズヤのその回答を聞くと、心なしか槙野園女史の口元が少し緩んだ気がした。



「ご名答です。」


どうやらカズヤの回答で正解だったらしい。


「この段階の設計図では、具体的な技術については一切言及しないことがルールになっています。」


その後の説明によるとこういうことらしい。


スペースコロニーの建造というのは小さなものでも5、6年近くかかるわけで、通常は20年前後の年月をかけて行われる。


その間に新しい技術がどんどん生まれていくのでその時その時において最良の技術を採用するために、あえて具体的な技術については言及しないのだという。


昔は工期短縮の為に採用する技術も指定して全体的なプランを立てていたが、その技術に問題が発覚しても予算や日程などがギチギチに決まってしまっていたたためやり直しも効かず、結果欠陥コロニーとなって甚大な被害が出たことがあるのだという。


計画の修正を行おうとすると莫大な追加予算と4倍近い工期が必要となり、とても現実的な話ではなかったらしい。


また当時の担当関係者は、建造に関わる様々な業者に便宜を図る為に予算をバラ撒いたりしていたため、問題を隠す為に技術欠陥について隠し通そうとしたらしい。


その結果欠陥によって事故がおこり、多くの人命が失われてしまった。


その苦い経験から現在では具体的な技術については、それぞれの現場レベルの作業計画段階において初めて検討するのが通例となった。



「この様に、可能な限りより安全で確実でコストを抑えることのできる最新の技術を常に採用するようにしています。」


「あ、捕捉だけどね、それも絶対じゃなくてその後で更によりよい技術が出てきたら、それに置き換えが出来る場合は柔軟に取り入れていく様にしているんだよ。」


槙野園女史の言葉の後に、副部長が割り込んでくる。

その一瞬、槙野園女史が横目で副部長をジロっと睨んだんだけど、当の副部長は気がついてないのか、終始ニコニコしている。



スクリーンのスライドには、設計図を元に作られたスペースコロニーの各部分のイメージ画像が表示され、企画管理課が用意した当初のイメージ図との比較画像が映し出されている。



「こうして比較するとまだまだ計画とはだいぶかけはなれていますが、大分現実的な形になってきたのが分かると思います。」


会話に加わりたそうな副部長を目で制しながら槙野園女史が説明を続ける。


「ここまで来ると今度は資材課と技術課が加わって、具体的な建造に必要な計画に入ります。

先程までは言及されなかった技術面についても技術課の提案を元に検討し、その為に必要な資材の手配を資材課が行うわけです。」


ここで技術課と資材課のスタッフの方が壇上に上がり、それぞれの大まかな仕事内容の説明が始まった。


技術課は建造工程の各段階において、その時その時で最も最適な技術を取捨選択し、現場レベルへ落とし込みを行う。

その為現場監督も兼ねていて、その関係上現場で作業に従事する業者の選択も彼らの役割だ。


後で素朴な疑問として技術だけ考えて他は他の現場監督専門の人用意すればいいんじゃないのかなと質問してみたが、それだとモノを知らない素人がプロをまとめることになるから事故やトラブルの元になると言われて納得した。


とはいえ、技術課の中では更に純粋に技術だけを研究するチームが複数あって、常に最新の技術を模索しているという。



その一方で、、技術課から必要とされる資材の要求が出た時にそれを用意するのが資材課の役割になる。


既存の資材であれば単純に必要な数量を手配するだけだが、既存の資材だけで常に技術課の求める性能を満たせるわけではない。


その為、資材課では博士号をもつ職員を中心に、常に新しい素材の研究を行っているという。


その研究を支えてくれているのが専用のAIである。

素材や条件などの諸情報を入力すると、どの材料をどの様なバランスでどう、組み合わせるとどの様な素材になるかを予想して提示する。


後はそれを実際に試作し、様々な評価試験を行った上で基準を満たしたものが採用される。


それらの資材を運んだり、資源小惑星から資源を採掘・精製する為に、資材課には専用の航宙船が多く用意されている。

巨大な資材を運ぶことも少なくないので、出力だけでいえば警備局の艦を上回るものもあるという。


各課担当の説明が終わると、入れ替わりに槙野絵女史が壇上に上がった。


「ちょっと話が長くなったので整理しましょう。」


槙野園女史がそういうと、スライドに各段階の図と説明が表示され、それに合わせて各課の人たちが所属する課の名前のついたプレートを首から下げて改めて壇上にあがっていくと共に、ここまでの説明のおさらい的な説明が行われた。



「言うまでもありませんが、我々の暮らすスペースコロニー社会というのはスペースコロニーの建造段階も含め、我々以外にも多くの人がお互いに協力しあって初めて実現されているのです。」


槙野園女史のその言葉と共に、スライドに関わる人たちの人数が、表示された。


完成までに関わる人の数は、様々な関連企業も含めると最終的には数十万人にも及ぶ。


こうした多くの人たちの努力の結晶が、僕らの暮らす一つ一つのスペースコロニーなんだと思うと、何かが込み上げてます無性に叫びたい気持ちになった。



プロの職人って、やっぱりスゴい、かっこいい!!


--以下定型文--

妄想ベースなので物理原則やその道の詳しい人たちから見ると、んなわけねーじゃん!ってツッコみたくなる部分がメチャクチャ多いと思います。

楽しけりゃいいってノリなのであまり考証せず書いてますけど、そーじゃなくてこーだ!って指摘は歓迎です。

ストーリーや世界観さえ破綻しなければ、さりげなく取り入れてしれっと書き直してるかもしれません。

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