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スペースコロニーのぼくら(仮)  作者: たいじゅ@音森の館
20/25

お仕事見学 「スペースコロニーができるまで」その5

漆黒の宇宙に浮かぶ、一つの宇宙ステーション。

アメリカが主導して日本やベトナムなどいくつかの国が協力して作り上げたものだ。

そのキャプテンであるアメリカ人のジョーンズ・ガーナード少佐の元へ、これまで敵対し何度も戦火を交えたロシアのステーションのキャプテン オレグ・マルキン少佐から突然の連絡が入った。


「みんなで手を組まないか?」と。






ジョーンズがオレグから聞いた話を要約すると、こういうことだった。


なかなか期待していた結果の出ない宇宙開発と、度重なる宇宙での軍備拡張。

そのための資金を得るため政府が増税を繰り返し、医療や福祉などの補助や援助を打ち切るなどの負担をかけ続けた結果、国民の生活が困窮の極みに達した。

国民の生活を省みることもない政府に対する人々の怒りは凄まじく、デモやストライキで始まった抵抗はいつしか暴動となり、軍の中から反旗を翻す者も出てきた結果、各地の暴動はやがてクーデターへ激しさを増してしまった。


ロシアではすでに国内各地で政府軍とクーデター軍による戦いとなっている他、アメリカではいくつかの州が人々を支援する声明を出し、 内戦状態となり始めている。

それ以外の他の国でも似たり寄ったりの状況らしい。


各国の宇宙関係者やその施設は、今日の状況を作りだした元凶として国民から真っ先に矛先を向けられた。

管制局が襲撃され、施設も破壊されたと聞き伝えられている。

連絡がつかないのはきっとそのためなのだろう。


こうなると、脱出ポッドで地球に戻ろうものなら袋叩きどころかよってたかって嬲り殺されるのは目に見えている。

しかし現状のままではジリ貧なのは間違いがない。



ロシアステーションのオレグ曰く、ロシアステーションの残りの食料の備蓄は一月ちょっとしかない。

シャトルはあるが、今地球に戻るのは自殺行為である。

幸い、中国やEU、インドの宇宙ステーションもオレグの提案を受け入れており、ジョーンズたちが参加することで各国の全宇宙ステーションが協力し合う体制が整うのだと言う。

中国とインドの宇宙ステーションには食料と水は2年分以上の備蓄があるというのでそれをみんなで分け合うことで了承を取り付け済みらしい。

これで各国の備蓄を合わせれば、全ステーションの職員分の食料は少なくとも1年は持つ計算になるという。


オレグは1年分の食料が尽きる前に、みんなで小惑星群から資源を集めて唯一どの国家にも所有されていない国際宇宙ステーションを拡張して全員が生活できる場所を作りたいという。

協力し合うなら、それぞれが自分たちのステーションに分散しているよりは、同じステーションで生活している方がなにかと有効じゃないかという考えに至ったらしい。


「ロシア側の提案の内容は以上だ。俺は概ね賛成だが、みんなの意見も聞いておきたい。賛成の者は挙手してくれ。」


ジェームズの言葉に、次々と手が上がっていく。


反対する者はいなかった。

全員の手があがっていた。




その後各国はオレグを中心として団結し、半年ほどかけて全員が暮らせる規模まで国際宇宙ステーションを拡張することに成功した。

その頃には食料も水も残りの備蓄は3ヶ月分を切っていた。


野菜などを栽培するエリアも作り賄ってはみたが、このままではいずれ食料が尽きるのは目に見えている。

誰もがそのことに気がついており、次第に不穏な空気がステーション内に立ち込めていった。


少しでも食料を長持ちさせるために一回分の量を減らすなどの対策を講じてはいたが、クルーたちのストレスは日を追うごとに増していった。




「テメェ、クチャクチャ、クチャクチャ、気持ち悪ぃんだよ!もっと上品に食えねぇのかよ!」


「うるせぇ!人がどう食おうと自由だろうが!」


怒声と共に殴り合う男二人。

そそくさと二人から離れていく周りの人達。


日に日に些細なことからの喧嘩が増えてきている。

周りのクルーと共に二人を止めながら、ジェームズはクルーたちの精神もそろそろ限界に来ていることを感じていた。





話は変わって宇宙でそんなことが起きる一年ほど前に戻る。



ここはアメリカのとあるハンバーガーショップ。

世界中に展開しているチェーン店の一つだ。

その人気ぶりは半端ではなく、宇宙ステーションに支店を出して欲しいと真面目にオファーがあったという噂も出るほどである。


出来立てのハンバーガーが完全に冷めてしまうほど考え込んでいる様子の男の名はドナルドという。


ドナルド、と言っても某エンターテイメント企業のマスコットの一つでもなければ、かつてアメリカに存在した大統領でもない。

大統領と同じなのは名前と髪型くらいのもので、ドナルド本人は痩せっぽちで大きなメガネがやたらと目立つ、という容貌のさえない中年男である。


ちなみに、彼は別にこのハンバーガーショップの宇宙支店が本当に実現されるかどうかを悩んでいるわけではない。



近年これといった業績も上げていないため、身重な女房のためにも、これから生まれてくる子供のためにも、ここらで一つ目覚ましい成果をあげておきたいのだがなかなかうまくいかないのである。


「はぁ、ほんとまいっちゃうよなぁ。どうしたもんかな。」


ドナルドはプラスチックカップに残った氷をストローでかき回しながら独りごちた。




彼の仕事は営業だ。


扱うものはいろいろ。

会社のモットーは、『トイレットペーパーから核兵器まで扱えるものはなんでも売る』、である。


「下手するとこの、名刺を使うこともなくなっちゃうもんなぁ。女房になんと言えばいいのやら・・・」


名刺の残りを確認しながらつぶやくドナルド。


マッコイ商会 第一営業部 二課 ドナルド・フェリーニと書かれた名刺は、残りわずか数枚をを残すのみだ。


初代会長は地球の中東で外人部隊相手に商売をした後に、その時の経験を元に数々の民間向けの製品を販売したことが大当たりして商会の設立につながり、今日に至るということだった。


今では会社のモットーの通り、日用品から軍用品まで手広く扱っていて、世界中に彼らの取引先が存在している。

第一営業部は軍用品を扱う部署であり、商会のアイデンティティの根幹をなす部署とも言えた。



そんな部署に所属する彼の今回の悩みの元凶は、とある筋から流れてきた情報だった。



市民の政府に対する反対行動が激化し、一部が暴徒と化する可能性がある、と。

そしてそれが複数の場所で起き、最終的には武力蜂起に発展する可能性が濃厚である、と。



武器をメインに扱う第一営業部としては、戦乱が起きるのは商機が増えるので本来喜ぶべきところではあるのだが、世界的にというのがマズい。


危険な話だ。


いくつかの国でとかであれば、商会的には秘密裏にいろいろとコントロールのすることも十分可能である。

しかし世界的に同時多発となるとコントロールするのは容易ではない。

いや、少なくともマッコイ商会一つでは不可能である。


武器を売るにしても政府側、反政府側、どちらに、または両方に武器を提供するにしてもそれはまともに取引が成立するのか?


全てが安定してまとまった量を買ってくれる政府関係の組織相手ならともかく、それなりの資金力やバックにスポンサーを抱えているかどうかすらあやしい反政府側ではチマチマと小口の取引を散発的に繰り返すことになる可能性が高い。

武器だけ受け取って支払いはバックレる可能性もあるし、下手をすると武器を受け取った後で自分たちを殺して何もなかったことにされてしまうケースも考えられる。


反政府側がクーデターに成功する可能性が高ければ、新政権誕生時に有利な条件で御用商人的な契約を前提として先行投資として支払いを後回しにすることもアリなのだろうが、本社でもまだそこまでの情報を得ることができていないため、軽々に判断することもできない。




頭を切り替えるためにコーヒーを一口飲もうとしたドナルドは、カップの中にはすでに氷しか残ってないのに気がついてバツが悪そうに周りを見渡した時、通路の向こうの席に座る女性客二人が目に入った。


二人ともショートヘアだが、一人は金髪、一人は青い髪。


二人とも結構かわいいのでついつい目がいってしまうのは男としてしようがない。

一瞬鬼の形相の女房の顔がうかんだが、かわいいと心の中で思うだけならセーフだよな、と心の中の女房に手を合わせて謝ったのはひみつである。




「ねぇねぇ、萩野、知らない人に私実は男なんですーって言ったら信じると思う?」


青い髪の女性が唐突にそう質問しているのが聞こえた。


え、あんな可愛いのに、実は男とかあり得ないだろ?

え、マジなの?

ちょっと待って、ちょっと待って、どう見ても女の子だよな?


と、ドナルドは青い髪の女性の方を二度見、いや、三度、四度、いや、まるで壊れた扇風機のように何度も振り返って確かめようとした。


「え〜?」

萩野と呼ばれた女性がいきなりなに、という感じで面倒くさげに聞き返す。


ドナルドにはよく聞こえなかったが、どうやら何故そんな質問をしたのかの説明をしていたらしい。


「あ〜〜〜〜、納得、納得ぅ!」

「そっかぁ、うーん・・・・」


涙目になりながら笑い転げつつ答える金髪の女性の言葉に、ちょっとがっかりした様子の青い髪の女性。


「まぁまぁ雨宮、元気だしなよ、飴ちゃんあげるからさぁ」

と笑いながら慰めている。


「いただいとくぅうううう〜!」


と、雨宮と呼ばれた青い髪の女性は、欠食児童も顔負けの勢いで飴をガッっと奪い取るなり、その場で口に放り込んでバリボリ噛み砕き始めた。


「あんた相変わらず飴舐めないのね」

呆れたように雨宮の顔を見つめながらボヤく金髪の女性。


「ってか、あんた絶対飴舐めないだろう」


「口に入れた瞬間に噛みますが、それが何か?」


そんな二人のやりとりを聞きながら、ドナルドは心の中で仲間じゃん、っと不思議な仲間意識を感じていた。



しばらく漫才のようなやりとりをしていた二人は、突然ドナルドの方を向くと立ち上がってツカツカ近づいてくる。


そしてバン!っとドナルドの席のテーブルを叩くとジッっとドナルドの顔を覗き込んできた。


え?なにこれ、え?え?


突然の展開に青ざめるドナルド。


いやいろいろ心に思ったことはあるけど、口には出してないし、何もしてないよね、俺?だよね?だよね?ね、ね、ね?

なるべく平静を装いながらも、心の中では必死で状況を整理しようと頑張っていた。


「オジさん、さっきからウチらのこと見てたよね?」


「え、あのその・・・・」


マズい、何が悪かったのか頭の整理が追いつかない!




『荻野路為、小説家になろう様にて小説連載中!


竜殺しの弟子と竜王の娘

(link: https://ncode.syosetu.com/n7270fk/)

ncode.syosetu.com/n7270fk/


聖剣さんはけっきょく今日もハミングを口遊む

(link: https://ncode.syosetu.com/n8254fm/)

ncode.syosetu.com/n8254fm/


をよろしく!』



『雨宮みくる、小説家になろうというサイトで異世界もの小説を書いてます!

絵はhttps://www.pixiv.net/member.php?id=6607308

小説は完結しましたがhttp://ncode.syosetu.com/n7476ff/1


よろしく!」




そうステレオで言い残すと、二人は何事もなかったかのように立ち去っていった。



ポカーン、と口を開けて真っ白に燃え尽きたように椅子にヘタリ込むドナルドであった。


ちなみに、後日彼のデバイスのブックマークに二人のページが追加されていたことは言うまでもない。


今回はメインのストーリーに、Twitter で見かけた荻野路為さんと雨宮みくるさんのやりとりを入れてみました、

お二人とも、利用許可ありがとうございました。

訪問してくださった方も、ぜひお二人のページも見てみてくださいね。



--以下定型文--

妄想ベースなので物理原則やその道の詳しい人たちから見ると、んなわけねーじゃん!ってツッコみたくなる部分がメチャクチャ多いと思います。

楽しけりゃいいってノリなのであまり考証せず書いてますけど、そーじゃなくてこーだ!って指摘は歓迎です。

ストーリーや世界観さえ破綻しなければ、さりげなく取り入れてしれっと書き直してるかもしれませんw

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