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スペースコロニーのぼくら(仮)  作者: たいじゅ@音森の館
17/25

お仕事見学 「スペースコロニーができるまで」その2

僕らの乗っている航宙船は一つのスペースコロニーの間近まで来ていた。



スペースコロニー 「セントラルワン」。

スペースコロニーで生活する全ての人々にとって重要な存在である。


セントラルワンの宇宙港へ近づくと、誘導用のレーザーが伸びて進路を示す。

それに沿って航宙船は速度を落としながらゆっくりと進入していく。


僕らの住むスペースコロニー「ナゴ」の宇宙港よりもはるかに規模が大きく、外を見ると様々な航宙船が行き来しているのが見えた。


宇宙港に入ると航宙船は小刻みにスラスタを噴かし、そしてほぼ停止した。

すると左右から伸びたアームが船体をガシッと掴み固定する。

しばらくして乗降用のブリッジが伸びてきて扉の向こう側に密着した。

ブリッジ要員と客室搭乗員はお互いに合図を送り扉を開いた。


さあ、到着だ!




みんなで到着ロビーへ行くと、今回の見学会のために手配された添乗員と、コロニーの広報員が出迎えてくれた。

手荷物は職員がホテルへ運んでくれるというので、みんな最小限の手荷物だけを残して早速第一の見学場所へ移動する。


最初に訪れたのは、スペースコロニー管理委員会本部である。


全てのスペースコロニーは独自の通貨の禁止と軍事力の所有が禁止されている以外は、管理委員会の定めた法の範囲内においてほぼ自由に自治を許されている。

全てのスペースコロニーを統括する管理委員会の命令は強制力を持ち、それに従わない場合は武力行使を含むあらゆる制裁が行われる。

その関係上、警察と軍を兼ねる警備局も管理委員会に所属している。



ジョボい。


それが第一印象だった。


管理委員会の本部建物が予想よりも小さかったから。

失礼かもしれないが、すごく大きな、それこそ物語に出てくる様な巨大な建造物を想像していたのでちょっと拍子抜けしてしまった。


中に入ると、広報員の合図で数名の局員が僕たちにゲストカードを手渡して首にかける様に指示をした。

これがないと局内ではこのロビー以外はトイレにすら行けないのだという。

あ、トイレが近い人のために入り口の側の少し離れた場所に公衆トイレがあるらしいので万が一の時でも安心らしい。


広報員の話では地上部分は主に広報や事務などのセクションが主で、機密に関わるセクションは全て地下に集められているのだという。

もちろん僕らが渡されたゲストカードではそのエリアへは入れず、それなりの権限を付与されたセキュリティカードが必要になるという。


広報員の誘導に従い、僕らは3階の視聴覚室みたいな場所へ入った。

まずはスペースコロニー社会のおおまかな歴史の説明から行うらしい。

正直、社会と生活の授業で何度も習っているので、またかという感じでみんな文句たらたらだったがそれも最初のうちだけだった。


業務用に特注したという大きなモニターと、室内を覆う3Dサラウンドシステム。

さらに映像に合わせて振動する椅子と、まるでどこかのアトラクションの様な設備。

流された映像は僕らが学校で学ぶ時に観ていたものとは桁違いだった。

授業のムービーでは全体でほんの3分ほどしか無く、文章でほんの数行の説明だけで済まされていた様な内容も余さず網羅して映像化されている。


ずっと文句を言っていたヤンチャな連中もいつしか言葉を失ってただ画面を食い入る様に見つめていた。

かくいう僕も目の前に広がる映像美に心をとらわれていた。





かつて人類は地球に生まれ、国家を築き、互いに争い、また互いに協力しあって生きてきた。

様々な生物が滅んでいく中、人類はその知能と道具を作り、使いこなすという能力で他の生物が持つ様な牙や爪、毒などといった強力な武器をもたない貧弱な存在にも関わらず

幾多の種の滅亡の危機を乗り越え文明を築き上げていった。

自分たちを脅かす他の生物を知恵と道具で退け、病を克服し、寿命が延び、爆発的に人口も増えていった。

もはや天敵と呼べる生物は無いに等しく、人類は地球上を我が物顔で闊歩していった。


地球上で人類こそ頂点に君臨する存在だ。

人々はそう信じて疑わなかった。



人口が増えるにつれ、人々は徐々に気がついていった。

異変が起きている、と。


人口が増えれば必要な食べ物が増える。

住む場所もより多く必要になる。

服や日用品もより多く必要になる。


人々は少しでも不足を補おうと必死にそれらを生産していった。

しかしそれらを作るための資源が底を見せはじめていた。


足りない分を補うために、人々は海の中まで手を広げあらん限りの資源を採掘していった。

そして人類が自然を貪っていくたびに、地球は身悶えしはじめた。





地震


津波


火山の噴火


台風や竜巻


大雨


地すべりや雪崩


大規模な地盤の沈下を含む地形の変化。




それらが年々数を増やし、そしてその規模は信じられないほど大きなものになり人類を襲った。



自然界に天敵など存在しない無敵の種、人類。



人々のそんな自尊心はいとも容易く砕け散っていった。



自然の猛威


それは恐るべき力で人類が築き上げた浅はかな文明をあざ笑うかの様に容赦無く叩き潰していった。




持ち前の知恵で、その科学で、自然をねじ伏せる。

そう息巻いた者たちもいたし、一時的にその目論見が成功したかの様に見えたこともあった。


しかし、その結果は常にまた違う形で人類への大自然からの報復となり、やがて世界人口の約13%が失われていった。



大規模な環境の変化により住む場所を追われた人々はやがて、残された食料や資源を巡って争っていく様になっていった。



最初は大国がなにかと難癖をつけて力の小さな国を蹂躙し、その土地と資源を奪っていく様になった。

それに反発し小さな国が共闘しその大国を打倒し、やがて一つにまとまって新たな大国となる。

そして他の小さな国をまた狙う。


そんな不毛な争いを繰り返す中、転機は突然訪れた。





それは衛星軌道上を回る国際宇宙ステーションの外壁に刺さった一つの石である。


何気にその成分を調べていた宇宙ステーションの研究員は驚嘆した。

その2センチにも満たない石にはレアメタルを含む様々な鉱物資源が信じられないほどの純度で多量に含まれていたからだった。

彼らはその石がどこから飛んできたのかを昼夜を問わず探し続けた。

そして見つけたのである。

信じられないほどの規模の小惑星群を。

研究員たちが可能な限りの分析を行った結果、多くの小惑星にはこれまで地球で採掘された資源の総量を遥かに上回る莫大な量が眠っていることがわかった。

その一方が地球にもたらされ、地球で争っていた国々が宇宙へ目を向けるまでにはそう長くはかからなかった。



最初は大国と呼ばれるいくつかの国がそれぞれ小惑星群へ部隊を送り、資源を採掘して地球へ持ち帰るだけだったのだが、やがて彼らは拠点となる宇宙ステーションを作り資源を集めていく様になった。


愚かな人類はやがてその宇宙でも互いに争いを始める様になる。

自分たちがより多くの資源を手にれ、より優位に立ちたい。

それは各国が宇宙軍を編成し戦争という愚かな醜悪きわまる行いを宇宙にまき散らした負の歴史の始まりでもあった。




今回はスペースコロニー社会の成り立ちっぽいのを書いていきます。

少し長くなるかも。


妄想ベースなので物理原則やその道の詳しい人たちから見ると、んなわけねーじゃん!ってツッコみたくなる部分がメチャクチャ多いと思います。

楽しけりゃいいってノリなのであまり考証せず書いてますけど、そーじゃなくてこーだ!って指摘は歓迎です。

ストーリーや世界観さえ破綻しなければ、さりげなく取り入れてしれっと書き直してるかもしれませんw

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