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贖罪  作者: 北村 達也
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贖罪61

 死、それは単なる終着駅ではなく、天国または地獄への経由駅および始発駅でもあり、狭間と呼ばれるその場所では魂の総点検が行われる。


 魂を見ればなぜそれが天国へ行けるか、なぜ地獄へ行ってしまうかが一目瞭然である。


 白いのか、または黒いのか、魂の色を見ればその人がどんな人かを判断することが出来るからだ。


 煙草を日常的に吸い続ける人の肺が黒くなっていくように、悪い考えを持ち、悪い行いを重ねていけば魂も汚れていく。


 地獄行きの魂は黒く、汚く、そして異臭を放つ。


 反対に天国行きは、白く、綺麗で、かぐわしい香りがする。


 何が良くて、何が悪いかの判断基準は人間のそれとは乖離することがある。


 たとえば戦争で人を殺せば自国では英雄だが、相手国ではそうはいかない。


 また、ある時は善だとされたものが、時代の移り変わりとともに悪となることがある。


 このように場所や時代を変えれば、そしてその他さまざまな要因で、善は悪に、またはその逆になりうるのだから、人間に公正な判断は下せない。


 また、自殺の場合も異なる。


 対象が他ではなく己というだけで、殺人であることに変わりはない。


 戦争でもないのに他人を殺めれば法に則って罰せられるが、自殺は罰せられない。


 精神的に追い詰められて自殺に走りたくなる気持ちは理解できる。


 理解はできても、他殺が理由の如何によらず許されないものであるのと同様に、自殺も許されるものではない。


 心に余裕がなく、残された人のことを考えられないのは仕方ないが、自殺することで彼らの心に一生消えることのない深い傷を負わせることになる。


 そして命は属人的であり自分の好きにして良いという考えは、神からの借り物を粗末にすることに繋がる。


 それらを考えれば自殺がこの世で許されても、あの世ではそうはならないだろう。


 その他さまざまな部分で人間の判断基準との乖離が生じうる。


 では魂はどのように死という駅に来て、どのように天国行き、または地獄行きへと選別されていくのか。


 人は死ぬと肉体からヒョロヒョロと魂が抜けていき、肉体と魂の分離がされるが、魂の離脱はもちろん人間には見えない。


 死ぬ前までそこにいた故人は、死ぬともうそこにはいないわけであるから、

亡くなった人を目の前にして悲しむということは、セミの抜け殻を見て悲しむようなもので、

そこにはその人の魂が地上での住まいとしていた肉体が横たわっているだけである。


 人はたいてい死ぬことに抵抗感を持って死んでいくので、

この抵抗感は上がっていく魂に逆らうように肉体に戻りたくて下がろうとするが、

上がる力の方が極めて強いためにそのまま上昇するが、

反対に行こうとするこの抵抗感は魂の形を変形させて尻尾のようになる。


 この結果、魂自体は卵のような楕円形だが、抵抗感の尻尾の部分は、

ウサギを後ろから見た時に尻尾が飛び出た部分が丸くなって見えるように、丸くなって魂についた状態となる。

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