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贖罪  作者: 北村 達也
55/320

贖罪55

 フォスと知り合ってからのストローフィーは人と積極的に会話をしていたが、今ではろくに会話もせずに仕事でもミスを繰り返した。


 仕事が残っていても早々に切り上げて家に帰り、カーテンを閉めてひきこもった。


 毎日そんな調子だから仕事は溜まっていくばかりで客から苦情が相次いだが、彼はそれを意に介さず放置した。


 妻を亡くしたばかりだと、寛容だった客たちもいつまでも彼の身勝手ぶりに耐えられず、他の靴屋へと行くようになった。


 靴屋に行ってもする仕事がなくなった彼は仕事にも行かなくなった。


 家の扉を開くたびに、部屋の中にはフォスがいて彼を出迎えてくれる、そう願って部屋に入ってみるが彼女はいなかった。


 一人で起きる朝、一人で取る食事、そして一人で寝る夜と、これまで二人でやっていたことを急に一人でするようになり彼は虚無感を感じた。


 彼女との食事は美味しかったのに、同じものを食べても今は美味しく感じなかった。


 彼女がいないと何をするにも味気なかった。


 毎日よく一緒に夕日を見たところに行き、夕日が沈みゆくのを見た。


 太陽が沈めば今度は地上に降り立って彼の隣に来てくれるかもしれないと思った。


 だがやはり彼女は現れなかった。家にいても、外にいても、彼女は二度と姿を現さなかった。


 悲しみに打ちひしがれた彼の目からは止めどなく涙が流れ落ちた。


 毎日変わることなく太陽が昇り、沈み、月が出るように、どうして彼女もこれまでのように地上に残してくれなかったのかと嘆いた。


 彼女に会いたい。彼の頭にはそれしかなく、フォスに会わせてくれるように神に祈った。


 願いが届かなくても祈り続け、来る日も来る日も毎日何時間も彼は祈った。


 食事もろくに取らなかったので、みるみるうちに彼はやつれていき、彼が町に食料を買いに行くと彼が誰か周りは分からなかった。


 そしてそれが1か月に差し掛かったある日、彼が夜の暗い中で祈っていると急に部屋の中が眩しくなり彼は目を開けていられなかった。


 光が収まり彼が目を開けるとそこには一人の男がいた。

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