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贖罪  作者: 北村 達也
318/320

贖罪318

 マリスの心を覆っていた憎しみの雲は全て消え去った。


 昇ることを許されなかった愛の太陽は再び昇り、その光を遮るものはもう何もない。


 燦燦と降り注ぐ陽光は凍結された愛の花を照らす。


 250年近く氷の中に閉じ込められている間、何とか命を繋いでいた愛の花が力を振り絞って氷の中から熱を出すと、遂に氷は溶ける。


 花が顔を出すと、凍った大地も溶けて、眠っていた愛の蕾が続々と大地を破り、芽を出して花を咲かせ、愛の花が一面に咲き誇る花畑となった。


 マリスの心は愛で満たされた。


 突如としてマリスの元に一人、また一人と悪魔が現れたが、彼らには悪魔特有の邪悪さが微塵も感じられなかったため、マリスが動じることはなかった。


「ジェルアニストか……。」


 続々と現れた悪魔たちの中に、マリスには見覚えのある顔があった。


「やあ、あんたか。」


 マリスは言った。


 その悪魔は彼が貧民街で出会って、ジェルアニストに勧誘した悪魔だった。


 その悪魔は笑顔を見せた。


「また会えましたね。」


 マリスは頷いた。


「我々の仲間に加わってくれますか?」


 マリスは返事をすることなく、ただ寂しそうな笑顔を見せるだけだった。


 ジェルアンによって助けられた後、ジェルアニストたちは地獄に戻ろうとはしなかった。


 魔力が残っていた者が体を魔力で押さえつけられたと言っていたことから、彼らを狙う悪魔がいることが分かったからだ。


 しばらく様子を見てから戻ろうと思っていたが、やがてジェルアニストの活動はもう支援を受けられないという情報を掴んだ。


 そうとなれば地獄に彼らの居場所はなく、悪魔地獄界の方針と違うジェルアニストをもはや野放しにはせず、彼らは追われる身となるだろう。


 それで、目立たないように地上で活動を続けることにしたが、固まって行動するのは危険なので散らばることにした。


 そのようにして各地に散らばっていたジェルアニストは、突如として地上に現れた愛に包まれた気配を持つ悪魔に直ぐに気が付いた。


 それが誰かは分からないが、同胞になってくれるに違いないと思って、直ぐに彼の元へ集まったのだった。


 続々と悪魔は増えていき、最終的に30人ほどが集まると、その中から一人の女の悪魔が進み出た。


 マリスはその悪魔を知っていた。

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