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 始業式が終わってから、クレイとメーラはケビ

ンの家に向かった。ジャムも一緒だ。

 森の中の歩道は、ここもまた雪かきされていて歩きやすかった。

 「これって、誰が雪かきしてくれているのかな?」

 「たぶん先生たちだと思うけど・・・」

 「大変だよなあ。あ、でも、魔法でやってんのかな?」

 ケビンの家の周りは、とても静かだった。

 一応、警戒しながら来たが、雪に埋もれた森の中は驚くほど静かだった。魔物たちは寒くて動けないのだろうか? 

 ケビンの家もちゃんと雪降ろししてあり、この大雪の中でも無事だった。

 家に入り、言われた場所に妖精の服を置いた。

 「このままでいいの?勝手にとって行くのかな?」

 「たぶんね。妖精って姿は見せないけど、実は近くにいて色々聞いてるらしいんだよね」

 「そっか。妖精さーん、服ができたよー」

 「置いとくよー」

 「お礼は金貨でいいよー」

 クレイとメーラとジャムは、家のあちこちに向かって、そう声をかけてから寮へと戻った。

 金貨というのは、妖精からのお礼の品として有名なものだ。ケビンのように妖精が困っているときに助けてあげると、朝、枕元に金貨が置かれている事があるらしい。

 蜂蜜の香りがする、不思議な金貨と絵本には描いてあった。この金貨は、通貨としては使えないが、価値はあるようだ。

 きっと、ケビンは帰ってきたら貰えるんじゃないかな?とメーラが言っていた。その時は見せて貰おうと、クレイは楽しみにしながら寮へと帰った。

 そして、次の朝。

 クレイは蜂蜜の香りで目を覚ました。

 なんと、クレイの枕元に、金貨が一枚置かれていたのだ。


 クレイのところだけでなく、メーラとジャムのところにも金貨が運ばれていた。蜂蜜の匂いのする、見たこともない金貨だ。金貨の中央には可愛らしい花が彫られている。

 「どうして俺たちのところにもってきたんだろう?」

 「服がよっぽど気に入ったんだな」

 「なんでもいいじゃん!妖精金貨貰ったの、オレ、初めてだぜ!」

 ジャムはよほど嬉しかったのか、さっきからくんくんと金貨の匂いをかいでいる。

 「でも、これ、ケビンのものじゃない?」

 クレイがそう言うと、ジャムが「えー!?」と不満げな声をあげた。

 「ケビンって言うか、ジェナのもんだよな。ケビンが言ってたバイト料ってこれのことじゃない?」

 「ジェナって誰?」

 「妖精の服を直した女の子。裁縫が上手いんだ」

 「そっか。きっとそうだね。これ、ケビンの家に置いてこよう」

 「えー・・・」

 ジャムは少々不満げではあったが、渋々納得してくれた。

 「まあ、高いものだしなあ・・・服を直した人のものだよなあ・・・」

 そう言って、渋々頷いた。

 授業が終わってから、ケビンの家に行くことにした。久しぶりに会った同級生たちと、新年の挨拶をしながら、ジャムは妖精金貨を見せびらかしていた。

 「うわ!どうしたの、それ?」

 「妖精を助けたの?やるじゃん!」

 「ねえ、匂い嗅がせて!」

 「初めて見た~」

 同級生たちから羨望の眼差しを向けられ、ジャムはとても満足げだった。

 「妖精金貨って、そんなにすごいものなの?」

 クレイが聞くと、同級生たちはコーテャーを嫌いだと言ったときと同じく、驚いた顔をした。

 「知らないの?これ、すっごく高価なものなんだよ」

 「そうそう、コレクターがいてね。珍しい金貨はすっごく高いんだって」

 「この模様ってあんまり見ないわよね?もしかして、レア物じゃない?」

 同級生たちが金貨に彫られている花の模様を見ながら言った。

 「た、高いって、どれくらい?」

 「・・・値段が変動しやすいものだから、正確には言えないけど、これ一枚でマーリークサークルに三年は通えるかな」

 メーラの言葉に、クレイは目を剥いた。

 ものすごい大金だ。

 思わず手が震えてきた。

 「せ、先生に預けよう!持ってて貰おう!」

 「んー、そうだな。ジャムのやつが言いふらしているから、下手したら無くなっちまうな」

 クレイとメーラとジャムは、朝一番の授業の担当であるコッコメット先生に金貨を預けた。先生はクレイたちのお願いを聞くと、笑顔で頷いて引き受けてくれた。


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