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パッパース村では、年の瀬にちょっとしたお祭りをする。年内に売れ残った農作物や加工品を持ち寄って、皆で食べるのだ。

 村の公民館に集まり、広場の真ん中に大きな篝火を作る。そこで、野菜や肉を焼いて食べたり、大人は今年の酒を飲み干す。

 「土地神様、今年の豊作をありがとうございます。来年も美味しくて売れるものを作りますので、よろしくお願いします」

 村人皆でそう挨拶し、篝火に向かって手を合わせる。

 篝火はかなり大きく、火をつけるとちょっと怖いくらいの迫力がある。

 「あんまり近づくなよ。芋はこっちで焼け」

 火の番をする大人達が、子供が近づかないように声をかける。篝火から貰い火して作った焚き火で、焼きいもを作る。子供達はこれが大好きだ。

 「焼きいも、まだー?」

 「もうちょっと待てよ。今年の芋はいい出来だったから、美味しいぞお」

 「椎茸も焼こう」

 「肉がいいよ、にくー」

 冷たい風が吹く中、子供達は焚き火の回りに集まり、くっつきあう。

 体調が回復したケビンは、村の男達に囲まれ、酒を飲み交わしていた。

 アカーリアは少し離れた場所でそんな人々の様子を眺めていた。

 アカーリアがこの村に来て、そろそろ一週間がたとうとしている。もう、明後日には年の暮れだ。新年までには帰ると両親と約束している。しかし、アカーリアの魔法はちっとも上手くならない。

 ステアの助言に従い、魔法の使用を禁じて過ごしてみた。昨日、久しぶりにクレイと、メーラと一緒に魔法の練習をしてみた。

 全然上手くなっていなかった。

 ステアが教えたという先輩のような、気づきも発見も無い。

 (・・・わたし、やっぱり、才能無いのかしら・・・)

 気付けは大きなため息を吐いている。

 この一週間でなにかが変わると期待していた。

 自分の悪いところがはっきりとわかるだけでも良かった。しかし、何もわからない。進歩もない。

 この村での日々はとても楽しかった。

 自分の実家ではできない経験をたくさんした。

 畑仕事、料理、洗濯、人間が発明した道具をたくさん使ってみることができた。魔法を使わずに生活ができるように、たくさんの工夫が施された道具だ。道具だけではない。どうしたら美味しい料理を作れるか、どうしたら上手く火をおこせるか、どうしたら服の汚れを綺麗に落とせるか。

 そんな知恵が沢山あった。

 魔法に頼らずにできることはいっぱいあった。

 ここにきて、一番の収穫はそれだ。

 アカーリアはこれまで、魔法がなければ生きていけないと思っていた。しかし、そんなことはないのだ。魔法なしでも生きていける。魔法があれば便利だが、使えなくても死ぬことはない。誰かが言っていた。ジェナだっただろうか?

 (・・・もしかして、ステア先生は遠回しに魔法使いになるのを諦めろって言いたいのかしら?)

 ふと、暗い考えが頭をよぎる。

 期待していただけに、昨日、自分が何も進歩していないことにアカーリアはひどくショックを受けていた。

 慣れない生活のせいで疲れもたまっている。

 肩と首が少し重たい気がした。

 その時、誰かがアカーリアの隣にやってきた。

 顔を上げると、村の子供だった。男の子で年は4歳くらい。たしか、テッドと呼ばれていた。

 両手に、焼きたての焼きいもをを持っている。

 大きい方をアカーリアに差し出してくれた。

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