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21.『懸命』

読む自己。

 月曜日、ついに期末テスト。

 教科が多いとはいえ今回はしっかりと取り組んだため不安は一切存在しない。

 朝の自信を持ったまま1日目の終わりをあっという間に迎える。

  

「菫ちゃん、先輩が来ているよー」

「ええ、教えてくれてありがとう」


 クラスメイトの子の声と、菫の声が聞こえて意識をやれば先輩が確かに入り口にいた。

 おぉ、凄い一生懸命頑張っているみたい。

 となれば私は邪魔をせず穂ちゃんを連れ――


「ど、どうしたのっ?」


 なんか燃え尽きた感が凄くて心配になってしまう。


「ま、全く勉強してなかったから……かはっ」 

「だから言ったじゃん勉強しなよって! 部活動もないのに遅くまでお友達と遊んでいるから」

「だ、だよね……あと2日も乗り越えられないよ」

「頑張ろ? なんとか少しくらいはね?」

「う、うん……」


 うんと言ったくせに早速友達とどこかに行っちゃったけど。

 呆れ笑いを浮かべつつ廊下へ出ると、菫が何故かそこに待っていた。


「あ、杏、今日も遅くなるわ」

「うん、分かった! あ、先輩の家に泊まってくれば?」

「ああ……遅くなるならいいかもしれないわね」

「うん、危ないしさ、楽しんできてよ! あ、テスト勉強しなくちゃだよ?」

「あなたに言われなくてもするわよ」


 そう考えると藤原家にひとり……寂しいから自宅に帰ることにした。


「ただいまー」

「おかえりなさい、なんか久しぶりね」

「あ、ごめんね! お兄ちゃんは?」

「今日もバイトでそろそろ帰ってくるんじゃないかしら」


 そういえば初給料でご飯を食べに行くかって言われたし、そろそろ叶えてもらうのも悪くないかも。


「ただいまー、お、よお杏」

「お兄ちゃん、ご飯食べに行こっ?」

「い、いきなりだな……お金おろしてないから……今度でいいか?」

「うん、それなら仕方ないね。お兄ちゃん部屋行っていい?」

「おう、いいぞ」


 お兄ちゃんの部屋へ。

 どうやらあまり変わっていないようだった。

 相変わらずエアガンが好きで壁にかけてあったり、雑誌が沢山あったりする。

 ……私にはよく分からない世界だけど、なにかを好きになるのは素晴らしいと思った。


「そうだ、今度さ穂連れてきてくれないか?」

「え、どうして?」

「どうしてって……ここだけの話なんだけどさ、俺ずっと穂が好きだったんだよ」

「えっ!? そ、そうだったんだ! 分かった、今度……今日来てもらうよっ」

「え……いや来るか?」

「来てくれるよー!」

「いや、今度でいいんだ。今度ご飯を食べに行くときに連れてきてくれ」

「はーい!」


 おぉ、ここにきていろいろ動きたなあ。

 確かにお兄ちゃんと穂ちゃんだって仲良かったし、うーん……でもどうだろうか。

 私を叩いたりしたことが少しマイナスになる気がする……。

 だからなんとなく壁にかかっていたスナイパーライフル銃をお兄ちゃんに向ける。


「うぉ!? ど、どうしたっ?」

「これ重いね……」

「人に向けちゃ駄目なんだぞ? そういえば楽しくやってるか?」

「うん、ふたりとも優しくしてくれるから。お兄ちゃんこそ楽しくやってる?」

「そうだな、大変だけどやりがいはあるな! 母さんと父さんにお金も少しずつ渡して返していくつもりなんだよ」

「そういうところが好きだなー本当に暴力なんかしなきゃ良かったのに」

「悪い……」


 違う、責めたかったわけじゃないから「でもいまは格好良いよ!」と言っておいた。

 スナイパーライフルを壁に戻して床にゆっくりと座る。

 昔はよくここでお兄ちゃんと遊んだなと思いだしていた。

 途中で穂ちゃんも加わって何故か私の部屋ではなくここで遊んでいたんだよね。

 彼女も結構気に入っていて「至お兄ちゃんっ」とか昔は言っていたんだけど。

 ただまあ大きくなるにつれて「至さん」という呼び方になるのは自然ではないだろうか。


「杏、好きな人はいないのか?」

「うん、分からなくて。多分好きになったとしても相手は女の子だよ」

「ま、昔からそうだったもんなー」


 いまの高校が女の子しかいないということもあって必然的にそうなる。

 それがおかしなこととは思わないのは感覚が麻痺しているからなのかもしれない。


「あ、そろそろ菫の家に帰るね、また来るから!」

「おう、分かった」


 お母さんにも挨拶をして家を後にする。

 自宅から帰るって面白い話だなあ。




 期末テスト2日目。

 とは言っても、これだって同じくらい問題はない。

 終わって先輩が来るのも穂ちゃんが絶望的な雰囲気を出すのも同じこと。


「杏、少しいいかしら」

「うん」


 しかし、今日はどうやら少しだけ変化を見せた。

 先輩には下駄箱に行ってもらってふたりだけでの会話となる。


「杏、今日も……」

「うん、行ってらっしゃい」

「待ちなさい」

「え? うん」


 去ろうとした私を彼女が止めた。

 行ってらっしゃいませ! が良かっただろうか。


「さ、寂しくないの?」

「だって菫が望んでいるならべつに大丈夫だよ?」

「……泊まってくるわ」

「うん! あ、でもお洗濯とかが分からなくて……菫の邪魔したくないから調べるけどさ」

「やっぱり帰ろうかしら!」

「いいいい! 泊まってきてよっ、これは菫のためでもあるけど先輩のためでもあるんだから」


 私がそう言ったら明らかに不服そうな顔で「馬鹿杏っ」と怒って行ってしまった。 

 なんでだろう、先輩との距離感が難しくて焦っているときに無責任なこと言ったからだろうか。

 釈然としないながらも家に帰ることにした。

 でも、19時を超えると少し寂しくなる。

 それまではキスとかすぐに甘えてきたりしていたので、温もりがないのは悲しいかな。

 だけど邪魔はできない、いま菫が真剣になりたいのは古川先輩にだ。


「め、メッセージくらいなら……いいよね?」


 穂ちゃんは諦めから寝ることに一生懸命になっているし仕方ない。

 私は『楽しい?』とだけ送ってスマホを優しく放り投げた。

 誤作動で送ってしまった感を出すためだ。

 し、しかし、電話が掛かってきて慌てて応答ボタンを押す。


「どうしたの?」

「あ……楽しい?」

「まあ、先輩も優しくしてくれるしね」

「そっかっ、それが知れたならいいんだ! じゃあねっ」

「……待ちなさいっ」


 綺麗はすぐ止めてくるから困る。


「穂は?」

「ぐーぐー寝ているよ。そっちこそ先輩は?」

「いまお風呂中なのよ、先に入らせてもらったから電話に出れたということね」


 じゃあもう少し早く掛けてたら電話に出てもらえてなかったんだ……。


「ご飯食べた?」

「うん、でも……菫のご飯が食べた……いいから、そっち優先してくれればいいから」

「……正直なことを言いなさい、寂しいの?」


 ぎくりとしつつも「そんなことはないよっ」と強く答えておく。

 邪魔をする女にはなりたくない、彼女の幸せが1番だ。


「……とりあえず明日帰るわ、テストも終わるし放課後アイスを食べに行きましょうか」

「いいよ、先輩が来るだろうしいてあげてよ」

「杏……」

「大丈夫っ、菫がいなくても大丈夫だから!」


 そのおかげで洗濯とかも覚えられたしいい機会だったと思う。

 あのまま菫にばかり甘えていたら駄目だったんだ。

 電話を切ってスマホを置く。

 今日も私は穂ちゃんの横に寝転んで寝たのだった。




 ……調子が悪かったものの期末テスト3日目の終わりを私は迎える。

 大丈夫だ、やってきたことは無駄ではなかった。

 あとはもう夏休みまで授業がないのでその点もいいかもしれない。


「杏、一緒に帰りましょう」

「うん……帰ろ」


 あ、違う違う……。


「先輩来たよ、先に帰ってるからね」


 そんな連日泊まれるわけではないだろうから今日は帰ってきてくれるはずだ。

 調子が悪いとは言っても特別悪いというわけではないので、下駄箱で靴に履き替え外に出た。


「あっつい……」


 それが少し堪えるけれど、家に帰れば菫だって普段どおり帰ってきてくれるのだ。

 穂ちゃんだってテスト終わって部活動に行けるから元気になってくれたし大丈夫。

 というわけで帰宅して床に寝転んでいると、ぐんぐんと体調の悪さがひどくなっていった。

 スマホを確認したら18時30分を超えており……。


「ただいま~!」

「……おかえり」

「わっ、も、杏っ?」

「あはは……大丈夫だよ、でも少しベットで寝るね」


 汗かいているし申し訳ないけどふかふかのベットで寝たかった。

 菫は今日も帰ってこないのかもしれないと考えたら涙が溢れた。


「杏……泣かないで」

「うん……寂しくなったの」

「菫がいないから?」

「そうかも……」


 彼女は自分のスマホをいじって耳に当てる。


「どこほっつき歩いてんだ馬鹿菫! 杏が風邪引いているんだぞ!」


 声が大きい……頭痛いのに……。

 それで帰ってきてくれなかったら私はもっと駄目になるかもしれない。

 穂ちゃんを責めるべきではなくて、悪いのは私の体調管理不足さだろう。


「……うん、そうだよ、うん、帰ってこい、じゃあね……はぁ、帰ってきてくれるって」

「ごめんね……」

「いいから寝てなよ、菫なら早く帰ってきてくれるからさ」

「うん……ありがと」

「でもお腹空いた~」


 あははと内心で苦笑。

 それから少しして菫が帰ってきた。

 ベットの側面に立って申し訳無さそうな顔でこちらを見てくる。


「ごめん……汗かいたのにベット……」

「……どうして隠したのよっ」

「いや……先輩の邪魔したくなかったの」


 あれだけ菫と一緒にいて嬉しそうに笑う古川先輩の邪魔をできるわけがない。

 協力するとか言ったのに積極的に邪魔するなんてできないんだよ菫。


「私は隠されたことが悲しいわっ」

「……大丈夫だから、私には菫がいてくれなくても大丈夫」

「そ……う……なら……先輩の家に行くわ」

「うん……ごめんね」


 2度手間になっちゃったよね。

 彼女たちは優しくていい子たちだ。

 悪いのはいつだって私だった。

1点1点つけられたけど、最初は、はぁ?ってなったけどさ

点数ゼロよりはいいかって割り切ったら凄い楽になった。


でもやっぱりやる気なくしちゃう人もいるかもね。

評価0でもブクマ0で書いてる俺でも、評価受け付けない設定にしたからね。

まあすぐに戻したけど。

1,1でポイント貯めたいわ。

3も相応しくないし、2だと気持ち悪いから

1で綺麗に貯めたい。だからよろしく、と。


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