1135話 敗者の森
〜メグミside〜
リスク無視で先陣を切り、他の神々より先に下の階層へ進んだものの、アッという間に苗木の養分となり、背中から融合されてしまった男神は……
ようやく「後先考えず動くことの愚かさ」に気づき、背中から樹木を引っぺがした。
しかし……大部分は引き剥がせたものの、すでに根は奴の背中に侵食しており、そこからまた苗木が生えてスクスクと成長してしまう。
皮膚や体組織と同化してエネルギーを吸いあげる、「寄生虫のような木」から身を守るためには、同化されてしまった体組織も根こそぎ切除しなきゃダメだ。
「とは言っても、実際"どこまで侵食されているか"が分からない状態で削り取ることなんて、できないよね〜」
神力で高精度なサーチをすれば、ガン細胞のように体内で蠢く「木の根っこ」を見つける事はできる。
できるのだが……それは「神力発動でエネルギーを巡らせ、根っこの残骸に栄養を与える」のと引き換えになる諸刃の剣。
リサーチして「侵食されている部分」が判ったときには、もう根っこの残骸はエネルギーを爆食いして伸び伸び育ち、新たな樹木となっているのだ。
「で、また引っぺがして逃れようとし"新たな樹木"を……。コイツ、よくこんなに"喰われる餌"貯め込んでいたな。何本樹木を生み出すつもりだよ」
ちなみに……引っぺがされた樹木は、焼くと燃焼エネルギーを吸収してさらに成長してしまうため、そこら辺に投棄された。
だが樹木君達もたくましいうえ、闇神を追い詰めたバラと同じく「自我があるタイプ」なので、自ら起きあがり"生き餌"に再寄生するため動きだす。
「(あっ、モンティート先輩の半身が"木化"した。ハーフドリアードだからか!)」
どうりで、マサルほどの制限をかけたようにも見えないわりに、効果は一級品だったわけだよ!
先輩はハーフドリアードのDNAでバフをかけ、あの樹木達のチカラを底上げしているのだ。
そして坐禅を組み「勝利の瞑想バッファー」となる先輩とは対照的に、肉体の奥深くまで樹木の根に侵食されてしまった男身は……
恐怖のあまりパニックになり、ただひたすらに育ってきた樹木を剥ぎ取る「樹木生産工場」と化した。
「もしコイツが日本にいたら、重宝されただろうな〜。ハゲ山に植林する人材としてピッタリだぜ。一生仕事には困らねぇ」
「何もかも吸い取られて早死にしちゃうけどね〜。だけど砂漠地帯にダンジョンを構える僕としても、この"働きっぷり"は評価したくなるよ」
段々引っぺがし方が上手くなり、より早くより効率的に"樹木を増やせる"ようになっていくのだ。
本人としては、ただただ恐怖で「這いあがってくるゴキブリを払い続けている状態」なんだろうが、コチラから見ると「腕のいい植林職人」としか思えない。
「しかも、樹木達の仲良しなこと。小さな状態で引き剥がされてしまった樹木に、大きい子が栄養をあげ皆で成長していく」
もし魔王や人間も、皆こういう風に協力し合えたら……社会はもっと豊かになるし、同級生との潰し合いなんていう糞イベントもなかっただろう。
「(あっ、また樹木が産み落とされた。というか、大きくなりすぎた樹木が分裂しているし……この本数、もはや森だろう)」
ただひたすら虚無なアンデッドフロアに、あの男身……単体で森を生み出しやがった!
ある意味スゴイ!
本人としては不本意極まりないだろうが、地獄世界の神にしては珍しい「世の中に貢献する仕事」をしていて、素晴らしいと思うよ。
<−−− ガク……ッ −−−>
だけど、さすがに限界か。
極限まで樹木にエネルギーを吸い取られ、空っからに干からびた男身は遂に抗う気力すら失い、膝をついて生きたまま貪り食われる"餌"となった。
そして奴の肉体に残っていた根が、アッという間に全てのエネルギーを吸い取り、これまでの樹木の中で最も大きく黒光りした大樹へと成長。
あの色で光合成できるのかは謎だが……メチャ活き活きしているし、きっと瘴気か何かを喰える種なのだろう。
だがあまりにも森が立派すぎて、後から来た神々はそれが「元ライバルの遺産」だとは気づかない。
『ソンビ臭いダンジョンにも森ってあるんだな』
『ポイント効率悪いだろう。ここの魔王は、基礎の基礎がなってねぇぞ!』
もし樹木一本だけが生えており根本に女装制服の残骸が落ちていれば、奴等だってそれが「元ライバルの末路」だと気付くだろう。
しかし……多すぎて、誰もその樹木が「自分達が抱えている木の成長した姿」だと察せないのである。
同じ種なのは分かっても、「あぁ、ここから苗木を切ってきたんだな」で思考が止まり、その先へ進まないのだ!
一つ「想定外」が組み込まれるだけで、こんなに「パッと見の理解度」って変わってしまうものなんだね。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






