1136話 死の森
〜メグミside〜
離れたところで見ているだけの僕は「あぁ大変そうですね」で済むが、当事者として試験に参加した神々は堪ったものではない。
ゾンビダンジョンに突如として現れた森が、同じように試験を受けていたライバルの成れの果てだと気付くものはいなかったが、雰囲気でヤバさを感じる者は多かった。
『この森、死の影がチラついているな。俺には分かる。ただの森じゃない。確実にここで死者が出ている』
『死臭がする。物理的な臭さは上の階ほどじゃないが、ヤバさが尋常じゃねぇ。たかだかダンジョンのオブジェクトと侮ると、手痛い代償を払わされるハメになる』
存在感を極限まで薄くしていた上の"休憩小屋"と違って、この森はつい先ほど「先走った脳足りん神」によって形作られた自然発生物なので、ダンジョンのオブジェクトではない。
そのため小細工もできず悍ましさがバレバレとなり、後続の警戒心を高めてしまったのだ。
そこまで警戒したならネタに気付いても良さそうなものだが……
何故かソッチの方には考えが回らず、「イキったはいいものの、いざとなるとお化け屋敷に入るのが怖い中学生」みたいなムーブをとり始めた。
『さっき協力してやっただろう? お前が先に行けよ!』
『ふざけんなっ! 俺だって課金装備を2つも譲ってやったじゃないか。それ以上を望むなよ、図々しい』
『2つって、あまり物の格下装備2つだろう? テメェこそ恩に着せすぎだ!』
まずは人柱ならぬ神柱を出そうとケンカを始め、誰も行かないと分かると仕方なく「一時的に皆で動こう」と言い出す。
皆でいればオバケが出ても怖くないって、女子じゃないんだからさぁ〜
集団行動は結果的に「正解」なんだけど……そこに行き着くまでの過程が酷すぎて、奴等を評価できるポイントが一つもない。
「それに、ケンカで時間を取られている間に苗木育っちゃったじゃん? 魔法を使える環境なら宙に浮かせばいいだけだから何ともないけど、素の状態じゃ重いよ〜。それに邪魔!」
なんせあの樹木……モンティート先輩が厳選した甲斐あって、木全体がトゲトゲしている「うざいタイプの植物」だからね。
苗木のうちは可愛いものだが、一度大きくなると抱える度にトゲに苦しめられ苛立つうえ、奴等が着ているペラッペラな女装制服の布を破壊するデストロイヤーに化ける。
しかもそのトゲは、"返し"がついているうえ服に引っ付く最悪の仕様。
敵ながら、ドンマイとしか言いようがない。
だが結果論とはいえ「集団で行動する」を選んだことで、奴等は「植林職人として散る」という僕等にとっては最高……当人達にとっては最悪の結末を回避した。
運のない神が「樹木との融合」を遂げた時点で、他の連中は全員ヤバさに気付き、苗木を放り投げて融合せずに済んだのだ。
『うおっ!? この苗木、ヤバイぞ!!!!』
『寄生してまでエネルギーを吸い取るのか!?』
『ダメだ! こんな物を持って動いたら、俺等もアイツみたいに"出涸らしミイラ"になっちまうよ』
だが試験に合格するためには、そのヤバイ樹木を持った状態でモンティート先輩に勝つ必要がある。
すでに敗者復活戦で廃課金してしまい後がない奴等にとって、「諦めて試験を辞退し帰路につく」選択肢はないので、搾取植物を放り捨てる訳にもいかないのだ。
しかし、奴等の心配は杞憂だった。
いくらヤバさを悟った段階で投げ捨てたとはいえ、樹木の方はしっかりと「生き餌のエネルギーの味」を覚えており、「もっと食べたい」と奴等を自動追尾するから。
じゃあ放っておいても後ろから付いてくるし、楽勝じゃん!
…………という訳でもない。
隙あらば神々と融合して新たな森を生み出そうとするし、すでに死んだ神に取り憑いていた樹木ともコンタクトをとって、皆で仲良く「新しい餌」を食べようと動く。
それに加えて奇想天外に動き増殖するから、どれが「自分の合格の鍵となる樹木」か分からないのだ!
ハーフドリアードのモンティート先輩にとっては、木1本1本に個性がありハッキリ区別がつくようだが………僕には全部「同じ木」にしか見えない。
おそらく僕と同程度の解像度しか持たない、木フェチでも何でもない神々も似たようなものだろう。
『あぁ〜、どうしてこんな所まで来て"木の観察"なんてしなきゃならねぇんだよ! 俺はメグミ派に入りに来たのであって、こんな木と鬼ゴッコする為にこの辺境にいるんじゃねぇ!!』
そりゃあ………お前達が、試験を受けにきたにも関わらずエロい欲望をむき出しにして、アスタリア先輩の身体を好き放題しようとしたからでしょう。
木だったら肢体を舐めるように観察したりひん剥いても合法だし、新たな扉を開いて融合しても………モンティート先輩だって許してくれるんじゃない?
増殖して無数にあるから、ハーレムプレイもし放題だよ!!
樹木軍団にとっては「ただの生き餌」でしかないので、融合した箇所から寄生されてエネルギーを吸い尽くされ、植林職人としての最期をむかえるハメになるけど。
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






