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1115話 美しき拷問部屋




 アスタリアの予想どおり、彼女が担当した神々と<信念のダンジョン>の相性は致命的に悪かった。


 <信念のダンジョン>には、戦闘力より意志の強さを試されるフロアが多く、見た目の清廉さとは裏腹にダンジョン自体が拷問部屋仕様だからだ。



<−−− カチッ、カチッ、カチッ、カチッ、カチッ、カチッ…… −−−>


 ダンジョンに足を踏み入れた者達を迎えるのは、まずタイマー。



 ガラスの床と水で彩られた美しいフロアも、このどこからともなく聞こえてくる「カチッ、カチッ、カチッ」という音が合わさることで……


 どことなく急かされているような気分になり、焦って転び怪我をしやすくなるのだ。



『おぃ、もっと早く歩けよ! というか、神なんだから飛べばいいだろう!!』


『それが出来たらとっくに飛んでいるわい! 完全シャットアウトではないものの、魔法やアイテムを使おうとするとエネルギーが割増で吸われるんじゃ!』



 特に「合格枠を賭けたタイムアタック中」の現在は、皆気が立っているため押し合いへし合いになり、転ぶ者が後を絶たない。


 「神様なんだから、下民のように地面を歩かないで空を飛べよ!」と、ツッコミが入りそうな状況だが……


 皆下調べをしてこなかったので、このダンジョンが何階層まであるか分からず、計画を立てられないためスタミナを温存せざるを得ないのだ。



 それに加えて、進めど進めど「水浸しのガラス床・プール&噴水」しかないため、方向感が分からず迷子になる。


 しかも脱出方法の説明すらないため、時間に急かされながらひたすらフロア内を彷徨うハメになるのだ。






「コアルーム付近は、モンティート先輩がお遊びアタックで到達したのを除いて"未踏の地"だからともかく、上層階は攻略法……バレているんだけどね〜」


 もし神々が驕らずに<恵のダンジョン>以外も調べていたら、アスタリアのダンジョンも序盤は楽々クリアできていただろう。



 だが攻略法やフロアマップなしだと、「はじめまして」の状態で、フロア内に1つだけ存在する「ガラスの鍵」を探すことになる。


 そう……アスタリアのダンジョンで先へ進む為には、「ガラスの鍵」のような「脆い素材でできた鍵」が必要になるのだ。



 そのため力任せにフロア内をブチ壊すと、鍵も一緒に壊れて先へ進めなくなり、次の鍵がリポップするまで強制待機せざるをえなくなるし……


 事前に攻略法を知っておかないと、「景色に同化した鍵を探す」という解法に至らないため、無駄に時間がかかってしまう。



 また鍵は「原則、一つのフロアに一つ」しか存在しないため、ライバルを出し抜き上手くそれを見つけ出して、気付かれぬよう鍵穴に刺さねばならない。


 ただし鍵穴もフロア内にランダムに現れ、一度使われると閉じてしまうため、突破するためには要領よく探す必要がある。



「だからモンスターが襲ってきても力任せに反撃できないし、ストレスがかかるって言われているのよね〜。そうでもないと思うけど」


 アスタリアはそこまで自覚していないが、<信念のダンジョン>は<恵のダンジョン>とは違う意味で厄介だ。



 脆い鍵と鍵穴探しで済む部屋も多いが、フロアによっては「なぜ?」×10 攻撃で、己の思考の浅さを挑戦者に突きつけたり……


 一番キラキラしていた時期に思い描いた希望と、現在の状況が繰り返し映し出される夢を見せ、容赦なくメンタルを抉るから。






 何より厄介なのが……


<−−− ポタ……ッ、ポタ……ッ、ポタ……ッ、ポタ……ッ、ポタ……ッ、ポタ……ッ −−−>



 このダンジョンに設けられたセーフティーフロアが、全然"安らげない"点。


 タイマーの音が鳴らない代わりに、常時ポタポタと水滴が垂れてきて体に当たり、寝ようと思っても眠れないのだ。



 不愉快だからと結界を張ると、魔法等制限のフロア特性に阻まれ出力が不安定になるか、効果自体は出るものの必要なコストが時間経過と共に増える。


 結果……休もうと思っても休めないしスタミナの回復もできず、利用者は徐々に発狂するため、「緩やかに滅びゆく制度」と言われるようになった。



 しかしセーフティーエリアの中に鍵が生えることもあるし、<信念のダンジョン>には10階層ごとに「施設利用回数フィルター」があるため……


 ちゃんと定期利用しておかないと、10階層分進んでから「あれも利用していないと通れないよ」と言われ戻るしかなくなるため、飛ばす選択肢もない。



『チッ! 見た目だけ取り繕った薄っぺらいダンジョンが……。水漏れしてんじゃねぇか!』


『仕方ない。女なんて生き物は皆そういうものだ。合理性の対極にいる存在なんだし、そんなの期待する方がバカだぞ』



 だが……事前調査の欠如によって何も知らない神々は、湧きあがる焦燥感とタイマー音に急かされ、よく考えぬままコストの軽い神力を使用。


 ゴールへ繋がる道を神力<アナリティクス>で探っては、他の誰かに鍵をブッ壊されて情報諸共消え去るという、地獄沼にハマる。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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