1111話 補欠の理由
「どういう事って……もう目ぼしい候補は引き抜いて、別枠で試験をしているのよ〜。つまり貴方達は、合格しても"ドベの補欠枠"」
「正規合格者じゃないから扱いもそれなりになるし、一目で分かる"相応しい格好"にしておくべきでしょう? じゃないと、区別がつかないもの〜」
試験の意図を正確に読み解き、余裕で突破したと思っていた神々は、ゴール地点でモツ鍋を食っていた試験官のキモ子二人に、想定外の指示を出され……
驚きと屈辱感で、頭が真っ白になった。
彼等は直前まで、自分達のことを「いち早く狙いに気付いて試験を突破したエリート」だと自認していたのだ。
そんなところに現実を叩き込まれては、奈落の底へジェットコースターする落差が激しすぎて、受け入れられずフリーズするのも当然だろう。
『『え……っ?』』
「いいの〜? その制服、早い者勝ちだけど。何がとは言わないけど、遅ければ遅いほどアレなことになるわよ〜」
ミニスカポリス姿のモンティートに視線で促され、自分達の制服候補へ目を向ければ、そこには「布面積」と「サイズ」に差がある数多のレディース服が。
『『(落ち込むのは後だ! とにかくブツを確保しなければ、状況はより悲惨になる!!)』』
さすがに機転を効かせて腸輸送レースを乗り越えただけあり、逆境時でも彼等の判断能力は健在で……
素早く全ての服をリサーチして、その中で一番マシな服を選び大慌てで着替えたあと、モンティート以上のキモ子になった自分の姿を見て再び膝をつく。
まぁ仕方がない。
布面積が多いマシな服といっても、所詮はパレオ型やフリルのビキニであり、筋肉モリモリ毛むくじゃらの野郎が手入れなしで着る代物じゃないからだ。
『そもそも、俺達が"補欠"ってどういう事だよ!? ちゃんと正面から応募したじゃないか!!』
『そうだ! 裏口入会枠があるなら、教えてくれれば賄賂を積んだのに!!』
そして全く可愛くないビキニ姿で、モツ鍋パーティー中のモンティートとナーティーに詰め寄った彼等は、二人から残酷な事実を突きつけられる。
「そりゃあ、本当の試験は"控え室"から始まっていたからね〜。サンドバッグをボコるのに夢中で、志願者の数が減っているのにも気付かない無能は要らない」
「そうそう、モンティー子の言うとおり♪ あそこで、正規合格候補と補欠組への振るい分けは終わったの! 貴方達が受けているこの試験は、"つ・い・で"ね」
『『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!』』
「弱者をイジメる〜」云々の綺麗事を吐かれたなら、「モラル? 何それ?」な世界で生きてきた彼等は、納得できなかったかもしれない。
しかし「志願者の数が減っているのにも気付かない無能」と言われては、「状況把握を怠った自分の失態」と受け入れざるを得なかった。
「僕達"古参メンバー"を除いた新規加入組は、全員男なんでね。治安維持を考えると、やっぱりオンナノコが必要なんだ。だからこその補欠制度よ〜」
「良かったわね〜。ウチの女帝<アスタリア>をオンナにするつもりだったみたいだけど、あいにく彼女は"正規メンバー"なんで。オンナ役は補欠がやれ」
また……さすがの彼等も、「控え室から試験は始まっていた」「オンナ役は補欠がやれ」と言われては、なぜ自分が補欠になったか察しがつく。
『『(しまった! アスタリアは、<農民>同盟メンバーのオンナだったんだ!! くそっ、フリーだとばかり思って……失敗したぜ!!!!)』』
フリーであろうとなかろうと、女性を物のように扱い尊厳を奪う行為をしてはならない、という根本的な問題は置いておこう。
彼等は根っからの男尊女卑かつエロに脳を侵された悲しき独身神であり、息子が何万年もニートをし続けたせいで、倫理観が終わってしまったのだ。
そんな彼等でも、「オンナ役は補欠がやれ」という言葉と制服として着せられた水着……この二つが合わさると、悪寒を感じ尻に冷や汗が流れる。
『(えっ? もしかして、この露出激高な服って"脱がせる"前提なの?)』
半分正解。
実際には、防御力を削いだうえでこの後の"適性検査"をやり易くする、試験官側の都合9割だが……
もしウッカリ合格した場合でも彼等の制服はコレであり、セクハラ・パワハラの被害者になっても上は訴えをスルーし傍観に徹する。
つまりメグミ派と仲良くやっていく道はすでに閉ざされ、彼等が持つ選択肢は「諦めて帰る」か「オンナノコになる」の二つだけ。
試験官を含めてバカにした奴を全員薙ぎ倒し、大太刀まわり……という妄想もなくはないが……それが出来たら、こんな試験は受けにきていない。
「何度も説明するの面倒だから、後続には貴方達から指導しておいて〜」
「あぁ、運んだモツはあの箱の中に捨てておいてね。コッチで処理して、今日からの貴方達の食事にするから」
「食費、勿体ないもんね〜〜〜」
ここにパラダイスはないと理解させられた神々の、絶望的な顔をオカズにモツ鍋を完食したモンティートとナーティーは、トドメの一撃を刺す。
いくら他者の臓物を引きずり出せるサイコパスだろうと、その臭いブツを食え……と言われたら、さすがに躊躇うし帰りたくなるのだ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






