1082話 まだ壊れるなよ、情報元
〜メグミside〜
そんな訳で、もはや「正規のルートで入手した現金」ですらない「コピー用紙にプリントした"お札のオモチャ"」を、頭上から大量に降らせたところ……
一気に大量の記憶を失い呆然自失状態の<ゴサン>は、無抵抗のまま「頭への札束直撃」を受け入れ、コチラが意図したものじゃない追加ダメージも入った。
「(ウゲッ!? さすがに上級神だし、あの程度の衝撃じゃ記憶飛ばないよね? せっかく"適度な情報密度"に仕上げた記憶データが、お釈迦になっちゃう!)」
つい慌ててしまったが、神力<記憶操作>で確認したところ、思ったより<ゴサン>の耐久力は高く、記憶は一切飛んでいなかった。
その代わり、紙に絡まった頭髪がパサリパサリと抜け落ちて、落ち武者ヘアーに成り果てたのだが……中身の情報データさえ無事なら問題ない!
強いて言えば、髪が絡まってバッチくなった札束には触れたくないんで、<恵のダンジョン>でそのゴミを"通貨"として使用するのは止めてくれよ。
『ブハッ!! ちょっと待て、この紙の山を"お金"扱いするのは、さすがに反則だろう! どう見ても、子供がママゴトで使うオモチャじゃないか!』
「そうは言っても、そこの国の指導者が<恵のダンジョン>産紙幣を正式に"国の紙幣"として認めた以上、その紙束も"お金"なんで」
『卑怯な……っ!』
そもそもお金なんて、数字が書いてあるから価値を担保しているように見えるだけで、実際には「信用で成り立っているただの紙切れ」じゃん。
戦争で負けた国は、賠償金を薄めて負担を減らすためにハイパーインフレを引き起こすし……
政治で失敗して借金漬けになっても、同じように通貨の価値を無限希釈して、実質"徳政令"に持っていく。
だからマトモな対価を受け取りたかったら、「いつまでに発生した報酬を、どの種類のお金を用いていつまでに受け取るのか」を明確にするべきだし……
契約の時点でそれに気付かず、サインしたお前の自業自得なんだよ。
「(まぁいいや。丁度いい具合に奴の記憶を圧縮できたわけで……今度こそ、皆で力を合わせて"地獄世界の情報"をいただくぞ!)」
まず僕の脳に<ゴサン>の記憶データをコピーして、保存量が限界を超え知恵熱でクラクラしてきたら、次はマサルの脳へ。
そしてモンティート先輩、ナーティー先輩と……可能な限り、地獄世界の情報を注ぎ込んでいく。
ついでに<ゴサン>を無力化するべく、奴の記憶を一部書き換えておいた。
SSランクまで育てたとはいえ、神力<記憶操作>は<眷属創造>に比べると扱い慣れていないので、完璧な処理とは言えないけど……
大量の記憶を抜かれて廃神同然に堕ちた現在の<ゴサン>なら、この粗末な<記憶操作>でも勝手にバグって自滅してくれるはずだ!
「(ちょっとメグミ君、詰め込みすぎ〜! 頭が溶けそうだよぉ〜)」
「(若い<小鬼>の子達はともかく、爺婆しかいない<農民>に記憶限界注入はダメよ! バックアップがないんじゃ、ボケて内容を忘れちゃう!)」
ウゲッ!?
全然大丈夫じゃなかった!
すみません。
モンティート先輩・アスタリア先輩の知恵熱が解消され、記憶を飛ばしてもどうにかなるよう、モンスター達にも協力してもらいバックアップをとります!
<<−−− 記憶データ、インストール中 −−−>>
「(よしっ、今度こそOK! 記憶専用のオートマタを100体生み出して、バックアップをとりつつ情報を注ぎこんだ! これなら、流石に大丈夫だろう)」
だけど、まだ自壊してくれるなよ。
もう<記憶操作>で鍵となる記憶をイジっちゃったから、<ゴサン>が狂い壊れるのは時間の問題だけど、念のためもう少しだけ待ってくれ!
今お前に死なれたら、この場に他の「地獄世界の上級神」がいない以上、知識を奪うための"苗床"がなくなって僕等が困るんだ。
残業ボーナスとして、刷ったばかりの「ハイパーインフレ札」をもう一山くれてやるから、それで積み木でもして遊んでいてくれ。
しかし、そんな僕の願いも虚しく……奴はコチラの"バックアップ確認作業"が終わる前に、記憶のバグによる自壊スイッチを押した。
『お金は、数えて嗅いで舐めて貯めてこそ意味がある! 一枚一枚丁寧に数えて、全てのお金と愛し合うんだ!! あ〜、こんなに沢山。幸せ〜〜〜』
僕が<記憶操作>で奴に植えこんだ自壊スイッチ……それは、貯金をこよなく愛し現金を数える特殊性癖を持つ、変態として神生を歩んだ記憶だったのだ。
先ほど<ゴサン>が指摘したとおり、奴の周りにある現金は「プリンターで適当に印刷した粗末なモノ」であり、見た目も実態も無価値なオモチャ。
だが……そんな当たり前の判断力も、ひたすら現金を愛し現金を抱えこむ暮らしを、おくった記憶を組みこむだけで……
キレイさっぱり消え去り、コピーされた「同じデザインの札(笑)」を無心に数えて、その僅かな違いをソムリエする変態に化ける。
「(ふぅ〜、辛うじて"バックアップの成功"確認完了! もう死んでもいいよ。お前にとっては宝の山でも、僕にとってその紙束は粗悪な燃料にしか見えない)」
カラッカラに干からびた砂漠のダンスフロアで、そんな紙の束に埋まっていたら、火をつけられて生きたまま燃やされるぞ!
読んでくださり、ありがとうございます!
10月8日に、『クラス全員で魔王転生!』のコミック2巻が発売されました!
興味がある方はぜひ読んでくださいm(_ _)m
詳細ページへは、下の表紙イラストから飛べます↓↓↓






