1075話 絶望と希望
何もかも使い切った<ゴサン>とは対照的に、<農民><小鬼>同盟チームは、爆発的な成長を遂げた。
酷い成長酔いで戦闘不能に陥っていたモンティートとマサルが、動けるまでに回復し、自発的に"残業"を申し出てくれたのだ。
「まだ気持ち悪いけど、そろそろ動かないとね〜。あの神様、中途半端とはいえ回復しちゃったし……メグミ君一人じゃ危ないもん」
「そうっスね。経験不足からくる自力差もあるけど、アイツは元々回復タイプのサポート要員。細胞分裂促進の手札も見せちまったし、補助ナシじゃ厳しいっス」
上級神の戦いに中級神が加わっても戦力的な増強は見込めないが、モンティートはベテランの精霊術師ゆえサポート能力に秀でている。
またマサルは根っからの戦士であり、便利ギフト<スキル図鑑>の持ち主でもあるため、バックアップ要員としても立ち回れるのだ!
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〜スキル図鑑〜
相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。
ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。
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「二人ともありがとう! せめてものお礼に、真心を込めた"働神の鼓舞"を……」
「それは結構」「要らねぇよ!」
何よりこの二人は、中途半端にホワイトなキラキラ系労働を好むのではなく、泥臭くても着実に成果を積むタイプであり……
メグミの「無自覚な攻撃」を拒絶しつつ、意外とセルフ・ブラックな気質ゆえ、働神に脳を焼かれなくても自力で限界まで出しきれる。
また裏方として大活躍したアスタリアも、<恵のダンジョン>が回収したエネルギーを一部注がれたことで、完全体の中級神に至った。
モンティート達より更にリソースコントロール力が優れているため、リソース酔いも軽微であり、焼肉弁当を食べ90%回復している。
そして地味だが、裏で支え続けたナーティーとルノーブルも、下級神では頭一つ抜けて「あと少しで中級神?」というところまできており……
戦力差と制約の問題で前線には加われないものの、バックアップ要員としてレベルアップ。
加えて<小鬼>同盟のスティーブ・カルマ・サーシャも、成長しないと、メグミに「やる気が足りない?」と誤解され……
働神パワーで人格をブッ壊されてしまうため、愚痴をこぼしつつも限界ギリギリまで自分を追いこみ、先輩達に追随している。
その代償として、スティーブとカルマは胃がすり減り何度か血を吐いたが……
側にいたメグミの眷属<ヒッキー>が、容赦ない口撃で追い討ちをかけつつ回復魔法で癒すため、傷自体は塞がり彼等の"吐血退場の夢"は叶っていない。
結果として<小鬼>メンバーも、エンドレスで働き「経験つみ放題(本人の意思ではない)」となり、社畜戦士として肉体と精神が鍛えられた。
トドメに、モンティートが不採用にした「メグミ渾身の労働歌」が、ささやかな音量ながら仕事部屋に流れているため……
その呪いが怨霊のように取り憑き、「全ての不都合をエナジードリンク一気飲みで回復する、労働倫理フル無視の社畜マスター」と成り果てた。
そして……ボッチでの戦いになると覚悟していたところに、皆が"自発的な残業で"合流してくれたことで、働神魂が震えたメグミは……
感激で胸が高鳴り、「皆の献身に報いるためにも頑張らなきゃ」と自分に"働神の喝"を100発注入!
漆黒成分をバベルの塔ばりに積みあげ、黒黒しいオーラを纏った"社畜神"として、最後の仕事である「<ゴサン>討伐」にとりかかった。
『待て! 戦うにしても、ちょっと落ち着けよ! なんかお前等……目が据わりすぎていて、キモイぞ!! 冷静になれ!!!!』
「「「問答無用!」」」
二度目の"搾取"に失敗して、(自分では)原因を掴めぬものの完全回復し損ねた<ゴサン>は、3人の狂戦士の空気感だけでビビり冷や汗をながす。
それはホワイト志願者が本能的に恐れる、「ブラックに染まり切った狂社畜との遭遇」であり……
「自分も巻き込まれて黒く染めあげられてしまうのでは?」と、無意識下で魂が震え、防衛本能から逃げ腰になった結果だ。
だが<ゴサン>の心配は杞憂である。
メグミ達は、他の討伐軍上級神を始末したときと同様に、彼の魂も"残しておくつもり"など微塵もないため……
彼の魂が漆黒に染まり、「本物の社畜道」の扉を開き道を極める展開など、存在しないから。
ブラック側とて「意思を持った知的生物」であり、人材のえり好みはするのだ。
<ゴサン>のような卑怯者の根性ナシ……いくら万年人手不足のブラック界隈でも、採用したくないのである。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






