21騎士団復帰と結婚
「マルルー!!!」
0団異動前に挨拶を兼ねて荷物の移動の為、1団に顔を出すと、たくさんの仲間に囲まれた。
ホッとする。
皆が私を心配してくれている。
自分のあるべき場所に帰ってきたという安堵感があるが、残念ながら、0団異動。
荷物をまとめて、0団に持って行き、挨拶する。
0団団長、フラガ・アロ伯爵が待っていた。王妃付きは副長のメロウ・クラランス(ラデン家の分家にあたる伯爵家次女)が統括のため、メロウの元についてしばらくは雑務に付くことになった。
もちろん、メロウ副長は何度も会ったこともあるので、そう緊張することもない。
騎士寮に戻ったのだが、カイウスはその事が不満らしく、週末は必ずラデン家に泊まるように約束させられた。
あと、侯爵夫人にも、何度、ラデン家から通いなさいと言われたか。
流石に、そこは辞退した。
結局、今月中に籍を入れるとカイウスが宣言し、じゃあ、騎士寮生活もあと2週間?と考えて、夫人のお許しが出た感じだ。
雑務だから、余裕があるでしょうと、侯爵夫人の週2回のラデン家お茶会には参加必須。
行くたびに増えている私用のドレスの数に驚く。
「お嫁さんに来てもらうのですもの。これくらいは母にさせて」
と言われてしまうと、何も言えず。
0団になっても。王族との直接調整は副長が行うため、雑務は1団とそう変わりなく。
毎日、筋力負荷をかけて身体を戻す為の運動を行う。筋力の低下が著しい。
今までだったら軽く感じていた運動器具の重りを呆れるほどに重く感じる。
侯爵家から籍を入れるとヤドー家に連絡が入り、両親から慌てたように家に帰れと言われた。
色々と準備するとの事。
愛着の湧いた騎士寮の部屋を片付ける。
侯爵家からは、侯爵家の我儘だから、準備も全て侯爵家でさせてくれと連絡があったらしいが、母と姉達が張り切っているようで。
あまり実感の無い私と比べて、母も、結婚している姉達も浮き足立っている。
久しぶりに帰る家。
長姉が婿をとってからは、何となく遠慮して、寄り付かなくなった。次姉も既に、子爵家に嫁いだ。
姉妹で揃うのは久しぶりだ。
久しぶりに家族で過ごすのは楽しい。姉婿のユリウス義兄さんも、少し話した後は、姉妹でゆっくりどうぞと気を使って退室された。と、いうよりも、姉妹そろわれると居づらかったのかもしれないけれど。
「まさか、ルゥがカイウス様と結婚するなんて思いもしなかったわ。」
長姉の言葉に母と次姉が頷いて笑う。
「貴女、結婚しないでいるのかと思っていたもの。」
と、次姉。
「本当。とても嬉しいわ。」
母は終始笑顔だ。
「ねえ、喜ばしいけれど、侯爵夫人になったら、妹と言えど、馴れ馴れしくできなくなるわね。」
「そうねえ。それは寂しいわ。」
長姉の言葉に、ほうっと、ため息をつく。
「でも、私は私よ。お母さまの娘で、お姉さま達の妹よ?まあ、夜会とかでは順列があって、無理なのかもしれないけれど。普段はいつも通りにして。」
そう私が言うと、皆が笑う。
「本当に、マルルは変わらないわね。」
「ええ本当。頑固そのものよね。」
「騎士になってよかったわね。」
「本当。」
おしゃべりは毎夜、尽きることなく。嫁ぐ前に戻った実家での1週間は楽しく過ごした。
日曜日に、侯爵家と子爵家で結婚の誓約を交わす。
翌日、そろった書類を提出すれば終わりだ。
生まれ育った家で過ごす独身最後の日。
母と姉2人と、同じ部屋で話しながら寝た。
そうだった。小さい頃、夜に怪我をした体が痛くて私が泣いたら、すぐに手当てができるように、母や姉達が一緒に寝てくれたのだった。
私はこんなにも家族に愛されて育ったのだ。
そう思うと、涙が出てきて。
「マルルは大きくなっても泣き虫ねぇ。」
と、小さいときにしてもらったように、姉に頭を撫でられて眠ったのだった。
翌日、書類の提出はカイウスが済ませたようで、職場でも多くの人に祝いの言葉をもらった。帰りは、カイウスと同じ馬車でラデン家に帰る。
「おかえりなさいませ、カイウス様、若奥様。」
ラデン家でそう言われて、ああ。本当に結婚したのだと実感したのだった。
明日、完結予定です。




