22それから
完結に伴い、感想欄をオープンに変更しました。
秋夜会は、嫁として出席したが、何事も無く終わった。
緋色のドレスは、本当に大人っぽく。露出が多いとブツブツ言うカイウスを尻目に、お義母様や、義妹達は大絶賛。
義弟のラクルにも、褒めてもらったが。正直、こんなに女性らしいドレスとか久しぶりで困惑した。
会場入りして、物凄い勢いの注目を浴びる。
でも、私が常に心掛けるのは、カイウスの横に並び立っているという事実を受け止め、背筋を伸ばして笑顔で立つこと。
そう。
背筋を伸ばして。
笑って。
このやせ我慢のような努力が、いつか自然になるように。
泰然として。
よく見るとカイウスの方が緊張しているようで、いつもよりぎこちない。
ふふっと、自然に笑いが込み上げる。
何故かキャーとか言う声が聞こえて、疑問だった。
夜会の後に教えてもらったのだが、どうした事か、私が人気らしい。本当にどうして?
その後、しばらくして、高身長なだけで偉そうに見えるらしいと気がついた。
なんたって、夜会でヒールのある靴を履いたら180センチだもの。
それからは、ますます笑顔を心がけている。
威圧感のある女性騎士とか、怖いでしょうし。
その次の夜会で酔っ払って令嬢に絡んでいたどこぞの令息を伸したら、たちまち噂になってしまい、私の立場は、ますます普通の奥様とは程遠く、カイウスと一緒にいると女性にキャーキャー言われるようになってしまった。
全くもって解せぬ。
それからの話をしよう。
20歳の誕生日を迎える少し前に入籍して、もう3年半になる。
私が嫁に行き遅れなかった事は奇跡ではないだろうか。
騎士団に復帰して、やっと筋力が戻った所で妊娠した私は、またすぐに騎士団を休職した。
20歳ギリギリで長男をもうけ、息子も2歳半になった。
時が経つのはあっという間だ。
私は長男がまだ生後3カ月の頃、午前中だけ騎士団の雑務に復帰した。
別に、私で無くともと思うけれども、女性騎士がやはり少数派なのと、ある程度身元がしっかりした人材しか王族周囲に置けないという理由らしい。時折、基礎訓練は受けるが、やはり子供がいるので、遠方への巡回や長期勤務は避けて、変わらず、午前中だけ雑務中心で勤務している。
カイウスは相変わらず、騎士団の副団長をしている。
初めはぎこちなかった私達も、時に友達のように、時に夫婦として、自然に話せるようになった。
今では、横にいるのが当たり前になってしまった。
そう。それこそ、義母や義妹、私には兄のような態度のリオン宰相と一緒にカイウスを悪ふざけで揶揄う事が出来るくらいに馴染んでしまった。
そうそう。去年、リオン宰相がやっと結婚する事を決めた。
夜会で見かけた令嬢は、私と本当に真逆の可愛らしい令嬢だった。
可愛らしいのに控えめでその年代で1番人気だと聞いていた。以前の夜会で見かけた時には、可愛らしいのに目立ちたくないのか、ひっそりと壁の花になっていて、勿体ないと思ったのだ。
まさか、宰相がその手を取るなんてね。
今度、夜会で一緒にいて守るようにとカイウスと宰相に頼まれた。
私がカイウスに会って変わったように、あの大人しいご令嬢は、何か変わったのだろうか。
彼女と結婚してから、時折、宰相の雰囲気が優しくなったと思う。これは、よく話す人じゃないと気がつかない変化だと思うのだけれど。
カイウスと話すリオン宰相。
仲の良い彼らの雰囲気が好きだ。
宰相が選んだくらいの令嬢だから、性格は問題無いんだろう。きっと、宰相の事だ。全力で守るのだろうな。今度、彼女に会う時が楽しみだ。
最近、カイウスは、お義母様から長男に兄弟を!って何度も言われているようだ。
確かに、もうすぐ3歳だし。流石に年が行き過ぎると私も出産は辛いだろうな。
前回も、時間かかって死ぬかと思ったし。私には、騎士団の訓練よりキツかった。
そう考えると、私のお母様は3人産んでるし。
お義母様に至っては、カイウス筆頭に6人。
2人ともあの華奢な身体で。本当に尊敬する。
「母様。遊ぼう!」
長男のガーラントが模造剣を持って入って来た。
剣技を遊びと称するこの息子は、2歳ながらにすばしっこく、ちょこまかと動き回るため、片手間に相手をすると、不意打ちで一本取られそうになるから厄介だ。
ラデンの男、おそるべしと思う。
しかも、そこらの2歳児より大きいし。
庭で少し相手をしてやり、ガーラントがバテてしまったのを見ていると、何やらいつに無く本気で悔しがっている。
「なぜ、そんなに悔しがってるの?」
と尋ねると、
「お兄ちゃんになりたいもん!」
との事。
全く。誰だガーラントにそんな事言ったのは?
と、思っていると、
「母様、父様の馬に赤ちゃんが生まれるんだよ。ぼくのお馬さんなの!ぼく、お兄ちゃんだから!」
なんて話す。
ああ。馬から見てお兄ちゃんね。
かわいいなぁ。
やっぱり兄弟、いるよねぇ。私もお姉様達に可愛がってもらったし。
この子も、優しいお兄ちゃんになるだろうか。
「マルルー。ガーラント。遠乗りに行かないかー?」
屋敷からカイウスの声がする。
「行く!」
そう言って、ガーラントは私を置いて走り出した。
一生懸命に走って行く後ろ姿が可愛らしい。
屋敷から出てきたカイウスに大喜びで抱きつく息子と、息子を抱き上げて力技で遊ぶカイウス。
2人を見ていて、ああ、幸せだなあと。
今、この時を噛みしめるのだ。
これにて、マルルの話、完結とさせて頂きます。
甘々とした話でも無いのに、ブックマークしてくださった方、作者をお気に入りにしていただいた方、本当にありがとうございます。
はじめての方も、通りすがりに読んで下さった方もありがとうございます。
正直、明るい話でもなく、淡々と進む話で、読んでくださる方は少ないだろうと思って投稿した作品でした。
マルルもカイウスも、シリーズ物の脇役の1人なのですが、とてもお気に入りの人物なので、この後は、連載中の回避できた令嬢は?
でも登場する事になります。
しばらく、回避を書く事に力を入れますが、気分が乗ったら、余談で結婚式の様子など追加するかもしれません。書くなら、カイウス視点かな。
本当に、皆様、ありがとうございました。
インフルエンザの流行が酷いようです。皆様、体調に気をつけて、元気にお過ごしください。
加湿大切ですよっ!
追記
大変申し訳ありません。
実は、年表つけて齟齬が無いように管理していたつもりが、リオンの宰相就任年を間違えて入力してしまっていたため、正すと、まだ、5年経ってない!2年半だ!蒼白となりまして。
どっちをいじるか悩んだんですけど、やっぱこっちだとなりまして。
修正かけましたので、息子ガーラントがちびっ子になってしまい、ガーラントのセリフを修正しました。




