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バンコクにて

 翌朝、レストランへ行くと、日本語が聞こえた。人の会話がストレートに理解出来るのは嬉しいものだ。

 中年の男が、若い男と話し込んでいた。タイに12年住んでいた。医療薬品は日本で買うよりも,こちらの病院で処方して貰った方が、安くて、良く効く薬が貰える云々と。

 食事を終える頃、青年は去った。中年男が残っていたので「日本の方ですか?」

 と、私から話しかけた。静岡県の人だという。インドでの経緯と、怪我の件も話すと、バンコクで日本語対応をしている病院を知っていると言う。


 現地の日本人は要注意、とは聞いていたが、私は自分の直感を信じる事にした。

 S氏と名乗るその男は、実に懇切丁寧に、いろいろと説明してくれた。仮に下心があるとしても、私をその餌食にする対象では無い、と分かれば良いのだ。

 私が、最低年金で貧乏旅行しか出来ない事がわかれば、獲物にはならないと、食指を動かすことは無いはず。

 それを知って、なお親切であれば悪人では無い。田沼のような霊云々の偽善者であれば、利用価値が無いと分かると掌を返す。それがたまたまインドへ入ってから偽善の皮を脱いだので、とんでも無い苦痛を味わった。したがって早めに知って貰えていれば、悪人なら牙を剥く気にならないであろうし、無用な惨事にも遭わずにすむ。

 そのつもりもあって、私の人生の概略を問われ語りに話したのであった。

 実は、S氏は私と同じ階であった。それで、彼の部屋へも行って長話になった。

 彼は、日本から着いたところで、午後はバンコクの友人と会う予定だという。そのあとは、用事があるので夕食を一緒には出来ない、と言われた。


続きは、この後で、後日、書き加えます。


以上、趣味人へ http://smcb.jp/_ps01?post_id=7001679&oid=235598

「インドの旅」 最終章(バンコクにて 3 )



 彼は、日本から着いたところで、午後はバンコクの友人と会う予定だという。そのあとは、用事があるので夕食を一緒には出来ない、と言われた。

 http://smcb.jp/_ps01?post_id=7001679&oid=235598

 より続き


 S氏というイニシャル表示は止めよう。一応、小説として書いているのだから・・・・

 彼は澄川と名乗っていた。中背小太りで坊主頭であった。

「日本ていう国はおかしいですよ。日本に住み続けていると分からないでしょうが、日本を離れていると、実に可笑しな国だと思うのです」


 澄川は12年間、タイと日本を行き来しながら仕事を続けていて、今再び、日本から戻ってきたところという。金融業を営んでいたが、タイの政変で身を隠しているという。その間、インドへも行っていたという。

「オーロビルだけではないのです。インドには沢山あります。その内の一つに、オーロビルがあるのです。僕の知っている長者は、訊ねて来る人がいると、事前に分かると言います。そして、『待っていました』と、出迎えてくれるのですよ。初対面の時がそうだったのです。僕の事は僕自身から何も言わなくても、全て見えている、分かっている、と・・・・」


 まさか、バンコクに来てまでオーロビルや霊性の話になるとは思わなかった。

 もっとも、なぜバンコクに来たのか、という話になれば、インドでの経緯を語らざるを得ない。なにも隠すことでは無いのだから。しかし、霊的な超自然現象には、元々だが、今回の田沼達如何様師(出なければ精神異常者)達の残虐性に完全に幻滅していたところであり、興味を持つ気にはなれなかった。うわの空で聞き流して、もっぱらお可笑しな日本の話を聞いたのであった。


 澄川はいう。

「僕が、日本はダメだと痛感したのは、医療です。もう、10年前のことですが、僕は日本の医者から、前立腺癌と直腸癌を宣告されたのですよ。エイズが心配な頃でもあったし、変な違和感があったので受診したところ、癌が二つも出来ていると宣告された。そして手術しろと。手術すれば、その後は糞尿は垂れ流しになるからお襁褓を使う事になる、と、ね」

「二つも? 転移していたのですか?」

「ショックでしたよ。人生、もう、終わりだと思いましたよ。50そこそこで終わるのかと。泣くにも泣けませんでした。絶望のどん底でした。それで、手術をする前に、タイの病院で再度調べて貰ったのです。すると、ただの良性の腫瘍で、手術の必要は無い、との診断だったのです。嬉しかったですよ。で、日本の医者の診断は何だったのか?あのまま、手術を受けていれば、悲惨な状態で生き続けたことになるのですよ」

 彼はさらに、話し続けた。

以上、趣味人へ http://smcb.jp/_ps01?post_id=7001679&oid=235598

 追加記入する。

タイトル→に変更 「インドの旅」 最終章3 バンコクにて(追加)あり

 彼はさらに、話し続けた。

趣味人 http://smcb.jp/_ps01?post_id=7001679&oid=235598 

より、続き


「その数年後、また日本の病院で、今度は咽頭癌と診断されました。そこで、僕はまたバンコクの病院へ行きました。バンコクの病院でも癌と言われれば、仕方が無い。ところが、またも、良性で癌では無く、手術の必要なしだったのです。あれから5年以上過ぎています。日本に住んでいれば、僕は声も出なくなり、糞尿は垂れ流しで、廃人になっていましたよ。一体、日本の医者とは、医療とは、どうなっているのですか?」

 私には応えようが無い。私の従姉も癌の治療をしていた。すでに5年過ぎており、もう大丈夫だと、本人も兄弟も安心しているのだが、あるいは、誤診のための手術だったのかも・・・・

「日本は最先端の医療では優秀かもしれないですが、でも、名医と言われる医者に、誰でもは診て貰えません。一般には、総合病院の医者が診断を下して手術をするのです。その一般の医者の医療技術は、極端にレベルが低いのです。欧米諸国などとは比較にもならず、タイのような国の医者とも大きく水を引き離されているのですよ。どうしてですか?」

 どうして? と私に聞かれても、応えようがない。それを彼自身が説明するのだった。

「日本の医者や病院は医療制度の点数で稼ぐようになっているから、一度、医者の資格を取れば、あとは勉強しなくても医者が勤まるからなんです。そして、誤診をして手術をすれば、するほど、儲かる仕組みになっているのですよ。下手な医者ほど、病院は有り難いのです。だから、レベルが低いままなんです。欧米やタイなどでは、こんな仕組みはないですよ。医者の資格をとると、直ぐに他の医科大学へ行きます。最先端の医療を学ぶのです。そして病院勤務をすると、今度は患者を自分で獲得するのです。だから、タイの病院へ掛かると、医者が名刺を出しますよ。私の診断と治療に満足して貰えれば、次回も私を指名して下さい、と」


 

 話に興じていると、澄川のポケット電話が鳴った。

 タイの友人かららしく、タイ語で話をした後、私へ伝えた。午後から夕方は雨らしくて、雨なら、迎えに行けない、と言われた云々。

「実は、彼はバイクで僕を迎えに来るのです。それで、雨が降れば行けない、と知らせてきた。その時は久米さんと何処かで夕食を摂りましょうか?」


 外を見れば、確かに曇っていた。ホテル内にもレストランはあるし、澄川氏の知っているレストランへ行っても良し。


 私がタイに立ち寄ったのには、一つ、ある願望があったからである。

 一年前、従弟に従って初めての海外観光で、バンコクのある会社の展示館へ立ち寄った。

 そこで糸紡ぎの実演をしていた若い女性が、タイ舞踊を披露してくれた。

 舞踊の終わった後、「プリーズ、ユーネーム。名前を教えて下さい」

 というと、小さな声で教えてくれたが、聞き取れないので、手帳に書いて、と求めると、はにかみながら書いてくれた。エムさんであった。そのメモを後でよくよく見ると、メールアドレスも書いてくれていたのだ。

 帰国後、メールに写真を添付して送ると返事が来た。それで、タイ旅行のスライドショーをDVDに仕上げて送ったのである。

 御礼のメールが来た。だから、切角タイに立ち寄ったのだから、余所へ行かなくても、エムさんのいる会社へは行きたかった。

 しかし、火傷の傷を治さなければならない。5泊の滞在の内、一度はなんとか出掛けてみたかった。

 とは言っても、鉄道のどの駅であったのか、まったく分からなかった。

 織物実演の会社の名前だけを知っていた。その会社はJ・T社。ネットで調べると、確認できた。傷の加減さえ良ければ、行って見よう。


 澄川氏に、タイでの予定を聞かれて、その話をすると「あの会社は知っています。あそこの社員と付き合いが有りましてね。有名ですよ。あそこの社長は・・・・」

「いや、僕は社長には興味はない。可愛い踊り子にもう一度会いたい、それだけのことです」

 お笑い草の会話のつもりであったが、澄川は、そこで神妙な顔になった。

「久米さんは、インドへ行ったのでしょう?」

「そうですよ」

「なんなのだろう・・・・」

「そこの社長は、実はインドに興味をもっていて、最終的にはインドで行方不明になって、それっきりなんです」

 ?

「彼はスパイでしてね、表向きはマレーシャへ行った事になっているが、実はインドへ行ったのです。インドの超能力者が勢力を拡大していて、それを調べに行った・・・・ところが、です」

 ?

「いや、この話は忘れて下さい。余計なことを言ってしまった」


以上、趣味人へ http://smcb.jp/_ps01?post_id=7012291&oid=235598

「インドの旅」 最終章 バンコクにて4

 以上、アメブロへ http://ameblo.jp/syosetu-123/entry-12174265886.html


つづく


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