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読む側だった私が、書く側になるまで  作者: 八坂 葵
『物書き』としての原点のお話

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第5話 『魔導具師セレナ』が生まれた日

プロット一本目。

ダリヤで出てくる『東ノ国』をモチーフに、醤油や味噌のないファンタジー世界で、それを作り上げた男の子の話を作ろう!

『東ノ国』の呼称を出さず、作り上げた醤油や味噌を外国に輸出するようなオチにしたら、自分の中で『繋がる』はず。


……目的ありきで、書いてても全然つまらない。

キャラクターもどこか見たことありそうで無個性な感じだし。

ちゃっぴー(Chat GPT)、これやめよう。

破綻なくまとめただけの駄作だよ。



プロット二本目。

ダリヤと繋がるのは諦めよう。

グルメ系ならマンガとかも好きだし、一本目の設定をもう少しお話として楽しく広げてみよう。


……話広げすぎて、プロット段階で何の物語かよく分からなくなってきた。

グルメに魔法に恋愛に異種族間交流。

政治まで絡んで、もはやごちゃまぜ状態。

そっと、閉じることにしました。



プロット二本を書いてみて分かったこと。

私は『魔導具師ダリヤはうつむかない』の世界が好きなのであって、それに繋がる別作品とかが好きなわけじゃない。

グルメは食べるのと読むのは好きだけど、書くのは苦手。


ここに来て私は原点に戻ります。

『魔導具師ダリヤはうつむかない』が好きなら、自分なりの、あの優しい世界を作ればいいじゃないか。

こうして今までの方向性をすべて捨てて、『魔導具師』の女性を描くことにしました。


……この時、私の心の中に『書かない』という選択肢はすでになく、書くためにはどうしたらいいか?

そういう方向で考えることだけが残っていました。


とは言え、唯一気をつけたことがあります。

それは、『魔導具師ダリヤはうつむかない』の設定、作品を絶対に汚さないよう、『魔導具師』の要素だけを使わせてもらい、作品としてはまったくの別物とすること。

これが……意外と難しかったんです。


一つは異世界転生。

異世界転生した女の子が魔導具を作って活躍する。

この時点で私の中ではアウトです。

だって、それダリヤですもの。

なので、異色のアプローチを考えてみました。

この世界に転生しようとしたら、出来ない!

結果、この世界の女の子の精神世界で共存するしかなくる女の子。

それが(みお)でした。

これで現代知識を活かして魔導具を作るという設定はクリア出来ます。


次に環境。

ダリヤはお父さんもお祖父ちゃんも名誉男爵。

王都というその国の最先端の環境におり、すでに一人前の魔導具師として活躍(本人の意識はまた別として)しています。


なので王都ではない、少し片田舎を舞台に。

教える人がいないと困るので、ダリヤはお父さんが師匠だったけど、こちらはお母さんを師匠に。

でもお父さんの暑苦しい愛情だけはそのままに。

……ダリヤのお父さん、カルロファンとして諦めきれなかった、唯一真似っ子したのはこれだけです。

全然違う人にはなりましたけど。


あとはどういうスタートを切るか?

ダリヤは独り立ちしてるけど、それだと似すぎる。

それならば第一話のダリヤをゴールに置いたらどうか?

そう思いつきました。

スタートは五歳。

これくらいならある程度話せるし、歩けるし、ギリギリの年齢だろうと。

五歳からスタートして、二十三歳をゴールにする。

話の方向性が次第に見えてきました。


じゃあゴールって何?

まあ、これは書いたらネタバレになるのでまだ書きませんが。

これを決めて、じゃあ起承転結で五歳から二十三歳の人生を割り振り、それぞれでの主人公の設定(何をしている時か?など)を決め、大枠が完成します。


最後にキャラクター。

ダリヤを目指しているので、ここはおっとりして物静かな女の子!

なので名前もラテン語で「晴れ渡った、雲一つない、穏やかな、澄み切った」という意味の「セレナ」。

当初は家がヴェルダの街の近くの森という設定だったので、姓は「森の人」を意味する「シルヴァーノ」とし、『セレナ・シルヴァーノ』が誕生しました。


他のキャラクターはプロット段階で、両親とリオ、初等学校のアミーカ、グレッダ。

高等学校のマリーナ、リディア、マルクス、カリウス、レオニス先生。

卒業後のルーカス、カイル、あと秘密の人を3人くらい作ってあります。


こうしてようやく私の人生初作品。


『じゃじゃ馬セレナの転生錬金術ライフ〜私の魔導具は、みんなを幸せにするためにあるんだから!〜』


が始まることとなります。

今思うと、かなり『なろう系』のタイトルになってますね(笑)

カクヨムの近況ノートから発掘してきたんですが、あらためて見ると恥ずかしいタイトルです。


こんなタイトルにしたのがいけなかったのか、それとも元々その素質があったのか、セレナは名付けの意味など消え去り、元気に暴れる女性主人公として、作品を引っ張ってくれました。

……絶対『じゃしゃ馬』が悪さしたと思ってます。


その後、タイトルを


『じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜


と変更し、初等学校編で終了。

序盤を書き直したリブート版として、新たに


『笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる』


として、今日まで百七十話を超えて続いています。



さて、私、八坂 葵が小説を書き出すに至った背景、いかがでしたでしょうか?


小説の嗜好と同様に、私は誠実な方が大好きです。

Xやなろう、カクヨムで、こんなド素人初心者に嫌な顔一つせず、優しく丁寧に接してくれた方々のおかげで、今の私があると思っています。


だから私は、これからも物語を書き続けます。

誰かの一日が少しでも楽しくなるような、そんな物語を。

それが、楽しいから。

そして、私にできるせめてもの恩返しだと思うから。

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