段取りと晩餐
一行はそのままゴシマの首都イブースへ到着した。
一夜を明かす為、これからでも宿をと思ったがシーに遮られた。
「私の屋敷に来られれば良いですわ。」
14歳で屋敷持ち、流石王女様。王宮のある敷地の隣に(といっても200mくらい離れてるけど)その屋敷はあった。白を基調とした横長の屋敷はまるでホワイトハウスだ。
「おかえりなさいませ!シー様。」
「ただいま戻りました。この方達はベルレ神の御使様御一行。国賓として明日謁見に臨まれる為こちらにお連れしました。風呂と食事と寝所を用意願いますわ。」
「かしこまりましたシー様。お怪我などは?」
「ありません。ソーアでの仕事もこなし、カラハマの敵も御使様の御助力により撃退しました。流石に疲労はありますが国賓をもてなすのに支障はありません。」
「左様でございますか。爺の心配は杞憂であったようです。では早速取り掛かります。皆様、ご案内致します。」
執事の方とメイドの案内で各部屋に通され、まずは風呂へ通される。移動は野宿で風呂に入れていなかったからありがたい。
「ふぅーーーー。」
一気に力を抜いて湯に浸かる。
クオカーフ王との一騎打ちからそのままここまで来た様なもので心労、肉体疲労はピークだった。
このまま寝てしまいたい。でもこのままいると多分ここ数日の傾向から誰か来るので耐えよう。
少しだけリラックスと筋肉を解させて貰って、念入りに身体を洗い、風呂から上がる。
脱衣所に服が無い。
「こちらをお召し下さい。着られていた服は現在洗浄させて頂いております。」
先程の執事とは違う執事が服を手渡し、そに襟付きの洋服を着る。髪の毛は魔法で温風を作り出し乾かしてくれるというサービス付き。
「そのままご会食となりますのでご案内致します。女性陣の方はもうしばらく掛かりそうですのでお待ち頂く事になりますがよろしいですか?」
「構いません。少し今後の段取りを頭で整理したいので丁度良いです。」
「恐れ入ります。ではこちらへ。」
通されたのは中央の間。会食用の長い机と席が其々用意されている。
「カナリ様の席はこちらになります。どうぞ。」
上座の真ん中の席の右隣。中央は主であるシーが座るのだろう。その真横だ。
「さて‥。」
今後の段取り、ベルレ・ガルアに戻り各事業・企画がどう始まっているか確認。2日間かけてポガポガの肉とブルガンジーの肉の確保。作物の支援を願い、北部にあるという胡麻『セサ』の調査で油の精製が出来ればそれを手に入れたい。ペッポの実も補充したい。ここまでの出来事に報酬を得てないからお金足りるかな? 1日イセに頼んで同世代への教室を開く。
そのままソーアへ向かい、移住者の確認とブルガンジーの移動の算段。ドロマイトの採掘と加工の許可。モニーさんと連携してモネザちゃんに運んでもらおう。今回の捕虜を通過させる事も合わせてそれらの行程に2日。
運ぶと同時にガサのタケオに向かい、捕虜の受け入れの段取りと土壌改良の様子を確かめる。ジャー油を仕入れさせて貰ってドーレルさんにクオカーフでのやりとりを話て料理の研究。麻雀の城がどうなったかも楽しみだ。サウラも帰っているだろうから一緒に確認だな。これも2日と見ておこう。
クオカーフへ向かい、此度の戦の報告と盤上遊戯か武闘か恐らく一戦何かしらの勝負があると踏んでおこう。そしてリューコさんの婚約者のいるとされる島へ行く。再会出来ると良いけどそれほど時間の掛かる事はないと願いたい。そしてここに舞い戻り、そのままキサガナルへ。交渉は研究の破棄と戦火の被害の補償、攻めてきた理由が資源などの喫緊の事情であれば対応、といった所か。シーのお姉様目当ての戦だからなぁ‥‥どうしてくれようか。
「ご主人!ご主人!大丈夫っすかご主人!」
「あら?チャル?皆来たの?」
「とっくに来てるっす!なに虚空を見つめて口半開きでボケーっとしてるっすかー心配するっすよ!」
「お風呂で筋肉解したのもあって、頭の中で今後の段取りまとめてたら脳作業のみ機能しちゃってたよ。時折そうなるからよろしく。」
「いや、側から見たら怖いだけっすから気をつけて下さいっす‥‥。」
ごめんごめんとちょいと遅めの晩餐の開始。家主が音頭を取る。
「皆様、今回の件については大変お世話になりました。皆様が居なければどうなっていたか。この国の第二王女として明日の国王の謁見に先んじ、代表して御礼申し上げます。ささやかですが我が屋敷の晩餐をお楽しみ下さい。乾杯。」
「「「乾杯。」」」
「カナリ様。どうぞご遠慮なくお食べ下さい。」
「ありがとうございます。頂きます。」
ギネマとブルガンジーと魚介が主体の食事。言えば何でも出すということでブルガンジーのステーキ4枚とカルボナーラことメメルーシャを注文。野菜は茹でたブロッコリーことカタシンにアイテムBOXから出したマヨネーズのディップで頂く。
「!?それは何ですか!?」
調理長っぽいおじさまが驚き聞いて来る。ここで出すの初見だった。ここ数日の移動はコレが付きものだったから自然と取り出して食べていた。
「マヨネーズという物です。こうして野菜に浸けたり、揚げ物に浸けたりして食べるんですよ。」
「どの様に作るので?!」
「コナッツ?カナリ様の食事の邪魔になります。これだけの量を注文するのですよ?どれだけ空腹でいらっしゃるか分からない?戦を武力と戦略で終わらせ、数百人の被災者の食事までその場で用意して来て更に明日からの段取りまで呆けた状態になるまで考え尽くした果ての食事です。下がりなさい。」
おー怖。事実その通りなんだけどそこまで言うほどじゃ無いよ。シーさんとのさっきのやり取りも心労の内だし。
「しっ失礼致しました!!」
「大丈夫です。気にしてはいませんよ。シーさんも綺麗な顔なのに眉間に皺は似合いません。容赦してあげて下さい。」
「まぁ!綺麗だなんて!」
何とか家主の機嫌は取れたが他の皆の視線が怖くなった。取り敢えず水飲んで落ち着こう。そして肉を食って食って食いまくる。
「ご主人今日は肉ばっかりっすね。」
「正直クオカーフ王との一騎打ちで腕がパンパンのままノクトちゃんにしがみついて乗って来たからねぇ。筋肉の修復にタンパク源がいるんだ。」
「一騎打ち!? 戦好きと伝え聞くあのクオカーフ王とですか!?」
「ええそうです。最後は何か強制的に引き分けになった感じですけどね。いやあ槍で受け流すにしても当たった瞬間の手応えと言ったら流石戦好きといった威力でしたよ。」
「あの槍を使ってくれたんだねぇ。」
「はい。障壁の見事さを見てクオカーフ王も製作者と会ってみたいと言ってました。今度行く時に一緒に挨拶をお願いします。」
「緊張するねぇ‥‥でも了解だよー。」
「大陸一と呼ばれる武力の方ですから力の想像がつきますわ。そこを引き分けるとはやはりカナリ様もお強いですわね。」
「そんな事はないですよ。女の子に連れ去られるぐらいですから。」
「まあw」
今日は食材の分析は止めにしてステーキを2枚追加して晩餐を終えた。何か某刑務所のムキムキのおっさんみたいな食事だな。
寝室へ案内され、眠りにつく。
「ご主人は寝たみたいっすね。流石にお疲れっす。で‥‥枕持ってここに何の用っすかシーさん?」
「寝室で枕と言えば寝る以外ありませんわ。カナリ様と。」
「同衾は無しっす。でもちょうど良かったっすここでご主人の過去を聞いて貰うっす。他のご主人を愛している組は知ってるっす。平等にお話するっすよ。」
「まぁ!それは是非聞きたいですわ。あの時の屋上では話で背景を垣間見た程度でしたから。」
「分かったっす。」
カナリの過去を聞き、案の定シーはその場に泣き崩れ、部屋に戻っても泣き続ける事となり、その夜は更けて行った。




