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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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配膳と垂直上昇

その日の晩はまた被災者への炊事支援を行った。家を焼かれたり砲弾が命中して半壊した被災者の数は2万弱の人口中700人ほどだった。すぐに避難が始まり、侵攻目的が人だった為、規模の割には物損は少なかったようだ。

中央にあった公園を利用して炊き出し作業を行う。

ここでも活躍したのはツバサ。敗戦の捕虜としてメイドをしていた期間に炊事にも勿論携わっており、ハルエさんと共に調理の支援を担ってくれた。 メニューは酢ポガ、ギネマスープ、ランフォーのミニ串焼き、パン。麺を拵えようとも思ったが人手も足らない為備蓄のパンを出してもらった。

肉を揚げる作業はツバサに頼み、餡と野菜を和え炒めるのに集中し餡が固まり過ぎないように作り上げていく。手持ちのジャー油も底を尽き、一部ブルガンジーシチューで賄ったが何とか全員に配膳出来た。


「お味はいかがでしたか?シーさん、カシマさん。」

労いを込めてお二人や護衛に関わった方の分も配膳。味の感想を聞いてみたい。

「酢ポガと呼ぶんでしたね。甘酸っぱい周りのタレと一度揚げている肉と野菜が見事に絡み合って美味しいです。被災した直後にこれだけ美味しい物を食せれば民も活力が湧くというものです。」

「そうなってくれる事を祈るばかりです。カシマさんはどうです?」

「美味い!美味いですぞぉ!これがカナリ様のいた世界で食されていた物なのですね?」

「はい。切る、焼く、揚げる、煮る、和えるの調理が含まれているので野外炊事競技会という訓練の成果発表会でも品目に挙げられる事が多く、私も作り慣れている物になります。身体を作らねばならない兵もこの酸味の素となる酢酸という物質が肥満と病気予防に作用するので調練にも向いている品目なんですよ。」

「缶詰に引き続き何ともまた魅力的な!是非うちの軍にも作り方を御教授願いたい!」

ソーアで見せた目の輝きを再び見せられる。童心に返った人みたい。

「タレの主となる調味料の原材料をガサにて国家事業として今取り組ませた所です。作物が多く収穫、製造が出来てからとなります。気長にお待ちください。」

「なるほど!捕虜を農夫として受け入れるという提案もそこに繋がるという訳ですな!合理的!待ち遠しい限りです。」

でも頭は回ってるのよね。

「その亡命にはクマポンを経由しなければならないのでその段取りに一言口添えを願いたい所です。」

「分かりました。お父様‥国王陛下を通じて彼の国に通達を願いましょう。」

「ありがとうございます。シー王女。」

「その呼び方はおやめください。貴方に比べたら私など矮小たる存在です。」

「これだけ国と友を愛して前線で命を張り続けられる方が矮小などである筈がないでしょう。謙遜されずに。」

はぁ‥と1つため息を吐いてシーは言う。


「貴方に王女という色眼鏡で見て欲しくないと言っているのです。1人の女性として見てください。」


ああ色々とその色眼鏡で見られるのが嫌な経験が多かったのかな?だから前線に立つとか他人の為に動くようになったのかな?

「それとも‥‥王女としての方が‥‥私を見てくれますか?」


ん? 何かこれ違うやつ? ショートヘアの方が‥‥悟◯君の好み?的な?


「えっ?」


「‥‥冗談です。忘れて下さい。」

その表情で言われましても‥‥。カシマもおいたわしやという表情。


「うーむ、お応えしかねるのでその話は後日改めて。すぐにイブースに立ち寄って此度の件を王に報告させて頂き、そのまま一度ベルレ・ガルア、ソーア、タケオ、と周って例のクオカーフの島へ向かい、またここに戻ってキサガナルへ向かう段取りを組みたいと思っています。ここゴシマに戻るのは1週間から10日と見ていただければと思います。」


中々の強行軍ではあるが此度の件を言いに行くのには早い方が良い。クオカーフにリューコさんを連れていくのにも1人で行ってもらう訳には行かないし他の街の進捗具合も確認が必要だ。よって俺が行った順で巡る事で不平等なことを言われる事もなく要件を済ませようという考え。国会議員の全国遊説みたいだなこりゃ。


「此度の件で待ち構えてまた戦になる事も考えられますわね。カナリ様の立場からすれば、相手の力を備えさせる前に向かいたい所だと理解致します。フフw私も大分戦に慣れてしまったようですわね。」

言っていることはアレだがその表情は少女の笑顔でとても可愛らしいシー。頭を撫でたくなる。


「ではすぐに私たちだけでも向かいましょう。明日の朝一番で王と姉への謁見を済ませ、先ほどの段取りに向かわれて下さい。」

「ありがとうございます。ではノクトちゃんにお願いして我々とシーさんを乗せて向かいましょう。カシマさん。こちらの今後はお任せして宜しいですか?」


二つ返事で返ってくると思っていたのにカシマは困り顔で少し渋る。


「一緒に向かいたいのは切望する所ですがこれも治安を担う者の辛い所です。またこちらに来られる時、イブースのおすすめの美味しい物を出す店で語らせて頂けますか?」

「はい。私で良ければ。」

「その約束を胸に、こちらの作業に励ませて頂きます。此度のご助力、隊を代表して感謝申し上げます。」

カシマの敬礼に返礼する。先ほどの童心返り顔から一転、真面目な挨拶。イセのおばさんのシキブさんもそうだけどギャップで慕われてそうだなぁ。じゃあみんなを集めて来るか。


「では早速みんなに言ってきますね。」

「それには及びません。」


ガシッ


「へっ? おわああああああああああああああああ????!!!」


腕を掴まれ、俺は空へ連れ去られた。

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