師匠とドーンw
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2日前 クオカーフ上空
「そういえばカナリ様。ベルレ・ガルアには『2通』送られていたようですが、もう1通はどちらに‥?」
「シーさんにはお世話になったからね。そのお礼になればと思って、『あの人』に依頼をね。」
「あの人‥‥あ!」
「そうイセ様もよくご存知のあの人です。距離としてはあの人の方が近い。例の件の情報も添えたのできっと向かってくれますよ。」
「リューコさん‥‥?」
「さっさと立ちなさい。まだ戦いの最中だよぉ。」
「はっはい!」
頭が朦朧としていたのは彼女の登場で吹き飛んだ。お陰でまだ戦えそうだ。
「しかし1人でこれだけの敵を相手にしようとか、女の子の考える事じゃないよ。まったく‥責任感の強さは変わらないね。」
「そうですね。そう思いますわ。」
「邪魔すんじゃねえぞ!!」
シュッ!! バキャァァァァァァン!!!
「そっちこそ女の子1人に随分な数じゃないかぁ。久しぶりの愛弟子との再会の邪魔すんじゃないよ。」
手甲の裏拳1発、獣人兵は横回転して海にドボン。
「次に犬掻きしたい奴はどいつだい?」
自作の魔道具であろう装備を身体中に身につけて常在戦闘状態の女に敵兵達はたじろぐ。その中でシーは他とは違う感情を読み取っていた。
(なんだか‥嬉しそう?)
「と言ってもこちらの民は避難させたし、もうすぐ日が暮れる。そちらもシーが沈めた船の船員の救助に当たりたいだろう?どうだい?本日はお互いに引くって事では?」
「あちらからの指示はない。ならば戦闘は継続だ!」
「おーおー命令に服従するとはご立派な事。じゃあこちらは‥と。」
親指で小さい球を弾いて獣人兵の鼻っ柱に当てて行く。
「ふぎゃァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「なんだ!どうした!!」
獣人兵達が鼻を押さえて苦しみ出した!
「じゃあ一旦皆さようなら。シー、行くよ。」
そう言ってシーを抱えて船を飛び降り、セレッソ隊の小舟に着地する。
「待て!! !!??」
魔人族の目に入ったのははるか小さく見える小舟。何であんなに小さく見える事に一瞬戸惑うもすぐに状況を理解して戦慄する。いつの間にかこの船は魔道具によって上空に持ち上げられていたのだ。
「ドーーンw」
クイッ
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
ズガァァァァァァァァァァァァン!!
船は墜落し、他の帆船を巻き込む。 海に逃れた者を車輪船が救助し、一旦沖に離れて行った。
「とりあえずここは退けたって考えていいかな。」
うおおおおお!姉さんすげぇ!!シー様もありがとう!!と兵達から声が上がる。
「リューコさんありがとうございます。でもどうして?ベルレ・ガルアでお店をなさっているはずでは‥?」
「愛弟子の妹分の危機に駆け付けない程野暮じゃないと言いたい所だけど、御使様から連絡を受けたのさ。」
リューコは一枚の書状をシーに見せる。
『ズク・リューコ殿へ 約束通り、クオカーフで情報を求め、貴女の婚約者シンメイはクオカーフとオタイオの国境沿いの近くの島にいるという情報を得ました。すぐに向かいたいとお互いに思う所ですが同時に貴女の妹分シー・ザ・カイさんの国ゴシマにキサガナルが侵攻を開始したという知らせも受けました。私の位置からは遠く、助けが間に合わない可能性があります。どうか妹分の危機に先に馳せ参じて貰えないでしょうか?よろしくお願いします。 カナリ』
なるほど。リューコさんが機嫌が良いと感じたのはこの為か。カナリ様も私を気遣って下さり感謝しかない。
「いやあ文字通りすっ飛んできたけど場所が分かんなくて、嵐と雷見えてそこが戦場だと分かって良かったよぉ。間に合ったー。」
「ありがとうございます。本当は婚約者の方の所に向かいたいでしょうに‥。」
「何言ってんだよぉシーも大事な愛弟子で本当に妹と思ってるんだから助けたいに決まってるじゃないかぁ。それにシンメイがそんなに簡単にくたばる訳ないしねぇ。散々待たせた分後回しにするよぉ。」
申し訳なさそうにしょぼくれた愛弟子の頭を撫でてにっこりと微笑む。セレッソはそれを見て幼馴染に良い師匠が付いていてくれたのだと自分ごとの様に嬉しくなった。
「ただ連絡くれたあの人がガサに行ったと思ったらもうクオカーフに行ってたのには驚きさぁ。『ガサで暗殺されかけたので黒幕側のクオカーフ行って贖罪の内容を提案して王と一騎打ちの試合して友好の証貰ってきたからいつでも現地へ行けます』ってもう無茶苦茶だよぉあの御使様。飛んでってから一週間と経ってないんだよ?」
「アハハ‥。戦いぶりは拝見出来ませんでしたが、その後の指示も祝宴での演芸も素晴らしかったので只者ではない事は分かります。流石神の御使、あのイセお姉様の想い人と思わされる活躍っぷりですね‥‥。」
「ああ。流石ベルレ神が遣わせた男だよぉ。再会したらお礼をしなきゃだねぇ。」
「はい。」
小舟を岸に着けて下船し、1つ質問する。
「先程敵兵にぶつけてた球は何ですの?アレも魔道具ですか?」
「ああアレは‥。」
目の光を無くしてフフフと笑いながら
「ニ・オ・イ・ダ・マ・w」
冒険者御用達、魔獣にも特効の特別調合だよぉと笑いながらリューコは自慢げ。恋人が帰らない理由これでは? それに助けられたのだから文句はないが‥
‥‥でも何故だろう?師匠が来てくれて嬉しいのに、あの人が来てくれないのかと思ってしまったのは‥‥




