強制マリンスポーツと船上戦
「民の避難が完了しました!合わせて突如嵐と雷が敵帆船を襲い、4隻が大破撃沈しております!おそらくシー様の御技かと!」
「流石ゴシマの最高戦力‥‥重ね重ねかたじけない‥。良し!これで憂いは無くなった!セレッソ、お前の隊と私の隊で戦線を押し戻す!獣共に遅れを取るな!!これより防衛戦から白兵戦へ移行する!」
「はっ!!」
歩兵隊が隊列を組み直し、市街地戦にて迎え討つ構えをとる。兵の士気はシーの参戦により鰻登りで前線を押し戻して行った。
「はぁはぁ‥‥ウチの船は‥やられたのか?」
獣人兵は浮かぶ板に掴まり、周囲を確認して自分の船が全滅した事を知る。
「あんなのありかよ‥天変地異を起こせる奴が相手って‥‥。バケモンか‥‥。」
「少女の褒め言葉には向きませんわよバケモンなんて。」
「うわぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「そこまで驚かれると流石に傷付くのですが?」
男の前に舞い降りて来たのはこれを起こした張本人。シーは男に近づき、手を翳しながら質問する。
「幾つか質問に正直に答えたら命は助け、亡命の手引きを手伝いましょう。首と胴が離れたければ今すぐにでも?」
「分かった!!分かったから手を退けてくれ。」
本能で毛が逆立ち、命を乞う獣人兵。
「あなた達の今回の目的は?」
「イブースにいるライフって女の身柄だ。このカラハマから上陸してイブースまで攻めてそこで身柄を確保しろと言われている。逃げられる心配があるから速さが重要で俺たち獣人が先鋒を任された。」
やはり狙いは私の姉か。確かに速さが必要で動ける獣人兵を使うのは理に適っている。だけど、
「貴方達は人間族を襲う事に時間を取りすぎたみたいですね。」
獣の猟奇的本能とでもいうのだろうか、侵攻速度よりも自分達の悦楽を優先した者が多い。そうなる事が分からない上層部ではないだろう。
「‥‥次の質問です。魔力無効化の装置がどこかにあるはずです。その所在は?」
「それは分からない。」
「ふん?」
手に魔力を込める。
「本当だ!!だけど昨日は街の東端に行った時に俺達の仲間の魔法は使えた。効果に範囲はあるという考えだ!」
「それを貴方達に伝えていない事が気になります。理由として考えられるのは?」
「それは‥‥。」
「貴方達の船だけ障壁で守られていなかったのは?」
獣人兵の先鋒、人間族を襲うのを優先するのを見越している、効果範囲を伝えていない、船に障壁が無い、これらを結ぶ結論は‥‥
男は思い至った事を悔しそうに口にする。
「俺達が‥‥捨て駒だからか‥‥!ウォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
男は悲しい遠吠えを上げる。大粒の涙を流し、身を預ける舟板にこぼれ落ちて行く。
「気は済みましたか? 今の遠吠えで誰かここに来るかも知れません。私も離れますので板に乗って『しっかりとその板を握って』下さい。」
「えっ?はっはい!」
男は指示通りしっかりと身体を板に乗せ預けて両端を握る。
「最後に貴方のお名前と、ご家族は居まして?」
「名前はクルーガ。両親はいないが妹が1人‥。」
「そうですか。クルーガ、その妹を大事になさい。同じく兄弟がいる者として、私は『姉』を守ります。」
「えっ!?ってことはぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ???!!!!!」
風魔法で板ごとクルーガを隠れられそうな遠くの島の岸まで送る。ええちょっと腹いせに速さは超特急にさせて頂きましたが。
「おっ女が浮いてるぞ!?」
「何だ?海に投げられた要救助者なら引き上げてやr!?」
無事だった帆船がこちらの様子を見に来たようだ。宙に浮いている私を見て即座に攻撃態勢を取る。こちらの船は獣人兵と魔人族兵の寄せ集めな様だ。気づいた2人を風魔法で切り裂きながら私は甲板へ上がる。いつ魔法が使えなくなり海にドボンするか分からない場所にはいられないから。
「女!仲間を切り裂いたという事は敵って事だな!?」
「はぁ‥見てわかりますでしょうにお馬鹿さん。」
「うるせぇやっちまえ!!」
魔人族が指示を出し獣人兵が飛びかかって来る。
ビカカカカカカカカカカカカカカッッッッ!!!
「「ぎゃぁぁぁ!!」」
そこをまとめて一閃。アイテムBOXから取り出したのは鎖鎌。伸縮自在で薙ぎ払い、切り裂きぶん回す。獣人兵の動体視力でも先端の速度は捉え切れず、そこに集中したらしたで鎌の一撃か反対の先の分銅が襲い掛かる。鎖をぶんまわす事で飛び道具も弾き落とす。
「小娘1人に手こずるな!フローリン・フリーザ!!」
魔人族は甲板を一気に凍らせて足場を奪って来た。だがシーの周りの足場は凍らず、蒸気を上げてドンドンと溶けて行く。
「一瞬で甲板全部を凍らせる魔力は認めますが‥‥私の姉と国を思う熱い心を凍らせるには足りない様ですわ!!」
無詠唱魔法で床に熱を加え、相手の氷を蒸気に変え、辺りに霧が立ち上がる。鎖鎌で霧を吹き飛ばしながら見つけた敵を片っ端から叩く。
「副隊長!あそこに!」
「シーさん!」
セレッソの隊は善戦し、入江中腹の港に辿り着いた。そこで敵船の状況を確認し、左端の船で霧の中で戦う1人の少女の姿を確認する。
「シーさんを手助けに行く!小屋から舟を出して左端の敵船へ!」
「了解!!」
手漕ぎ小舟で一斉に沖へ出て来るセレッソ隊。
「!! セレッソさん!まだです!」
シーは咄嗟に叫ぶ。
「えっ!? うわあぁぁぁああ!?」
突如横から魔法弾の嵐。魔法封じの外に出て機会を窺っていた敵別働隊の的にされてしまった。
「セレッソさん!!」
「隙あり!!」
ガン!!
「ガッフゥ‥!!」
棍棒の一撃をモロに喰らい船の縁にもたれ掛かる。当たりどころが悪かったのか意識が朦朧に。
「散々手こずらせやがって‥‥死にな!!」
「!!」
‥‥‥‥‥
獣人兵の斧は振り下ろされなかった。
「‥‥‥『1対多の時は敵全体を見える位置で目の前の敵にとにかく集中』と教えたはずだけどねぇ。」
獣人兵の腕をへし折り、敵に投げ返す女性。久々に見る戦う姿。シーの目の前に立つのはあの頃いつも憧れて見ていた背中。
私達の先輩であり師匠。
「どうした?しっかりと立ち上がって戦いな。ここはあんたが守る国だよ。」
ズク・リューコ 推参
側頭筋の一部断裂の様でした。 ペース落としてすみません。




