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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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大試食会と2つの知らせ①

夜の会食の場では豪勢な料理から素朴な家庭料理等数々の品が並び俺達を圧倒した。

この数の品を用意するには相当時間が掛かっただろう。


「元々サウラが来るという事で食事は良いものを用意していたのだがな。先程の試食でジャー油の存在を知り、普及の為の意見も聞きたいと思い、家庭的な物も用意させて貰った。晩餐ならぬ大試食会と行こう。存分に腹は減ったであろう?」


またニヤリと笑ってこっちを見る。その笑みとこの食事達を見て、修練場に行く前に指示を出していて、技の習得と合わせてこちらを用意する時間稼ぎをしたのだと理解した。あれだけ動いた事でめちゃくちゃ腹が減っているのもこの王の計算の内という事だ。どれほど俺から情報を引き出したいのやら。オセロに負けたのそんなに悔しかったのかな?(笑)


「仰る通りあれだけ動いた上に魔力消費もあって空腹の限りです。でも風呂で気も晴れて頭は冴えている状態ですので『その周りにいる料理人』さん達の求める様な意見を出せそうですよ。食す時に料理の名前と解説だけはお願い致します。」

「御使殿の察しの良さと対応の早さに感謝してサウラ含む他の皆も意見を聞かせて貰いたい。では晩餐を始めよう。」


黙祷を捧げ食事に入るのがクオカーフの作法の様だ。食となってくれた命に感謝する。


「この城の調理場を仕切っております。アラチと申します。僭越ながら私が料理の説明をさせて頂きます。質問も何なりと。」


恰幅の良い中年男性が俺の横に付き、配膳と解説を担ってくれるようだ。

「ありがとうございます。ですが目移りしますね。どれから行けば良いか。」

「こちらの野菜盛りから如何でしょうか?」

前に置かれた野菜サラダ。それに掛かっているのはゴマか?

「掛かっているのは何でしょう?」

「セサという小さい粒で油分や旨みのある物なので味気の薄い野菜盛りに味付けとして加えております。」

「油に加工はされていますか?」

「この城では加工しており、主に肉料理にその油は使いますが、市井ではおそらくそれほど採れるものではないので行なっていないものと思われます。」

海洋国家で土地の面積が少ないという前情報で、調味に使う物よりもメインで食べる物を優先しているのだと推測していたがやはりその傾向があるか。無いのならある所から持ってくる事になる。貿易資材の1つとして考えておこう‥‥。そう思った時ふと1つ思い出した事をハルエさんに聞く。

「ハルエさん。以前言っていたハルエさんの生まれのベルレ・ガルア北区の木の実とか作物って‥。」

「はい。このセサもありますね。」

ビンゴだ。ベルレ・ガルアの資料を最初に見た時に調味料になりそうな食材で北区のその作物の名前を聞きそびれてた事があった。このセサがあるのなら取引も可能かな。

「何だ?一品目からもう貿易の芽が出たか?早すぎるぞカナリw」

書記よまとめておけと命が下り、俺の発言は全て記録される事となった。


「続いてはジャガンの蒸しです。乾酪を付けてどうぞ。」

所謂じゃがバターである。流石海洋国家、塩の味は美味いのだが‥。

「乾酪に塩を混ぜていないのは何故ですか?」

蒸したジャガンに塩を振って無塩バターを掛けているのだ。

「こちらでは乾酪は菓子にも使うので無塩が基本なのです。」

「ではそちらのモミージの卵料理なんかも?」

手にしたのはオムレツ。バターの香りはするのでこれにも使われていると分かる。

「ガサと同じく、こちらでもブルガンジーの乾酪は貴重で、魚主体の食事である我が国ではそれほど使用しない事もあり、無塩で乾酪を使っている次第です。」

魚に塩味付いてるから更に加塩する必要が無いのが理由か。

「分離しない程度に塩を加えて肉料理などには使用してみるべきかと思いますね。特にブルガンジーは。」

「心得ました。」

「あと魚では無塩乾酪で良いのでジャー油も合わせて蒸し焼きにしてみて下さい。期待出来る味になると思いますよ。」

「はっ!今から味が楽しみです。」


「カナリ様。こちらの魚が美味しいですわ。お試しになって下さいな。」

「ありがとうございます。」

イセから渡されたのはおそらく鯛。その香草焼きだ。

「そちらはメーデという魚の香草焼きです。何処を食べても美味い事から貴賓の来訪や祝い事に食べるのが習慣となっております。」

「香草も効いてとても美味しいですね。前の世界でも頭から尻尾まで美味い魚と評判でした。これもジャー油と酒で煮込むと美味くなると思います。結構どの魚の煮付けでも上手くいくと思うので合う魚をお探し下さい。勿論昼にお出しした刺身で頂いても美味しいですよ。」

「最早心が躍るのを隠せませぬな。童心に返った心地です。」

「良い笑顔を創出出来て私も心地良いです。」

そう言いつつ、横で残り全部掻っ攫って行く従者の頭を撫でる。


先程のオムレツにケチャップとマヨネーズを取り出して一同を驚かせた後は揚げ物。

「昼間に刺身で頂いたハナヤリの揚げ物です。」

「パン粉を使った揚げ物ですね。」

つまりマグロカツ。鼻が槍みたいなカジキマグロだからこちらではハナヤリなのかな?肉よりもサッパリして美味いのだがやはり魚フライにはアレが欲しくなるね。


「茹でたモミージの卵はありますか?」

「あります。次はこちらをお召し上がりに?」

「いえ。小皿を1つ貸して下さい。」

そうしてゆで卵を3つほど剥いて潰し、マヨネーズを和えてタルタルソースの完成だ。各人の皿のフライの上にかけて食す。


「美味ーーい!!」


食した皆が満場一致で高評価。やっぱこれだねー。



「まだまだ腹は空いているな?まだこれほどあるからどんどん意見を聞かせてくれい。」


こうして次は海洋国家の『肉料理』へと進む。

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