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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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メキとメキ推しの者たち

横にねっ転がって来たのはメキだった。


「今日はチャル先輩が見張り番になったからアタイが主の監視役さ。」

タンクトップと短パン姿のメキが翼を折り畳んで横に寝てくる。


「監視は添い寝しなくてもよくない?」

「いつもチャル先輩は一緒になって寝てるみたいだけど?アタイはダメか?」

「アレは寝てる間にチャルが猫の本能で来てるだけで許してないんだけどね。」

「そうなんだ。でも心配なのは分かってくれ。実はさっきイセ様と会った時聞いたんだ。あの会話の最後に無詠唱で睡眠魔法をかけたらしいんだけど効いてないみたいだったって‥。」

また不意打ちでそんな事してたのか。


「そうされても眠れない‥。確かに心配になるな。」

「だろ?だから少しでも安心してもらえる様にアタイが来たのさ。イセ様の膝枕でめちゃくちゃ気持ち良さそうに寝てたの見て、主もやっぱり人肌や柔らかさで安心するんだと思ってる。だから‥」

そう言ってメキは自分の谷間に俺の頭を放り込み、柔らかく抱きすくめる。


「安心してくれ主。こっちの世界はあんたを拒否しない。」


拒否という言葉に心が痛んだ。ああ俺はあの世界に拒まれた存在なんだと急に自覚が湧いたからだ。そしてそれは周囲の人間にはバレているという‥‥。


勝手に涙が溢れて来てメキの服を濡らしてしまう。


「ごめん‥‥。」

「いいよ。アタイも(ねえ)の死を知った時、心の底からこの世界にアタイは嫌われたと思ったりそこから悲しんだり憎んだり色々あって族長としての責務で心を保っている所あるから。神からの使命という別の形とはいえ責務を背負った似た者同士、これからもやって行きたいぞ主。」

メキはあやす様に頭を優しく撫でる。その手に出来た剣ダコの感触まで愛おしく感じた。こんなんプロポーズやん。 そんな事を考えて安心したのかイセの魔法が今になって効いて来たのか急遽睡魔に襲われ、俺は眠りについてしまった。


「寝ちゃったか‥ちょっとあっちな展開も覚悟してたんだけどなぁー。まあいいかアタイも寝ちゃおう‥。」





次の日の朝。


「ご主人〜。入るっすよー。」


その声で俺は目覚めたが目の前は真っ暗。谷間に埋もれた状態で拘束されたまま寝ていた。

こんな状況見られたら後々面倒だ。一気に拘束を解き、起き上がるとメキは身体ごとベッドから転げ落ちる。閉じた翼が床に打ち付けられた痛みでメキも覚醒する。


「痛ってぇー‥。目覚ましにしちゃ乱暴だな主〜。」

「ごめんごめん慌てて起きたから。」


チャルがそのまま部屋に入ってくる。


「ご主人おはようございますっすー今朝の調子はどうっすかーーー??(↑↑)」



乱れたベッド、落とされた掛け布団、近い距離の2人、薄い寝巻き姿‥‥



ポクポクポクポクポクポクチーーン (状況把握しました)


「いやぁお取り込み中に失礼したっす。」


くるーりと回れ右して非常口のマークみたいなポーズで出て行こうとするチャルの肩を掴み、向き直らせる。

「えっ?!もしかしてご主人ボクの事もそのままっ!?」


「ナニモシテマセン ナニモシマセン。」


と言ってチャルに何もなかった事を伝える。


「あー、じゃあいつもボクがやっちゃってる事をメキもしただけなんすね。」

「そういう事。まあ落ち着いて寝られたお陰で何となく調子は良いよ。」

「それは良かったっす。じゃあ朝食食べて今日の予定をこなすっす。」

「アタイも準備するよ。着替えてくる。あっそうだチャル先輩。」

「何すか?」

メキはそっと耳打ちをする。


「主の泣き疲れて寝た顔‥とんでもなく可愛い。」


猫人族として瞳を縦に細くしながら耳を立てるチャル。

「じゃあ今日はボクがそれを独占するっす。」


2人は親指を立てて何かを誓い合う。何してんの?



ドーレルさん作の朝食を頂き、今日の予定はまず職人に麻雀牌と卓の説明をし、仕立てて貰う段取りを付ける所から始まった。サウラもあれはどうじゃ?これはどうじゃ?となるべくイメージ通りの物に近づける為、装飾から礼儀作法から根掘り葉掘り聞いてくる。自分のイメージになるべく近づける為、イデアも駆使して説明をさせて貰った。

「中々骨が折れそうだけど頑張りますね。」

職人の女性はそう言って衣装・装飾担当、室内担当、牌担当、卓担当の各担当に指示を出す。そういう所は全て女性が担っている所を見ると一夫多妻制を敷いたこの国の状況が伺える。


続いてやって来たのは兵団庁舎。メキの古巣だ。

「おーいモニー!」


「メキ!帰って来たんだね。」


手を振って呼んだのはロングヘアーで一つ結びの女性。メキと一緒で背中に翼が生えている。

「主。この子はラ・モニー・ホール。アタイと同じ村の出でここの召喚士で軍隊長。」

「御使のカナリ様ですね? 上からお話は聞いております。こちらの第五軍隊長を務めておりますラ・モニー・ホールです。以後お見知り置きを。」

「よろしくお願いします。前にメキが言っていたメキ以外の女性の軍隊長が貴女なんですね。」

「その通りです。今は私1人となってしまいましたが(笑)まさかあのメキとホタの2人が組んで負けるとは。」

「あはは(汗)まあめちゃくちゃ強かったです。お二人とは同じ村の出身との事ですが、という事は‥‥?」

「はい。私も副族長の筋でホタと修行したのですが、あの村の襲撃の際に村におらず、駆けつけた時にメキ達が助け出されて合流した以外は一族とは離れ離れとなりました。敵討の時にもなぜアイツがあれほどの力を持っていたのか今だに理解が出来ないですが、私たち3人は軍に入り、残った一族を養いながら離れた一族の足取りを追っていました。あの一件で我らの復讐の戦いは終わりを迎え、ソーアでも受け入れてもらえる事になり、私の一族はソーアに向かっています。メキの事諸々、御使様には感謝しております。」


モニーさんは頭を下げる。


「力になれたのなら良かったですが、まだまだ一族の復興にご苦労をなさる事でしょう。今回も私発案の事業にお力を貸して頂く事になります。お返しというとなんですが何かあれば私の方で出来る事は協力させて頂きます。」

「では早速1つお願いしてもよろしいですか?」


ズイっとモニーは近づいてその要望を出す。



「メキと子供を成して下さい。」


「へっ?」



周りの人間も驚きその理由に耳を傾ける。

「族長筋の血を残すという理由ともう一つ、族長筋と副族長筋はお互いの子の名付け親になり、結束を深めるのが慣例なのです。私の名もメキのお父さんから付けて頂き、メキは私のお母さんから名付けられました。その慣わしを知った時より、私の生き甲斐として心待ちにしている事なのです。メキが従者となった今、それを出来るのはカナリ様です。どうかよろしくお願いします。」


あーそういう事ですか。それを生き甲斐と言われたら色々と便宜を図らないといけないでしょ?ってわけね。


「今は使命を優先している最中です。そういう事は考えていないですね。」

「えぇ!?なぜですか!?こんなに体型も容姿も良くて優しくて快活で素直だけど意志と責任感は強くてでもドジっ子属性持ちメロメロ年頃女子のメキちゃんを抱けるんですよ!!?」


ホタ君もそうだったけど、すげぇ勢いでメキの良い所言ってくるのは竜人族の特徴なのかな?メキがめっちゃ赤面してアワアワ言ってる。ドジっ子とかメロメロとかこっちにもそんな言葉あるんだ。


「一昨日の晩にも色々と皆の意思を聞いてたんですけどね。聞いた限りは使命を押してまでは至っていないと判断したんです。使命が早い段階で事が進めばその道も拓けるという事でご理解ください。」

「ではその早さに力添えし、一刻も早い子作り突入となるよう尽力致します。」


えーとやる気出してくれたって事で良いのかな? 何とかこの話は纏まりそうだ。

「ではそれに当たって手伝って頂く竜にもご挨拶をしたいんですが。」

「はい。わかりました。では、 モネザ!!」


キューーという鳴き声の元、ピンクの竜が出現した。ノクトちゃんと違って日本や東洋の『龍』タイプではなく、西洋の『竜』タイプだ。


「こちらがモネザ。私の召喚竜になります。この色ですので戦場では向かぬ竜ですが、土木や運搬では力を発揮しやすい特徴があります。今回お聞きしている事業にはうってつけの為、私達が充てがわれる事になりました。」

「初めましてモネザちゃん。色々と頼むね。」


キュー!と差し出された鼻の頭を撫でると今度はメキの方にも挨拶。

「モネザ!一緒に頑張ろうな!」

同じく撫でられると一層喜んで鳴くモネザちゃん。

「この子私よりメキの方が好きみたいなんです。ちょっと妬けちゃいますね。」


同族にも竜にも好かれる族長メキ。その系譜の鍵を握るのは俺って事が今更だが心にのしかかって来る。使命と同時並行で真剣に考えてみる必要はある‥か‥。

妻の症状の変化等ありまして今後更新ペースは3日毎程度になる予定です。ご了承ください。

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