ジャー油と可能性① 調理編
今回は久々のお料理回です。
まずは煮干しを鍋にかけ出汁を取る。カツオがあるのだからいずれカツオ節も作れる様になりたい所だ。その香りを嗅いでチャルがまたも暴れ出してメキが必死に抑える。よだれを拭きなさい。
「出汁を取っている間に‥。」
俺は小麦粉ことバクス粉をソーアの時と同じ様に塩と水で麺に仕立てていく。こねる段階でハルエさんに交代。練って伸ばして麺状に切って貰うまでをお願いする。チャルに何か役目を与えて気を逸らす為に炭を熾して貰う事に。
そうして俺は肉と野菜の裁断へ。ポガポガのバラ肉を大きめと小さめの角切りにし、大きめの方は焼き入れを少ししてから下茹で用の鍋でまず茹でる。後でジャー油と砂糖と酒を投入し弱火に掛ける予定。玉ねぎことギネマを輪切りと串切りに、にんじんことキャルは小さめの乱切り、じゃがいもことジャガンも同じぐらいの角切りにしていく。そうしている内にドーレルさんの鶏ことモミージの唐揚げの切っつけも終わり、ジャー油とソムを加えて下味を付ける段階になった。
「ここで1つ実験をさせて下さい。」
俺はモミージの卵を割り、卵を溶く。その溶き卵の中に投入するのは先程紹介してもらった『ビーネ』だ。まんま酢の状態なら行けるはずなんだが生産行程が違いすぎる為、同じ様に感じる別の物質であるならアレにはならない‥。 少し緊張しながら溶き卵のボウルにビーネを垂らし、かき混ぜる。
「おお‥おおおおおお!!!」
出来た。 これぞ異世界無双の定番の1つ。 「マヨネーズ」
少しピンク掛かった色合いは花から来る物だろうか、ひと舐めして味を確かめる。元を知る物として花の香りがするのは気になったが問題なくマヨネーズだ!
「成功です!これを使って行きます!!」
ドーレルさんにも味を確かめて貰い、目玉がらんらんになった所で了承と捉え、唐揚げの漬け込みの中に投入する。肉を柔らかくする作用が本来あるはず、作用が違ったり花の香りがする唐揚げになるかもだがそれも実験だ。 順にいる面子全員に味を確かめてもらう。
「初めての味ですが万人受けしそうな好みの味ですわ!」
「右に同じく!」
「私も好みの味です。ですが旨味が強すぎて他の味が分からなくなりそうですね。」
「ハルエさんの意見はごもっとも。実際あちらの世界でもその中毒者の様な方が居るくらいでした。ですからちょいとした味変か、これが主体の料理に大別して食すのが基本になります。」
「なるほど。覚えておきます。これほど手軽に出来る調味料は貴重です。」
マヨネーズの有用性が伝わった所でドーレルさんの鶏肉は一度冷暗庫に寝かし漬け込む。その間に小さく切った方のポガポガの角切り肉に下味と衣を付けて揚げていって貰う。俺は下茹での肉の確認と串焼きの準備とシャキットの皮剥きへ。
「アタイは主の調理風景初めて見るけど、間間に何かやるって段取り上手いなぁ。」
「大量調理を同時に手掛けるにはそういう頭の回転も必要なのでしょうね。」
「それもだけど主の身体の動かし方さ。体幹ブレしない様に左右同じ方向の手足出して向きを変えたり頭の位置を変えなかったりしてる。アレだけ連続で動いていても消費が少なくなる動きしてるのが流石だよ。」
「4夜5日休まず行い続けていたと言っていましたしね‥このくらいなら大丈夫なのでしょうが、ちょっと心配です。」
「4夜5日!?それって例の自衛隊ってやつの時だよな?どんな訓練すればそこまでになれるのやら‥‥。まぁとにかくアタイ達はちゃんと感想言える様に舌とお腹の準備しとこう。ありゃ品数多そうだ。」
「そうですわね。文字通り腹を据えて臨みましょう。」
バットに麺を一食分ずつ並べて貰い、ハルエさんにはサニーレタスことセレタとトマトことケチャを水洗いしてサラダにして貰う。りんごことオーリンもサラダ用と別に擦りおろして軽量スプーンをイデアで生み出してタレを作って貰う。割合はジャー油2:砂糖1:オーリンすりおろし1:油1:ソム1:酒1。いずれも大さじでお願いした。その内にポガポガの唐揚げが揚がってきたのでそれを頂き、ドーレルさんはそのままモミージの唐揚げを揚げていってもらい、同時に別の鍋に湯を沸かしてもらう。
「炭は熾せたかなチャル?」
「こんな感じで良いっすか?」
U字溝みたいな土塀型のかまどに炭が赤くなって丁度いい具合だった。
「良い感じ。そのまま金網を置いてシャキットと串を焼いて行って。シャキットに少し焼き目が付いたらジャー油をこの刷毛で塗ってね。」
「了解っすー。」
炭組の方はこれで良し。カジキマグロの解凍がまだもう一つだったのでこっちを仕上げよう。ジャガン、キャル、ギネマを鍋に投入し火を通す。塩とペッポの粉で味付けし、ジャー油、ビーネ、水、砂糖、少しのケチャのペースト、水溶きジャガン粉(片栗粉)を用意ししっかりと混ぜ合わせる。揚げて貰ったポガポガの角切りを投入し少し火を入れて混ぜ合わせてから、それらを投入する。
「うわぁ!すぐにねっとりして来ましたね!」
ドーレルさんは初めての現象なのか目を輝かせてそれが皿に盛られるまで目で追っていた。
「まず一品目。『酢ポガ』の完成だ!」
自衛隊二大炊事競技会メニューの一角 『酢豚』 ポガポガの肉だから酢ポガ 焼き、揚げ、煮る、切る、混ぜ和えるの料理要素が詰まっている為、カツカレーと並んで競技会のお題として出される事が多いメニューだ。 中華メニューとしては一番好きかも。
「おーー!!見るからに美味しそうなとろみですわね!」
「本当はもう一つあっちではピーマンという緑の野菜を使って彩りも良くしたかったんだけどね。見当たらなかったので抜きにしたよ。」
続いて匂いが上がって来たのは炭組。二品目 『焼きとうもろこしこと焼きシャキットと串焼き』だ。うむ。早くかぶりついたい匂い。
「めっちゃ涎出てくる匂いだなぁ‥。」
「お邪魔するのじゃ。迎賓館の外まで良い匂いが漂っておったぞ。張り切っておる様じゃの。」
サウラも公務が終わったのかご到着。美味しそうな香りをまず楽しんでいる。
続いてはドーレルさんの担当の三品目 『モミージの唐揚げ』 さすが作り慣れているだけあって揚げ具合が良いと一目で分かる色をしている。味はどうなっただろう。
その次は四品目 『ポガポガの角煮』 焼きと茹でが終わってからジャー油達で煮込んでいたが、これは一旦火からは下ろしてこの後の会食開始以降までタレに漬け込んで置こう。それで丁度よく味が沁みるはず。ゆで卵でも作って入れておけばよかった。
五品目 『素うどん』 ハルエさんに担当して貰ったうどん。煮干しの出汁にジャー油を合わせ、つゆの旨みをそのままで感じて貰いたいが為にあえて素うどん。
「ご主人、この残った煮干しは捨てちゃうっすか??」
「それは味は落ちるかもだけど砂糖とジャー油とジャガン粉で絡めて丁度いいおつまみにするよ。」
「にゃー♪♪」
最初におあずけ食らったから余計に上機嫌ね。
六品目 『セレタとケチャのサラダ』
「これはマヨネーズと野菜の相性を感じて貰いたいのとジャー油の味ばかりのメニューだから舌休めに食べてみてください。」
「こちらのタレはどうするのです?」
てっきりこちら用だと思って置いていたのだろう。担当したハルエさんが聞いてくる。
「それはサラダにかけても良いんですが、こうします。」
ドボン!!
「えっ!?串焼きを!?」
「このタレを付けてもう一度炭で焼けば‥‥。」
ジュワーーー!! っとあの焼肉のタレの香りが漂う。ごま油が手元にないのでなんちゃって焼肉のタレだったが何とか近いものに収まってくれたみたいだ。
カジキマグロは‥ もう少ししたら行けそうかな? 麺が伸びないように先に始めるか。
「ではこちらの魚はもう少し解凍しますので後にして、品は多めになってしまいましたが、麺がつゆを吸ってしまわぬ内に食べ始めたいと思います。」
一同は待ってましたと椅子に座る。プレゼンターである俺はまずは配膳係だ。
さあ、ジャー油の力はどんなものかな?
仕事の兼ね合いで次回少し遅れるかもしれません。




