ジャー油と可能性② 試食会編
「まずは『素うどん』からどうぞ。」
みんなに箸をイデアで生み出して渡し、各々啜り始める。
「素材をそのまま感じられますわね。煮干しの香りが追加されていてとても食べやすいですわ。」
「アタイはこれに少し辛味があると好みかな。」
「良い指摘だね。本来はこれに薬味や具材が乗っかるんだ。今日はジャー油が本命だからこんな形を取ったんだよ。みんなの意見、ちょーだいちょーだいそういうのちょーだいもっと。」
「急にどうしたんすかご主人‥‥?」
呆れ顔のチャル。いやちょっと思い出してー。
続いては『シャキットのジャー油焼き』 正直好物だから入れたのもあるけどこの香ばしさと甘しょっぱい美味さを感じて欲しい。
「外まで香っていたのは主にこの香りじゃな。強い香気じゃが味もシャキットとジャー油がうまい具合になっておる。素材の味の融合と言った所じゃのう。」
「お祭りや市場の屋台で売る様な形式を取る事が多い一品です。食べる方も売る方も手軽なので定番なんですよ。」
「確かにそういう売り方が最善じゃろうの。美味い。」
続いてはドーレルさんの担当の『モミージの唐揚げ』 これは俺も1つ頂く。
「うむ。花の香りがやはり追加されちゃってる感じはあるけど美味しく出来てる。普段作ってらっしゃるドーレルさん的にはどうですか?」
「‥‥柔らかさに感動しています。こんなに柔らかくなった唐揚げ初めてですぅ‥。」
恍惚の表情を浮かべているドーレルさん。その隣で普段食べているサウラも深く頷いている。普段どんだけ固いのよ‥。
「上手く作用した様で良かったです。味が足りなかった時、変えたくなった時にこちらのマヨネーズを付けて食べてみて下さい。」
次は味変を兼ねて『セレタとケチャのサラダ』をマヨネーズを付けて提供。セレタとケチャとの味わいや如何に?
「味の少ないセレタを食すのには合っているのじゃが、口の中をサッパリにする役目には向かないのぅ。」
「ええ、ですがそれはそのまま食べる時と他と一緒に食べる時の違いですから仕方のない事でしょう。清涼感優先ならそのまま食べれば良いだけのこと。携帯食などに味付けをするのには重宝しそうですわ。」
「携帯食の意見が出るのは嬉しいね。どう携帯させるかという包装系の問題さえ解決出来れば行けると思ってる。旅のその場で作っても良いけど卵の携帯のしにくさがあるからね。」
「遠征の時もそうだったなぁ。持ってったけど開いたらぐしゃぐしゃで‥‥。」
あー。とメキは以前の経験を思い出して落胆している。兵站の運搬マジ大事。
では次は一番の楽しみである『酢ポガ』 小皿に取り分け皆一斉に食べる。
「「美味しーーーー!!」」
異口同音で声を上げてくれてこちらも嬉しい限りだ。
「うわぁなんだこれ初めて食べるけどぬるっとした食感の後に野菜の歯応えと肉の旨みが噛んでから溢れ出して美味い!」
メキが酢ポガの美味しい点を言ってくれたので上手く出来ていたのが分かり一安心。
「自衛隊の時にちょくちょく作ってたからね。ビーネとジャガン粉様様だよ。有事では手間が掛かるから敬遠されるかもだけど普通の料理としては行けると思うんだよね。」
「これで行けなければその人達の舌を疑いますわ。」
「本当に‥程よい酸味と合わさって‥‥至福ですぅ。」
ドーレルさん目がもうヤバい。
次に先程タレにドボンして2度焼きした『焼肉ダレの串焼き』 肉はブルガンジー、ポガポガ、モミージの3種だ。ブルガンジーはアイテムBOXからの提供。最初に同じ種類の肉を焼いて二度焼きの際に刺し直したので火はちゃんと通ってるはず。かぶりついた瞬間に皆の表情が一変する。
「焼いてた時に既にヤバかったけど、タレと焼けた香ばしさと肉の旨みの合わせ技だコレ!めちゃくちゃ漲る!!」
「先程の酢ポガの味わいも良かったですが、ペッポの実も利いていてこれは活力を生む味わいですわね!」
味が強いと思ったので後の方に持って来て正解だった。
「3種の肉全てにタレが合っているように思える。魔法の様だのう。」
「私としては必要な物は足りなかったのでなんちゃってダレなんですけどね。何とか皆の口に合って良かった。足りない素材はまた今後探してみようと思います。」
「これで完成形ではないなんてより楽しみになってしまいますぅ。」
皆ワイルドに平らげてしまった。焼肉のタレ‥恐るべし!
味が沁みた所で『ポガポガの角煮』だ。大分ホロホロに出来ていると思うが串焼きの後では味は少々キツイ評価かな?
「コレは優しい味ですが先程のタレと変わり映えがない分、些か印象が弱く?感じますわ。」
「流石に同じ味を食べ過ぎて舌が鈍ってしまったのかものう。以前ドーレルの作った煮込みも美味かった。その時にも感じた肉のとろけ具合などは良いのじゃがな。」
「ああドーレルさんもお作りになったんですね。」
「はい。下茹でをしてすぐに煮込んだのでこちらの香ばしさは出せておりませんでした。今回は焼きの一手間を加える事を学ばせて頂きありがとうございます!」
「お役に立てて何よりです。」
そうしてようやくカジキマグロの解凍具合が良くなったという事で『刺身』だ。魚を捌くのは得手ではないが頑張ってマグロとカツオ、スズキとタイの赤身と白身に分けて捌いていく。紅白の盛り合わせをそれぞれジャー油に漬けて召し上がれ。
「にゃーーーーーーー!!!♪♪♪」
ここまでうどん以外に何も手を付けずひたすら本能の元で魚を待ち続けたチャルが喜びの雄叫びを上げる。
「美味しい?チャル?」
「これ以上ないくらい美味しいっす!」
皆流石にお腹に来ているのか味を確かめるのみで、ほぼチャルがその半分以上を平らげる。
「素材をそのまま切ってジャー油を漬けただけでこれほどとはのう。」
「この後行く事になるクオカーフは海産物が豊富と聞いたので必ず欲しくなると思いますよ(ニヤリ)」
「成程。これが交渉材料というわけじゃな。やはりカナリは頼りになるのう。」
「後宮制度が有りながら求婚をして来て、断ったら戦に暗躍と仕掛けてくる国が相手ですからね。話が通じないなら胃袋と銭勘定で分からせるまでです。」
「おー怖い怖い。カナリが味方で良かったのじゃ。」
胃袋掴んだら勝ち。やはりこれに限るね。
「では一通り食して頂きましたが、これら以外にも使い道があるのがこのジャー油です。この可能性と旨味の塊の生産力を上げ、国を豊かな状態へ導いて行けるように頑張って参りましょう。」
「ご主人は食べないんすか?」
「糧食班の性かな。皆に食べさせる時には味見と残飯しか食べられない癖でね。残ったのを頂くよ。」
品数も多かったし残っている物だけでも充分お腹は満たせそうだ。交渉材料にもなりそうで一安心。
残りを平らげ、ジャー油料理大試食会はこうして幕を閉じた。
さて‥。




