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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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温泉女子会議とカナリ攻略作戦① 傾向編

女だらけの温泉回です。

「あーこの疲れが抜けていく感じが良いっすねー。」


カポーン


女湯の乳白色の湯に浸かる女性陣。サウラを見てイセが真っ先に声を上げる。


「この身体を晒してカナリ様を誘惑したんですね‥。」

体型の良さを目の当たりにして15歳の自分の身体と見比べるイセ。出ている所は自分も出ている方だが、その配分の良さに悔しさを覚え、つい睨みつける。

「そう睨むな‥。あんな事になった今ではこの身体を駆使する事も憚られる。だがそれでカナリが興奮してくれておったのは身体が示してくれていたがの。」

「身体が示す‥?」

「この乳白色の湯で姿は捉えられんかったが‥妾の太ももが‥チョンと‥。」

そこまで言われてイセは気がついてはわわと真っ赤になる。

「おや、まだ存外初心なんじゃな?初心過ぎてカナリが抱く気にならんという事はないか?」

「ご主人の性格からしてあり得る事っすけどそこじゃ無いっすよ。」


チャルはあちらの世界の制度を話す。


「成程のう。制度を重んじるが故に精神もそう育ってしもうたわけか‥。こちらの制度に馴染みが無い以上イセ殿の思いが実るのは‥‥難易度が高そうじゃの。」

「それが分かって頂けるのはありがたいですが‥それで譲る気も毛頭ありません。」

「それは先程の考えを聞いてよく理解したつもりじゃよ。だがそちらは2年ほど経てば解決するのに対し、妾は2年経てば太刀打ちも出来なくなる。18で女王を志しここまで10年‥やっと出会えた同志なんじゃ。得ようとするなら強行手段を行使せざるを得ない。身体だろうと権力だろうとな。それが‥‥まさか自害を提案されるとは‥。」

サウラは先程の事を思い出して再び頭を抱える。

「私達もあの提案には度肝を抜かれましたわ。カナリ様自身の命より次世代までの責任の方が重い。らしいと言えばらしいのでしょうが、愛する者の身にもなって欲しいものですわ。」

「それはそうじゃな。」

「ですからサウラ女王の提案は本当に助かりましたわ。自身の行動で愛する者が死ぬかも知れないなど考えていてはそれこそ生きていられませんもの。」

そうじゃろう。とサウラはあの時の考えを説明する。

「カナリが死ぬのは絶対に嫌で、性以外の他の発散を知りたい。同時に女王としては空いてしまった城の使用用途と管理を悩んでいた。」

「天井まで空けちゃいましたしね(笑)」

「言うな(笑) メキの質問は実に的確な時分での。カナリの嗜好を聞き出しながらそれに合わせて提案して行こうと思ったわけじゃ。」

「メッキーの功績ですわね。」

「そうじゃな。あの時にあの質問が出来るメキの最上の功績じゃ。」


2人から褒められても本人は浮かない顔だった。


「お褒めに与り光栄だけど‥本当に自害って言われた時に泣きそうになったんです。同時にアタイはこんなに主が好きなんだって再確認した。でも帰りのサウ車で少し聞いたけどお嬢様も女王もご主人に口づけまで出来てるんでしょう? アタイは軽く抱きしめるのすら拒否されて‥‥やっぱり一度斬り合った仲じゃあ無理なのかなぁ‥。」

泣きそうな顔のメキを見てイセがあの夜の事を話す。

「ソーア戦が終結してカナリ様が被災者の食事を作り終えた後に言っておりました。メッキーは利用価値があると。単純な戦闘力、召喚獣、軍隊長や族長としての外交経験、明るい性格と申し分ないと言っておりました。」

「利用価値かぁ‥ ちょっと寂しいなぁ‥。」

湯に浸かりながら天を仰ぐメキ。上を向いて涙が溢れないようにしているのを見て先輩が話を付け加える。

「それはご主人がイセ様を不快にさせない為の方便っすね。」

「ですわね。」

「ええっ!?そうなのか?」

「ご主人は他人を自分の利用価値で見る事はしないっす。逆に自分が相手にとってどれだけの価値があるかの方を考える人っすから。今挙げられたメキの能力は使命にもご主人にとってもそのまま魅力として捉えられてるって証っす。」

「そっ‥そっか‥。」

「ただあの状況の後で従者にする理由を、自分を好いてくれている人物に話すとなると言葉尻を選ばなきゃならないっす。それで言っただけで本意では無いっすよ。」

そう断言してくれる先輩の言葉にメキは落ち着きを取り戻した。

「でもじゃあ何で‥‥。」

「ご主人から見たメキは家族を思い、姉の為に戦って来た者。ご主人と同じく兄弟の為に生きて来た同志っす。だからあの時は救いたい一心だけだったかもっすけど、競い合う楽しさも理解があって体力も容姿も体型も充分魅力的。とっつき易い性格に今は従者として積極的に触れ合いを求められて嬉しくないわけないっすよ。でもそこでさっきの自分の価値は相手に見合っているのか?の考えが発動しちゃうっす。命を救った恩を着せるようで引け目を感じてるのと使命への責任感も合わさって拒んでるだけっすね。」

「つまりは『照れ隠し』という事じゃな。」

「そういう事っすね。」

「なっなーんだ主〜w 照れなくても良いのになぁ〜!w」

グヘヘ〜wといつもの調子が戻ったメキだがイセはそこでチャルに問う。


「そこまで分析されているチャル様から見て、カナリ様が一番愛でたい相手はメッキーと分析されているという事ですか?」

後輩ベタ褒めの話を聞かされればそう判断されてもしょうがない。


「正確には違うっす。」


ガーン!とチャルの一言に再び心が打ちのめされるメキ。


「是非チャル様の女性陣への見解を教えて下さいまし。」

「ちょっとのぼせちゃうんで足だけ浸かるっすね。」


岩場に腰掛け、艶かしい足だけ湯に浸けてチャルは語り出す。4人全員が集中して耳を傾ける。


「正確にはご主人は『全員抱きたい』が正解っす。ご主人自身が言ってたっすけど性欲は強い方っすからね。その中で敢えて一番を決める要素を入れるならこれにはご主人の異性の感じ方が関わってくるっす。関わってくる一番の要因‥‥それは‥‥。」

「「それは‥‥?」」


『場況』    あっちの世界の言葉で『シチュエーション』って言うっす。とチャルは答えた。



「しゅちえーしょ?あれ?」

「シチュエーションっす。物語でいうところの『場面』とでも思って下さいっす。ご主人はあっちの世界で演劇の事もやってましたし、物語を絵冊子で見せる文化『漫画』が大好きっす。その影響からか、本来男性は視覚、触覚等の五感で、女性はこのシチュエーションで異性を感じる様に出来ているっすが、ご主人は五感も勿論ですがシチュエーションでも興奮するっす。」


ここでイセがピンと来た。


「ああ、分かりましたわ!そのシチュエーションがカナリ様の中で変わる度に、我々の順位も変わるという事ですわね!」

「中々ご主人への理解が早くて助かるっすね。そういう事っす。」

「理解はしましたが‥中々に厄介ですわね‥。」

「そう思うっす。」

「アタイ‥まだ理解が追いついてないんだけど‥。」

「要するに『適材適所』という事じゃよメキ。演劇で場面が変わる時に役者が入れ替わるじゃろう?それと同じ様に、カナリの頭の中で『想定される異性と関わる場面』が多数あり、その一つ一つの場面に当てはまる相手を1人選ぶとしたらこの人!というものがある。ということじゃ。」

「えーとそういうのって閨でするもんなんじゃないの?と思ってるんだけどそういう事だけじゃないって事で?」

「そうじゃ。同じ場所でも、台詞、服装などが変われば趣きが変わり、感じる物も違う。カナリは例えば寝床ならイセ殿、屋外ならメキ、風呂では妾などそれぞれで妾たちとまぐあいたいと考えておるという事じゃ。」

「それ‥めちゃくちゃ知識と想像力豊かじゃないと出来ないですね‥。」

「その状態でイセ殿の思いを叶えるなら、カナリの頭のそのシチュエーション全ての登場人物をイセ殿にする必要があるという事じゃ。だから中々に厄介という話じゃの。」

「あーやっと理解が追いつきました。1人何役もこなすようなもんだ。大変だな。」

「そういう事ですわ。少しでも傾向が読めれば対策も思いつくんですが‥。」

「チャル殿。すまんが‥カナリ殿の事を知るものとして幾らか見識をご教授願えんか?」


チャルはちょっと考えて


「『それを自分で見つけられるくらいの人じゃなきゃご主人は任せられない。』そうイセ様達には言ったっすけどね。 まあボクなりの分析というか憶測ぐらいはお伝えしても良いっすよ。」


「助かる。それを元に作戦を練ろう。」


皆の眼の色が変わる。

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