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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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女達の本音と提案①

食事は一時中断。ここいらで皆の気持ちと考えを聞きたかった。


「ここは一人一人聞いていこう。イセ様からどうぞ。」

ご指名されたイセは一時目を閉じ、呼吸を整えてから言葉を紡ぐ。


「‥私は出会ったその時から結婚を前提に考えていました。ですが思い返してみれば御使様という立場に憧れ、結婚出来る年齢にもなっている、子も授かりたい、全て自分本位でカナリ様の気持ちは考えておりませんでした。今はその使命感と技量と優しさに触れ、愛している。とはっきり言えます。口づけを強行したのもその為です。が、カナリ様が私を選ばずとも愛すまでの覚悟や考えは私は持ち合わせておりません。選んで頂くまで猛烈に自己表現と成果を捧げ、その寵愛を勝ち取る気でいますわ。」

「だから他の娘と仲良くするのは頂けないって事かな?」

「それは本来カナリ様の自由ではあるので、雄の発散に関してはとやかく言う気も無いです。ですが恋仲、結婚となれば話は別ですわ。それは私が貰い受けます。」

「肉体関係を結んでも良いけど結婚はあくまで私とって事?」

「思う所が無いわけではありません。ですが独り占めしたい気持ちよりもカナリ様が伸び伸びとされるのであればそちらを優先したいと思っています。」


ここまで考えと自分の独占欲の落とし所と覚悟が定まった15歳がいるだろうか?出会って半月よ?


「イセ様の考えは理解しました。本音は?」

「他の娘とイチャコラしてないでとっとと私と結婚してくださいまし!ですわ。」

ですよね。


「では次はメキ。」

「アタイは主の事は大好きだ。打ち負かされたのもあるけどさっきお嬢様が言った点をアタイも強く感じてるからな。でも結婚にはそれほど固執してるって感じは無いかな。従者として付き従うって決めてから何を言い渡されても受け止める気でいる。最初に宣言した通りさ。雑務でも戦でも閨でもドンと来いだ。でも一方で一族の族長筋としての示しを付けるためにも子供は欲しいと思ってる。子孫を絶やさない事も重要事項だからなこっちとしては。」

メキは従者となったとはいえ竜人族の族長さんなのだ。一族の系譜を絶やさない使命がある。

「結婚という縛りに重きはないけど族長筋として時間見て相手して欲しいって事かな?」

「そうだな。妻じゃなくても従者として近くに居られるし、一度は死を覚悟した身だからそれ以上は望まない、いや望めない立場かな。」

「従者と族長筋の立場優先で考えているけど、その時期はこちらに任せる。ということかな?」

「ああそんな感じ。」

「で、本音は?」

「従者になってから主の事考えると胸とお腹がキュンキュンするんだ!早く欲しいって本能が言ってる! 雄が溜まってるってんならアタイにドン!とかまして欲しい!だ。」

従者になった時と変わらずだね。その『食事のよだれじゃないよだれ』をお拭きなさい。


「ふむ。じゃあ次はサウラ女王は?」

「妾はまず同志と思っておる。カナリの方が長く苦労と理不尽を乗り越えて来ているのを知り、それを愛おしく感じているのじゃ。結婚という形でカナリと結ばれ、一国の王としてその子孫も守り継ぎたい思いでおる。一夫多妻制を敷いた者として重婚に関しては、とやかく言う気はないというのはあの場で伝えた通りじゃ。雄の発散に必要と言うなら、国の者を紹介もしよう。」

「流石にそこまでは求めていないので遠慮しますが、仮に重婚した場合の順番的、序列的なものは気になさらないと?」

「個人としてはの。じゃが女王が1番の婦人でなければ国民が納得すまいと思っている。要らぬ反感が生まれる事が懸念されるからのう。」

公人として世間からの目を気にするのは当然か。

「で、本音は?」

「妾と結婚してくれないと嫌じゃ!この歳にまでなってようやく出会えた同志の男。逃す気はない!イセ殿と倍近い歳の差の妾では、肉体だろうが、過ごした期間が短かろうがなんだろうがなりふり構って居られないのじゃ!」


子供の駄々に近いこの国の女王の姿を見て、その苦労を知る家臣は「頑張ってサウラ様!」と拳を握ってワナワナしてる。サウラ愛されてるなぁ。


「チャルはどう思う?」

「ボクはご主人がしたい様にすれば良いって思ってるっす。ご主人が誰を選ぼうと全力で支えるだけって皆にも伝えてあるっすよ。イセ様の主張は人間国育ちだからこそだし、メッキーの恋慕と族長筋としての考えは落とし所を弁えた提案だと思うっす。サウラ女王は積極なのと焦りはちょっと心配っすけど許容範囲内で、国を蔑ろにはせずに子供が出来た時は守る意思と権力があるのは伺えるっす。抱かれても良い、子供が欲しいって言うのは全員一致してるっすね。」

「冷静な意見ありがとう。」

大方俺と同じ見解だが‥‥

「チャルの本音は?」

「ご主人は分からないと思うっすけど正直、毎日溜まっていく度に強まっていくご主人の『雄の』匂いに当てられてるっす〜。どういう結論でも良いからさっさと解消して欲しいっす〜。」

「あら。さすが猫。匂いで相手を判断してる習性に作用しちゃってたか。それはすまない。」

「ムラついて正気を保つのも一苦労っす。」

ふむ。チャルが苦しむのはいただけないなぁ。


「正直に言うと俺も解消はしたいんだ。元々性欲強い方だからね。こんな美女達に囲まれて迫られて俺も正気を保つのが難しい。それが今回隙となって事件になった。国家機関内でも安全が確保されない状況で隙になる行動は出来ないとも考えている。皆さんの意見を聞いたけど‥共通して言えるのは最初に言った「使命の弊害となっても」の部分の話が、子が出来ても守り切れる自信があるからか薄く感じた。事件が起きたばかりだというのに。」


女性陣は明らかにテンションを下げた。その点において重要視していると始めに示したはずなのにこの回答では先が見えなくなる。女性陣はそこを含めていた物言いだったつもりかもしれないが俺にはそう感じたのだ。


「よってこの世界七国と私自身が友好を結べた時にそれらの解禁と設定したいと思う。それまでの間に色仕掛けなど仕掛けてきたら‥‥俺は自害する事を提案する。」


その場にいた全員がその一言に凍りつく。そして即ヒートアップ。


「何でそうなるのじゃ!」

「そうだぜ主!自害なんて!」


「そこまですると宣言すればおいそれと接触して来ないだろう?御使の俺が死ねば少なくともこういう争いもなくなる。この世界には俺が来る前の状態に俺の成果が多少乗るだけ。七国がいがみ合っている状態で妻や子供が出来れば狙われるのは必定。妻は自衛出来ても子はそうは行かない場合もある。守ってみせると言ってもそれは窮屈さに繋がり、子はあらぬ方向に性格が曲がりかねない。調和を命じられていながら次世代に歪みを残したらこの世界に来た意味が無い。意味が無いなら死と一緒だ。歪みが広がる前にそれは断つ。」


皆失念していた。この男は元々『死を選択してこの世界に来た』のだ。自分の信条の下、前の世界では為せなかった役割と生きる意味を見出す為に踠いている男‥‥それがカナリなのだ。


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