尋問と刑の執行
「そぉらよっ!!!」
ガキィイイン!!!
「グフォぉあっ!!」
最後は大男の鎧ごと砕き、壁に叩きつけノックアウト。
「ふぅー頑丈なやつだったけどアタイの敵じゃなかったな。」
「こちらも手応え無さ過ぎですわ。人数は200程でしたし、全員気絶させて放置しておきます。あとはこの国の方々にお任せしますわ。」
「うわー何人か髪の毛すっ飛んで一部禿げてんじゃん。ああはなりたくないねぇ。」
クオカーフ兵を片付け、一息ついてから二人は先に行った二人の後を追った。階段を登った先で緑色の癒しの光が見える。
「チャル先輩?」
「ああそっちも方が付いたんすね。ガーディさんっていうボクの相手っす。やりすぎちゃったっす。」
「ああ側近のアイツかぁ‥って、ウヘェ右腕どんだけやられてんだ。左足もか‥えげつない技使ったなぁ先輩。」
「ボクの怒りとご主人の技術を併せた結果っす。」
「主こんな事出来る技持ってたのかよ‥。」
「封印された技っすけどね。ご主人の無念をどうしても晴らしたかったから使ったんすけど‥封印した理由が分かっただけだったっすね。」
「主も先輩も心根が優しいからな、攻めるこういう技術は向いてないと思うぜ。守る時に発揮する力と心が強いんだからアタイに攻めは任しときなよ。」
「その言葉も大分優しいっすけどね?メッキー。」
「バッ!アタイはそんな!」
従者二人のこの場に似合わない和やかなやりとりをよそに、イセは目の前の魔法戦を観戦する。
「お二人とも、そろそろ終わりそうですわよ。」
「はぁ‥はぁ‥ なぜ‥私より魔力が劣っていたはずなのに‥こんな‥‥。」
「ただの勘違いじゃ。親類を前に本気で魔力を開放するほど考えなしな子ではなかったというだけ。魔力無しにこの魔人族の国で王になれるものか。」
「そこでも私は騙されていたってわけね‥。つくづく嫌になる話だわ。」
大きな部屋は燃える凍るを繰り返し破壊され天井まで抜けている。
最終的に‥‥全て凍った。
勝者がどちらか明確になった証である。
「では‥国家反逆の罪により、パラサ・ディーノ・ロロ、そなたを捕縛する。」
氷の柱がパラサにまとわりついて行き、首だけ出した状態の真四角の氷柱が出来上がる。
「このまま尋問にかける。死ぬまでに色々と吐いてもらう事があるのでな。」
「そのまま殺せば良いものを‥。」
「クオカーフのオヤジに突きつける材料になってもらうのじゃ。それぐらいせねば溜飲は下がらぬ。それと‥‥亡くなった前国王である妾の父‥貴方の弟から伝言じゃ。」
「ランベオから‥?」
「『私が死ねば貴方は権力欲しさに動くであろう。だがそれでも我が姉。国に害なす存在になる様なら親族であるサウラ、お前の手で処罰して欲しい。 そうなる前に姉が改心し、国益の為に動く者になることを願う。』」
パラサは目を閉じ、その言葉を聞いた。
「父は‥最後まで貴方を信じていたのじゃ。血を分けた姉弟ですからな‥。妾も信じていたかった‥。」
「‥だから今まで泳がせていたのね‥。まったくどいつもこいつも甘いんだから‥。」
観念したのかそこからパラサは素直に尋問に応じる。兵を招き入れた道程、誰が関わっていたか、今回の下手人の居場所、文字通り洗いざらい吐いてくれた。
「なるほど、クオカーフ王というよりもその側近の大臣の策略であったか。いずれにせよ妾直々に赴く必要がありそうじゃの。」
「うちのご主人もこの話を聞いたら行くって言う可能性が高いっすね。個人的な依頼でクオカーフで調べたい事もあるっすから。」
「下で伸びてる奴らも返還しなきゃだしな。あの人数運ぶの大変だぜ。」
「檻に放り込んで先行してサウ車で送りつけようかの。段取りは明日詳しく決めることにするか。」
「サウラ。」
話がまとまりそうなところでパラサが声をかける。
「今更命乞いの言葉でも思いつきましたかの?」
「いいえ。それをするならもっと早く言うわよ。」
「であろうの。なんじゃ?」
「二つ言いたいことがあるの。一つはクオカーフの連中に伝言。『私の姪は強いわよ。』って。」
「妾自身で言うには滑稽過ぎるので、捕らえたクオカーフ兵に伝えさせようかの。もう一つは?」
「アナタによサウラ。」
一瞬緊張が走る。自らの死の間際に何を残そうと言うのか?
「欲しいと思った物は全力で取りに行きなさい。大分出遅れたとしてもね?」
全員を見てパラサはニヤリと笑う。それがカナリを指している事は一目瞭然。
「伯母さま‥。」
「言われずとも大丈夫か。私の様な強欲な人間の姪だものね。国も‥恋も‥精々頑張る事ね。女王様。」
氷の柱に体温を奪われ、力が弱ってきたのか声が絶え絶えになっている。
「肉親としての最期の助言も出来たし‥散々苦しめたのにその肉親にあの世へ送ってもらえるなんて考えてみれば贅沢な話よね‥。ちょっとあの世へ行ってランベオに謝ってくるわ。『あんたの娘は強くなった』って‥。さあ贅沢三昧のバカな伯母を弟の元へ送ってちょうだいな。」
サウラは黙ってその言葉を聞いている。 他の3人はその背中を見つめ、その判決を見届ける役に徹する。
「‥‥二つの伝言。確かに承ったのじゃ!王として完遂することをここに誓おう!これより刑を執行する!」
氷の柱が頭も覆い尽くし、氷の棺が完成する。
サウラはしばらく黙ってそれを見つめていた。他の3人もどう声をかけていいものか測りかねていたがほどなくしてサウラが振り返り、
「戻ろうかの‥カナリが心配じゃ。」
涙跡をつけた顔で言う。
「全く‥しょうがない女王様ですわね。」
突如イセが火魔法を唱えて氷を溶かす。
「なっ何をするのじゃ!?」
「チャル様!」
チャルの癒しの光でパラサは一命を取り留め、気を失った状態でメキに縛り上げられた。
「これでよしっと。」
「なぜじゃ!なぜこんな事を!」
「カナリ様の為ですわ。」
「かっカナリの?」
サウラは意味も理解出来ずあたふたする。イセが分かりやすく説明を始める。
「我々はカナリ様の使命の遂行の為に同行しております。使命はこの世界の調和。その一国の王が法とはいえ肉親を自ら手にかけた者であっては、肉親に翻弄されながらも弟様の為に生きてきたカナリ様が協力をしたいと思いますか?相互協力を得られなければ使命も果たせず双方に益のない結果となってしまいます。それは出来ない。よって女王にはこの者はここで一度死んだ者として他国に亡命をさせる事を提案致します。クマポンのソーアなら、今は竜人族を受け入れている所ですから魔人族がいても対応が可能です。それ相応の民からの視線や嫌悪はあるとは思いますがそれこそ罰になるのではと思いますがいかがでしょう?」
自らの手は汚さず、協力は得られるという道。最上の提案に乗らない理由はない。
「分かったのじゃ。ガーディを供につけ、ソーアに亡命させよう。カナリには死んでも嫌われとうないからの。」
「賢明な判断ですわ。」
下でクオカーフ兵を縛り上げて上がってきた衛兵に、二人を託し、この件は落着した。
「じゃあ戻るっすかね。そろそろご主人も起きた頃っす。」
「そうですわね。風呂場での件もきっちりとお聞きしなければなりませんし。」
「‥忘れておらんかったんじゃの‥。」
「当然です。今度は貴女が尋問される番ですわよサウラ女王?」
「目が光ってないのが怖いのじゃ‥。」
迎賓館へ4人で戻る。
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妻の病気の看病の為、しばらく投稿頻度を抑える予定です。お楽しみ頂いている中恐縮ですがご了承ください。




