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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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人となりと予期せぬ到着

「メキ、国王っていうのはどんな方なんだ?」

ノクトちゃんに乗って移動中、少しでも相手の事を理解しておこうと質問する。

「5年前に王位に就いて少子高齢化に歯止めを掛ける為に一夫多妻制を導入した人だ。結構強引に事を進める人だけど、国益に害する物事を排除しようと必死な感じだな。愛国心は人一倍あるから国の為に戦を仕掛ける事もする。クオカーフとの戦の時はそりゃもう怒ってたね。」

「魔人国同士でも戦をするんだね。」

「そりゃあ国として分かれてるんだから小競り合いはするさ。」

「そうだな 国だもんな。」

本来隣国は敵国と同じ。似た気候、似た人種であっても『相慣れないから境を作っている』のが国という概念の根幹だから。

「それでもあれは完全にクオカーフが悪かったよ。ウチの王様を妻に娶って国ごと吸収しようとしたんだから。」

「ん?ガサの国は女王なのかい?」

「言ってなかったか?一夫多妻制の話した時に?」

「イセ様と揉めてた時には一夫多妻制しか聞いてないね。」

「そっか。女性あまりの国になって女性の支持を得て国王になった人なんだ。流石に国の軍隊長達はアタイともう1人だけ女で他は男だけど、国全体で見たら女の年配ばっかりだぜ。」

うへぇ、日本の20年後状態か。それで作物の作り手が足りなかったり、作物自体がやられてしまえば国の継続が危うい。よって侵攻に至ったって訳だ。余程切迫詰まってるんだな。

「実際の研究との照らし合わせで作物の部分は何とか出来そうだけど、少子高齢化の部分は短期間では無理だな20年かかる。」

「その作物だけでも充分ありがたいよ。アタイの事はそれ次第って言われてる。任せたぜ主。」

「そこは何としても頑張るよ。」

「嬉しいねぇ ギュッとして良いかい?」

「ダメですわ。」

「何であんたが言うんだよ。」

「未来の妻ですから。」

2人の睨み合いが始まり一触即発な雰囲気になったので


「ストップ。」


つい英語で制してしまった。「すとっぷ?」と2人が首を傾げる。知らない単語が出ればそりゃそうなるよね。

「あーっと、止まってとかやめてって意味の言葉。先に女王様の性格や人となりを聞きたい。」

「うーん高貴な感じはあるんだけどやるとなったら容赦がない感じ。でも礼節やらは弁えていてそれほど武官文官に嫌われているとかじゃないな。魔力は勿論半端ないし、政治においても王になるくらいって感じ。」

「ふむふむ。それほど聞く耳持たないとか融通が利かない訳じゃなさそうだね。効果を示せば即動いても貰えそうだ。」

「ただクオカーフのおっさん王のお陰でご機嫌斜めで更に今回の作物の件で戦仕掛けちまうぐらいに気は立ってた。御使の話を聞いてようやく解決の光明が見えて落ち着いてくれたみたいだな。」

メキとホタ君にお咎めが無い所を見てもそうなのだろうと考える。

「光明を現実にするけども、無理矢理捕らえる事も考えているかも知れない。女王じゃない人が仕掛けてくるかもだから皆その時はよろしくね。」

皆頷いて了承してくれた。

「そうですわね。他の方が仕掛けてくる事も想定しておくことは賛成です。」

「もし引き離されて離れ離れになったらコレを使って呼び合おう。」

皆に配ったリューコさんお手製の認識札(通信機能付き)だ。

「「「「了解」」」」

おおハモるとサ◯ラ大戦みてえだ。またミニゲームのクライマーやりたいな。


上空で風を受けそうだが風魔法を周りに纏って飛んでいる為、風の内側は普通に無風で話す事が出来る。召喚獣はそういう事にも自動で対応しちゃうようだ。偉いノクトちゃん。

タケオには土産の〇〇がある、ここにコレがあるから気をつけろとか行く先と着いてからの行動の内容を軽く話し合い、程なくしてガサの首都タケオが見えてきた。城壁に囲まれていて所々に大きめの城や屋敷が並ぶ如何にも首都な感じだ。今回の国境越えは三国共通認識の為、フリーパス。そのお陰か予想より早く街に降り立てそうだ。


「じゃあここから気を引き締めて行こう。皆よろしく。」


城塞の正門広場に降り立つ。

「!!!!!?」


一気に大衆の目が光り、こちらを伺ってくる。それほど魔人族の街に人間族が来る機会は無いという証か。どうも皆疲れている様子で気も立っている。ノクトちゃんを戻し、メキは大声で叫ぶ。


「こちらに!先日告知した国賓!ベルレ神の御使様をお連れした!城までの道を開放せよ!」


流石元軍隊長。野次馬が集まりつつある所だったが一斉に道が開きそこを迎えのサウ車が向かってくる。

降りてきたのは初老の女性。ベルレ・ガルアとは性別が逆だな。

「民衆が失礼いたしました。どうかこちらにお乗りになり、陛下の下へお越し下さいませ。」

案内されるままサウ車に乗り込もうとする。


シュッ!  パシィン! 


俺の頭を狙った矢が地面に転がる。叩き落としたのは俺だが俺の後ろに付いていたチャルとメキは同時に手を伸ばしはたき落とそうとしていた。俺が気づいていなくとも矢は防げただろう。


「随分な歓迎ですね。」

はたき落とした矢から目線を戻し、初老の女性を睨む。

「申し訳ありません。あれは私どもの配下ではないと思います。至急下手人を捕らえますので御使様はお乗り下さい。」

「いえ、サウ車には乗らず、歩いて向かいます。」

「また矢で狙われるかも知れませんよ?車の中の方が安全です。」

一つため息をつき、理由を語る。

「今の一連の出来事に他の部下の皆さんは何も感じておられない様子。その状態も考えればあなた方は味方ではないと考える。車に乗り込めばそのまま連れ去られるなど危害を加えられる可能性が高い以上乗り込む事は出来ません。」


女性は唇を噛んで黙っている。

「さらに言うなら、来ることは伝わっているのに迎えが先に来ていない、会っても自分の正体を明かさない、礼節を弁えていると聞いている陛下の配下と言う態度では無い。メキが最初に気づかなかったのはサウ車自体は本物だからでしょう。それを途中で何らかの方法で奪い、その時間分遅れ、魔法が主力な国の筈なのに矢を使ってくるのも車内に入れる事が目的で、車に何かしら施されている事が考えられる。魔法はそちらに使ったのでしょう。よってあなたは内部か外部かは知らないが敵勢力であると判断しました。なのでサウ車は結構です。」


証明終了みたいに話してちょいと恥ずかしいがそれを話している内に兵隊がやってきた。

「ちぃ!」

初老の女性は舌打ちして逃げる。

「スムーブ・サット!」

イセの魔法でその女性と他の手下の手足を縛る。髪飾りの効果か詠唱速度は上がっていてすんなり全員を捕縛した。流石だ。そして到着した兵を指揮しているのは‥

「ホタ!」

「遅くなりました!申し訳ありません!迎えのサウ車が奪われた報を聞いて急いで駆けつけたのですが‥どうやらご無事のようですね。」

「矢で狙われて肝が冷えたよ。でもこの通り無事だ。こいつらの始末を頼めるかい?」

「はい、それはこちらで。そしてここからのご案内は私自ら行います。どうかよろしくお願い致します!」

詫びとお願いの混じった礼をしてきたホタ君に案内され、俺たちは城に向かう。

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