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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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ベルレ・ガルア会議② 物流と教育

5/1追記 月間1000PV越えありがとうございます! 

「次は物流について進めて行きたいと思います。現在軽微な便箋連絡は魔法で、貨物はサウ車を使って運行し、野菜や資材に当てておりますが、その他のこちらでは採れぬ鉄鋼や海産物の輸入には手が回っていないのが現状です。」

やはりこの世界にも海があるのかという事と、このベルレ・ガルアは内地にあるという事が判明した。経理のルオカさんが続けて話し始める。

「やはり野菜と比べると鉄鋼は同じ日数を掛けて輸送する場合、単価が桁違いに変わります。その鉄鋼を仕入れる為にどれだけの野菜を売らねばならぬか‥、いつも経理の悩みどころなのです。」

「先程のペッポの実の売り上げが上がってくる時期はどれほどでしょう?それを充てる算段は取れませんか?」

「確かに喜ばしい額が2〜3ヶ月後には上がってくるかと思いますがそれでも追いつくという額にはならないでしょう。」

「こちらの山での採掘は?」

「鉱物がそれほどの量が取れません。自分達の使う分を確保するのが精一杯でとても流通に乗せるまでは‥。」

「ならば木材は?」

「それは周りの山に余る程ありますが他でも採れる資材ですからあまり単価としては上がりませんが‥?」

「では付加価値を付けてそれを売り出しましょう。木材の加工する工場にこんなのを作って貰えるよう頼んでみてはどうですか?」

俺はイデアで『けん玉』を産み出した。

「これは‥?」

「けん玉と言って子供の玩具ですね。ちょいとやって見せましょう。」

俺はその場に立ち、玉を垂らして大皿、小皿、中皿また大皿、そこから剣先に入れる。

「おお‥。」

未知なる動きを見た面々はすごい事なのかどうなのか判断しかねている様子。

「ではユリーノさん。やってみて下さい。」

「えっ?!私ですか?! 出来るかな‥。」

持ち方の基本の1つ、ペン持ちをこういう風に持ってくださいと伝えながら体験してもらう。

「では行きます! ほっ!」

残念ながら大皿には乗らず、玉は下に再び垂れる。

「ぬっ!ほっ!‥あれぇ?」

「意外と難しいでしょう?でもこちらを各皿に調子良く乗せられると楽しくなってきます。」

大皿から中皿、再び大皿とリズム良く繰り返しあのフレーズを口ずさむ。

「もしもし亀よ〜♪亀さんよ〜♪世界の内でお前ほど〜♪歩みの鈍いものはない〜♪どーしてそんなに鈍いのか〜♪」

最後に中皿から一気に剣先に刺す技がなんとか決まり、格好がついた。久々だったので決まってホッとする。危ない危ない。

「この歌の始まりから名付けられている『もし亀』という技です。行ったり来たりの回数を競ったりもできます。子供が多いとさっきの話であったのでこういった玩具の普及を思い付きました。本体にこの街の生産の証の焼印を押し、技の指南書付きで木工玩具の名産地みたいにまで持っていけないかと。」

「中々挑戦し甲斐がありそうですし、先程の大会の内容にも組み込めそうですわね!」

イセは賛同し、その他の面子もやってみましょうかと了承した。

「では街の工場にこちらのけん玉本体を見本として提供します。すぐに図面を描いてもらってもよろしいですか?私がアデイしてしまうと消えてしまうので。」

「ではこちらで。」

横に控えていたフルイチさんがすぐに手配をしてくれる。普及楽しみ。リバーシや将棋なんかも考えたが賭博行為につながる可能性の盤上遊戯品は法律を作ってからね。


子供の話題が出たところで続いては教育だ。

「正直教育については現在は学校で読み書き計算と歴史と軽く魔法について触れている程度です。ここにどのような教育を取り入れるおつもりなのでしょう?」

ユリーノさんも半信半疑なようだ。

「今話し合っていたような流通やそれの決め手になる物の開発に目を向ける教育ですね。街を潤す事を自ら考える子供を育てます。総じていうと『地域内乗数効果を高める為の教育』です。」

「地域内乗数効果‥ですか。」

「簡単に言うと外貨を仕入れ、街で循環し、税収を上げ、街の公的な措置の充実を図り、また外貨を仕入れる力を高める事を言います。」

「それを子供達に教え、後の仕事に意欲を燃やすという事でしょうか?」

「その通りです。先程の木工玩具の件も実は教育に含まれているんです。」

「先程の玩具が!?」

「あちらの世界では木で育むと書いて『木育』と呼ばれ、研究されているもので、『非認知能力』を鍛えるのに効果を発揮すると発表されています。」

「非認知能力??」

ガルツ神官を始め、一同首を傾げる。

「数値化出来ない能力の事です。探究心、統率力、求心力、寛容性といった能力の総称ですね。」

「確かに目で見て確認出来ないものばかりですわね‥。」

「それら社会性に必要な能力を育成するのに木目調の物を見て感性、木の匂いで記憶を刺激、木を叩いたりして感覚を刺激して神経の出来上がる幼児期から成長期にかけて総合的に能力を伸ばす事に繋がります。」

「勉強ではなく遊びで気軽に、そして常時自然に見る事で能力を伸ばす事が叶うというわけですか!」

「その通りです、流通にも通じ、山の手入れに手が回らない地主、山の手入れをしても売りどころがない林業者、能力を伸ばす為の手段を模索している教育機関の全てに好循環を産める事業になります。」

「おお!」

「これらの心身の能力を高めた基盤の上に地域内乗数効果や計画の立て方などの知識が乗れば、自然と人が動き、街を発展させる人間が増えるという事です。」



実はこれは俺の議員任期最後の一般質問で提案し、林業関係の課と教育課から絶賛された事業なのだ。その行く末を見る事は叶わなかったがこちらでも有効なのだからやらないわけには行かない。



「同時に恋愛、出産、育児などの性教育も出来ればと思っています。充実と収入がある状態で人が続く事こそ国の継続指標ですので。」


性教育と聞いてキャッと口元を手で押さえてニコニコしているイセに、

「イセ様にここでお頼み事が。」

「えぇ!?いけませんわカナリ様!こんな白昼堂々とだなんて!」

「は? あー性教育の事ではなく、イセ様のご学友や同世代の者を集めて私直々に地域内乗数効果などの授業をさせて頂けないかと。」

「へっ!?」

イセは目をまん丸にして自分の勘違いを悟る。

「あーそういうことですか!すみません私ったらww」

ガルツ神官は涙ぐみながらイセを見ている。それどういう心境? とりあえずはイセの計らいで人を集め、授業は出来そうだ。

「その受講者には他の者の指導者として今後動いて貰いたく思っています。どうかよろしくお願い致します。」


これで一応の方針と最初に提出した事業の内容は一通り網羅出来たか。他の予算立てにも目を通し、街の警備や治安、事故災害対応の部分に色々とアドバイスを入れる。



「ではこの辺りで本日の会議は終わるとしよう。カナリ様の知識もとても面白く心躍る部分の多い内容でした!ここにいる皆で頑張って行きましょうぞ!」


皆ではい!と返事をして長い様で短かった様な会議は幕を閉じた。こういう前向きな会議をもっと現世でやりたかったな。今更だけど。 


そして帰り際に部屋を出る時イセに耳打ちされる


「(ボソッ‥)明日はカナリ様の『性教育』も期待してもよろしいのかしら?(ニコッ)」


人差し指でおでこをツンッとハネる。


「フニャっ!?」


メキみたいな事言ってるんじゃないよ‥もう‥

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