ベルレ・ガルア会議① 鳥獣害と祭り企画
今回と次回は会議回になります。長文で眠くなるかもですが議員時代の話も入って来るのでお楽しみに。
キングサイズのベッドで伸び伸びと寝た。
温泉と合わさってスッキリ目覚めたので今日の会議は頭が良く回りそうだ。リフレッシュ、やっぱり大事ね。足元に相変わらずチャルが丸くなって寝てる事以外は。
「おーい起きてチャル。着替えて朝食と準備するぞ。」
「ふにゃー?もう朝っすかー?わかったっすー起きるっすよー。」
大きなあくびと伸びをしながらチャルは平然とでんぐり返ししてベッドから降りる。
「お見事なでんぐり返しですこと。」
着替えたらアワラの食堂へ行き、朝食のパンを多めに頂き炭水化物で頭を回す作戦。糖質の分解は日中しかされない。20時ぐらいで分解する細胞がおねんねしちゃうから朝から動く時には朝がっつり炭水化物を摂っておいた方が長時間頭が冴え、太らない。この状態になるために自衛隊の武装走錬成隊の頃は6:10からの朝食にガッツリ米を食べて2時間後の朝礼の後の錬成隊で走る時にベストに消化されるよう調整したものだった。まあ1日9000kcal摂っても8kg痩せたけどね。議会の会議では12時間ぶっ続け会議とかもあったので、これをやっていると各議案の内容を大体記憶出来ていて後に議会広報誌作成の折に差異なく書けたり、市民に説明する時にこの時こう意見が‥など伝えることが出来たりするのだ。今回は後者の部類なので頭に栄養回っておくれ。
迎えのサウ車に乗り込み屋敷に向かう。今日も迎えはフルイチさん。
「昨日言われていた物は予想の通り大量にありました。それらをまとめて明後日にはお渡し出来るかと思います。」
「助かります。迅速な対応に感謝を。」
「じっくりと研究にご活用ください。何せ国が相手ですから。いまだどう使うのかは私には検討もつきませんが‥。」
「そうですね。ある物を使わないとそれらは見つけられないでしょうから今の段階では私しか見つけられないと思います。お気になさらず。」
「かしこまりました。どうか交渉材料になりますように。」
会釈で返し、屋敷に到着。会議の場へ向かうとそこにはガルツ神官とイセの2人以外に更に3人の男がいた。そちらは初対面だ。
「カナリ様、今回の会議ではイセの他に経理担当のルオカ、広報担当のニッカ、総務のユリーノも同席致します。どうかよろしくお願いします。」
皆さんが頭を下げて挨拶。みんな聡明そうだ。
「久方振りのまともな会議、この街に疎い部分もあるので拙い点もあるとは思いますがどうかよろしくお願いします。」
こちらも挨拶して会議開始。総務のユリーノさんが進行を務める。
「まずは鳥獣害の議案から参りましょう。ランフォーの討伐によりペッポの実が多く収穫出来る見込みのケイブ農園や他の農園から例年枠以上の買取りと販売の申請が来ております。ペッポは人気があり、輸出にまで至れるのならこの上ない収入源です。これを許可し、この街産の札を貼り、近隣の街へ販売に行くのが最良と判断して受諾したいと思います。」
「此度の戦でも非常に重宝致しました。許可を出すのは構わないと思いますがランフォーの再来についての対策は?」
「ランフォーの発生時期は群れの行動による所が多いですがおおむね次の世代は年1回増える程度です。今年の場合は繁殖期が過ぎているので他の群れが来ない限りやられる事はないと判断しております。」
「ではその間に私がランフォー討伐に用いた罠線の指南書を各農園に配り、実践して貰いましょう。次が意図せず来ても一時凌ぎにはなる。生態系を狂わせる可能性もあるので全ては殺さず追い返す方向で。処理については捕まった段階でギルドに要請討伐、解体も解体屋へ。当直制度を設けて事に当たって貰い、自分達の冒険も進める上で支障のないように担って貰えないかお聞きしてみましょう。逃す個体には足首に目印の紐を括りつけて判別し群れの移動、動向の研究に。」
「そのように致しましょう。指南書の方をよろしくお願いします。」
「かしこまりました。ポガポガの方はどうですか?」
「ポガポガは繁殖力は高く、一回のお産で5、6匹産まれます。それが年一回か二回という頻度で、小さい個体は魔法で片付けられますが大きい個体は中々難しいのが現状です。」
そんな所まで猪と一緒か。魔法でウリ坊片付けられるのはありがたいがそれを掻い潜るほどの慎重さを持った個体がデカくなり、捕殺が難しく被害は広いと。
「ギルドへの討伐依頼の補助金を設定出来ますか?ギルドが買取りの際に支払う金額の4分の1補助は予算的に出せないですか?」
「4分の1なら個体数ではなく食肉に転換出来る重さでの補助なら可能かと。」
経理担当ルオカさんは答える。
「討伐、皮や骨、内臓の利用に関しての補助はまた考えましょう。まずは食肉で価格が付けられる物の補助。ギルドも乗ってくれるでしょう。解体屋もおそらく今後、雇用を増やして食肉加工に人手を入れる事になると思います。雇用の際の給金の補助、これも4分の1でまずは置いてみませんか?」
「先を見越すと必要になるということですな。補助があると知れば利用も考えに入る。行う方向で行きましょう。」
ガルツ神官とルオカさんは頷いて了承する。
「では続いて民から意見を徴収し、その企画を投票によって決めて街の催しを定める件ですが、2日前に意見を頂戴し、大人と子供の世代の代表に4つの企画案を出して頂きました。
大人案① 各地区対抗運動競技会
大人案②歌声披露会
子供案①街の問題 回答大会
子供案②親子大食い大会
この4つが最初に出された案でございます。」
概ね文化レベル的に予想通りの企画だった。
「大人案①は競技の内容まで細かに書く必要があると思います。私がいた世界でも多種多様な物がありました。今回は街全体という事で子供大人関係なく行える競技を中心に組み、公表するのが良いと思います。」
「どのような競技があったのですか?」
興味津々でイセが手を挙げて問う。
「花形競技といえば『リレー』ですね。バトンと呼ばれる筒を持って走り、次の走者に渡すを繰り返し、最終地点にまでの到達を競う競技です。年配者でも出来るというならば『玉入れ』 布に綿を詰めた玉を高めの支柱の先に付けたカゴに向かって投げ入れた量を競う競技も定番でしたね。」
「ならばそれらの競技内容の一覧を実行委員の参考資料としてお付け下さい。危険な行為のある競技を提出されても事故にしかなりません。競技の約定を守らせる為にもお願い致しますわ。」
「心得ました。どうせなら楽しくやりたいですもんね。」
子供案① は所謂クイズ大会。問題の内容を精査する必要があるが方式はウルト◯クイズ形式でやるのが街全体の大会としては盛り上がるだろう。
「回答する時の札などは私がイデアで産み出します。」
「なんでもカナリ様の能力をお借りする訳には‥。」
「いやぁ思い描く大会には必要なものかと思いますのでそこはやらせて下さい。」
思い描いているのはもちろんあの帽子だ。
大人案②の歌声披露会はのど◯慢。これは男女を分けて競うか迷うが多くの人に聞かせるなら拡声器が必要か。俺がイデアで産み出してマイクを持たせても良いが時代背景やオーバーテクノロジー過ぎるかも知れない。
「広報としてはこれが1番打ち出し易く感じています。が現状多くの人に聞かせるなら声が届かない事が懸念されます。」
「そうなんですよね。こちらの世界では拡声器がありましたが‥。イセ様。風の魔法で何か良い対策はありませんか?」
「空気の振動により声の通りをより遠くに、というのももちろん考えますが大きな建物の中で行う事の方が手っ取り早い気がしますわ。」
アリーナ構想も考えなかったわけではないがこの街の現状と動員数を考えると野外フェス形式が1番なんだよなぁ。
「あちらの世界でもホール、アリーナという催しの為の大きめの建物はございました。現状それらを建設するのは費用において難しい。なんとか野外での開催で声を通す方法を模索しましょう。」
「こちらが選ばれた場合、風魔法でどこまで出来るか、私が担当して研究してみますわ。」
「よろしくお願い致します。」
子供案②の親子大食い大会。これは特番でやっているような皿数による対戦方式にするのが良いだろう。品を限定して行いたいが、あちらの世界で見ていた大食いでは子供は参加していなかった為、子供からこの意見が出てきたのは意外だ。品としては何が適切か‥思い悩む。
「この街は子供が多く、1人あたりが家庭で食べられる量が少なめな印象を受けています。それが原因かと思われます。」
「なるほど、おそらく『娯楽の少なさからくる弊害』というやつですね‥。」
「なんですの?それは?」
「娯楽が少ないと人間の欲求は自然と三大欲求に向く。食欲も睡眠も確保できていたら最後に残るのは性欲。唯一相手が居ないと満たせない欲求だから自然と異性に目を向けて、国の継続の指標になる子孫を残す事に寄与する良い傾向もあるんだけど、子供が増えたら一つの家庭での収入で食事を割ると必然的に1人分が減る、というわけ。栄養不足になって病気になりやすかったり、その状況で低年齢出産でもしようものなら未熟児や出産死に繋がったり。」
性欲という言葉に一度はビクッとしたイセもその後の事柄に耳を向ける内に冷静になって行った。
「『人はパンのみに生きるにあらず』というあっちの世界の言葉があるけどこういった事を防ぐ為の人間の防衛本能なんだろうと思うよ。」
「ではこの企画は『子供が食べ易く、且つ大量に食べられる物』を前提に選ばれた時は進めましょう。」
一同異論はなかった。これら4つの企画案は御触れとして街の広場に掲げられ、各家庭に配られた投票用の紙を広場に設置する投票箱に入れる事を告知する。投票期間は一週間。掲示から投票、集計、発表まで広報のニッカさんが担当し管理責任を負う事になった。
ガルツ神官は一旦会議を締め、しばし休憩をした後に次の議題に移ることになった。




