↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/120

発作と確認

「‥‥何であんな事を最後に仰ったんでしょう?」


カナリが帰り、皆で今日の復習をしている最中にマイは首を傾げてイセに問う。


「それは‥‥おそらく能力の事ではなく、『自分の二の舞になるな』という意味ですわ。」

「えっ?でも経験はしに行くもの‥なんですよね?」

「ええ。常に挑戦を続けて取りに行くものでしたわね。それをやり続けた結果、それを受ける側が保たない場合もあるという事ですわ。私は従者のチャル様からカナリ様がどういう人生を送って来られたか聞きました。そして知識を披露、事業に組み込むなどした際にその時の事を思い出し苦しむというあちらの言葉で『フラッシュバック』に陥るそうです。当時の情景が広がり、怒鳴り散らすと聞いています。その苦しい経験を皆にさせない為の今回の教室だったのです。」

「そんな‥‥自らを痛めつける様な行為を何故‥‥。」

「私としてももう少し安穏に暮らしても良いとは思いますけどこればかりはカナリ様の今までと現在の使命を考えれば割り切るしかありません。安穏な生活に一刻も早く近づける為にも私は尽力すると誓いましたの。」

「イセはそれで良いの?」

産まれた時からの幼馴染のヤチが少し心配そうに聞く。

「ヤチ。他ならぬ私がそう決めたのです。良いに決まってますわ。」

「まあ昔からやると思った事には止まらないのは分かってるからね。友達としてイセが危険な任務とかも割り振られる立場にあるのも理解してる身として心配ぐらいはさせてよ。すごい人なのは分かったけどその人がどうなるのか確認ぐらいはさせて欲しいよ?イセが奥さんになるっていうならそのフラッシュバック?を間近で見続ける事になるって事なんだから。」


この子の急に真面目になって核心を話し出すのも昔から慣れませんわね。


「そうですわね‥‥。論より証拠。この後カナリ様の住まいにお邪魔しましょう。私もお聞きしただけでどの様な状態になるかははっきりと見てはおりませんの。時間を置いて伺いましょう。」

「分かった。」


幼馴染ゆえの心配は当然の事。憂いがある人に任せられるかと言われれば否だろう。生徒全員でサウ車に乗り込み、その様子を確認に行く事に。



「そのフラッシュバックとはそれ程辛いものなのだろうか?」

サダムネが口を開く。

「私は父から少し聞きました。戦場で恐怖を味わった人間はふとしたきっかけでそれを思い出してどうしようもならなくなると。多分それに近いもの。そしてそれはどんな人間でも起こりうる事だと聞いています。戦場に出られる程鍛え上げた戦士がそれに陥って動けなくなるというのは相当な事だと予想されます。」

マイは淡々と答える。

「嫌な事を見聞きして、怒鳴り散らすって‥今日習った耳から『強化されて入ってくる』ってやつもあるのかな?それって知識話したり叫び散らしたりするほど逆効果なんじゃ‥‥。」

ティナも復習しながら考える。

「だと思います。それでも伝える為に全力で抑えているのでしょう。カナリ様の話はどれも分かりやすく、国王相手に話していてもそれに陰りがありません。『全て想定済み』の状態にして臨む。逆に言えば披露の場でフラッシュバックを発症させない為でもあるのでしょうね。」

「今日の授業も分かりやすかった。ちょっと難しい単語も多かったし情報量もあったけど一番年下の僕でも図を見ながら理解出来た。」

ダルは復習しながら分からなかった事をみんなに確かめていたが、あくまで追いついてなかっただけであって理解出来ないわけではなかった。

「どれだけの想定と場数を踏んで来たかが垣間見えたよね。女性陣への返しとか面白かった。」

ギンは女!優!を思い出してクスクス笑う。

「俺たちの世代に正に必要な内容だったと思う。正直家業を継ぐ事は決めてたけど色恋や計画の立て方や目指す指標は誰に聞いていいものかと思っていたから助かった。今回の教室に呼んでくれて感謝します。」

サダムネはイセに頭を下げる。

「私はカナリ様に言われて場を設けただけですわ。カナリ様の知識あっての事。そしてカナリ様は今御礼をされるより即実行してくれる方が喜ぶと思います。帰ったらすぐに取り組んで貰う事が感謝の証となると思って下さい。」

「分かりました。それは必ず。ですがやはりカナリ様は心配です‥‥。」

「ええ。一体どの様になるのか‥家から持ってきたこれらが役に立つと良いのですが‥‥。」


そうこうしている内にカナリの家の前に辿り着く。家の前にはメキが立っていた。


「ん?お嬢様か?教室は終わったんだよな?その子達は?」

「ええ。今回の教室の参加者ですわ。カナリ様は戻られていまして?」

「ああ‥‥戻っては来てるけど会える状態じゃあないな‥。」

「やはり‥‥言われていたものが発症されているんですわね?」

「そうだよ。アタイも初めて聞いたけど酷いもんだな‥。わざわざ皆で聞きに来たって事か?」

「ええ。私としても確認をしたかったので。皆も心配で来てくれましたわ。」

「おすすめはしないぜ?それでもかい?」

「それでもですわ。」


1つメキは溜息を吐いて家の扉を開ける。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


開いた瞬間に聞こえて来たのは怒号だった。


「これがあの人‥‥??!」

ヤチは筋肉が一挙に硬直し、冷や汗をかく。他の皆も同様だ。


「ああ、イセ様っすか。他に聞こえると厄介なんで閉めて貰えるっすか?」


扉を閉めて全員入室。更に内容に具体性を帯びた叫び声が地下室から聞こえてくる。


「性教育の先には責任が伴う!だからこそ前世代が責任を持って教える!それを蔑ろにして誰かがやるやろとか、少子化はなってまうもんやしとか、性教育不十分も他力本願の風潮に乗っかってるだけなのも無責任!それを1989年に確定で国が認定して少子高齢化を発声しているにも関わらず、引き起こしてる世代共がどの年代がやったっていい婚活事業も教育も「若いもんにやって貰わな。」と、なんの根拠もない言い訳して無責任に逃げる愚か者の背中見せて何十年も来てここまで悪化させたんだろうが!「私らいつまで生きてるか分からんし」とか抜かしながら生産世代から薬代踏んだくって社会貢献度も上げないまま何十年生きながらえて暮らしてんじゃ!そうやって自分らが生きて自分らの子供世代以下自殺に追いやる国目指してたんか!若い守り手が減って他国から攻められやすい国にして自ら滅ぶつもりか!!てめえらの『緩慢なる自殺』に巻き込むな!愚か者!!!!」


「‥!!!」

その内容を聞き、今日授業を受けた面々は今回習った事を怠るとこの状態になると言われていると思った。同時に当時必死になって対応し、その経験を今回の授業に充てて話してくれたのだと改めて理解する。

「これは前世代の再教育を訴えて議会で一般質問した時の行政からの返答後、会派室という議員に割り当てられた部屋でブチ切れていた内容っすね‥。」

「実際に目の当たりにするとまた違いますわね‥‥くっ!!」


イセは両手を拳にしてワナワナと震える。


「‥‥今回の授業はどうだったっすか?途中から急いでたり、自分の様にはなるな、とか言ってなかったっすか?」

「仰っていました。私のようにならない様に、と。今思い返せば後半からは少し早口になっていたとも思います‥‥。」

サダムネが眉間に皺を寄せて答える。他の面子も通夜の様だ。

「これがご主人の抱える闇。抑えるのに後半は必死だったんだと思うっす。ご主人が言われた様にこうはならないようにして欲しいっす。でもこの闇はちゃんと戦ってきた証である事だけは覚えて置いて下さいっす。」

「「はい‥。」」

一同が返事をする中、ヤチが口を開く。



「イセ。あんたこれを背負えるの?」


イセは一呼吸置いて答える。

「正直言って怖いです。ですが背負う覚悟は変わりません。ただ‥‥あちらの世界の神が、どれほどカナリ様を苦しめたか、今理解を深めました。目の前にいたら先の戦の光球10連発ぶち込みたい所ですわ。」


イセが震えていたのは怖さからではなくそれを超える怒り。



「こちらの世界に来てまでもこれ程苦しむカナリ様を、それでもこの世界に貢献しようとしてくれるカナリ様を、私は放ってなど置けません!」



「良い覚悟を持った娘じゃな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。