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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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カナリの教室⑥ 男と女の違い その①

最後は男女の違いについて。イセとティナが待ってましたと言わんばかりににんまりし始める。さてはこの話をしてこの教室に誘ったな?


「身体を鍛えて、仕事も出来、収入が安定して次に考える事は街や国の継続。国を形成する3大要素は分かるかな? ではにんまりしてるティナさん。」

「ふぇ!?」

身構えていた話と違う質問が飛んできたので驚くティナ。

「わっ分からないです‥‥。」

「領土、主権、国民。この3つです。覚えておいてね。この国民の部分、重要になってくるのは何と言っても『国民が続く』事。これを自分達が長く生きられれば良いと考える人がいる。これはさっきも出た我だけの考えだね。正解は『世代が続く事』。世代が続く為に必要な事は?」

「子供が産まれる事‥ですか?」

「その通りです。その為にする事は?」

「男女の営みですわ!」

キャッと言いながらも自信満々で答えるイセ。

「正解。でもそこで男女の機微の違いがあれば関係が崩れる可能性があります。なら先に男ならこう、女ならこう考えるといった情報が入っていれば、機微の違いを垣間見た時にそれが心の緩衝材になって関係が崩れにくく出来ると考えられるわけです。」


所謂転ばぬ先の杖な事だ。これをまずは心理学の話から説明。


「あちらの世界で『女性は自分を女優と思っている』という言葉がある。では女優とはどういう存在か?これを考えてみよう。」

「女の役者さん‥ですよね?」

と、ギン君。

「その通り。役者さんだから『舞台』に立っている存在だね。女性は自分の舞台、劇場を持ち、そこで自分という物語を演じている者。という考えだ。」


女性陣はある種の決めつけの言葉にぴくりと反応する。その反応も経験から想定済み。ホワイトボードに人型を描き、下に舞台を描き加える。


「では男性はこの図のどの位置なのか?『観客』なのか『共演者』なのか『裏方』なのか?皆はどの位置が良いかな?」

共演者 イセ、ティナ、マイ、サダムネ

裏方  ヤチ、ギン、ダル


観客はいなかった。

共演者側の意見は、相互作用。裏方は支えて欲しい、支える為という欲と男の本懐的なものだった。


「皆積極的に自分で動く心情なのが分かる結果だね。この立ち位置のどこが良いかが男女共に定まっていない状態が多い。女性側に言いたいのは男性の最初は必ず『観客』からです。そこから自分のステージに上がって貰うのか、裏方になって貰うのか、はたまた観客席に自分が降りていくのか。これが男女どちら行くのかが『惚れた者の負け』という所に繋がって来ます。観客席に降りて来て驚愕するなんていう『近づいてみて初めて分かる』というのも多々あります。」


ではここで両者の立ち位置から思う事を分析してみよう。


「女性側は舞台で全力に物語を演じています。観客に求めている物は『共感』と『賛辞』の状態です。一方男性側は払っているかは別として対価を払った客としている為、これだけ払ったんだからこうしたら良いのになとか自分なりの『解決』『強化』を求めています。それをそのまま女優に投げ掛けたらどうなるでしょう?女性陣代表イセ様。」

「ヤジにしか聞こえませんわ。こっちは全力ですもの。」

「そうなりますね。女の子は常に全力勝負でいる方が見て貰えますし生き生きします。タチが悪いのは両方が良かれと思っている事。今聞いたお互いの求めている物の違いを相互に理解する事が肝要だという事です。男性は共感から入る事、女性側は失敗しやすい例として『割合と回数』を履き違えない事。」

「割合と回数?」

「さっきも言ったけど男性側は対価の割合に見合った物を求めています。舞台から動けない女性側は自分の事を見に来てくれている回数を重視します。1000ベレ払って観に来てようが10000ベレ払って観に来ていようが1回は1回と見えてしまう事が多い。サダムネ君、10000ベレ払って見に来たのに「あの人は3回(3000ベレ)も来てくれた!あなたとは思い入れが違うわ!」って言われたらどうかな?」

「怒り狂うか冷めますね。確実に。」

目が据わり、それを見た女性陣は押し黙る。


「これをやっちゃう例として夫が丸一日肉体労働してヘトヘトの状態で帰って来て、皿を片すのも億劫で一息ついてる時に『それぐらいやってくれても良いじゃない!』って妻に言われようもんなら、その一言で『愛するべき存在』から『乞食』に早変わり。それぐらいの『それ』を出来る状態か確認もせずに言ったらダメよってね。回数重視の女性陣はこれ素でやりがちだから気を付けてね。」

ティナが顔に手を当てて1つため息を吐く。


「あー‥‥お母さんがお父さんに言ってて眉間に皺を寄せられてるの見たことある‥‥。」

「堪えてるねーお父さん。ではどうしたら良いか。先程の立ち位置を決めているかに掛かって来るわけです。 恋人夫婦になれば同じ舞台に乗っているか同じ演目を行なっている同志になります。その共有した人生の舞台で文字通り『役割分担』が必要になるわけです。決めていないと相手の規約を問答無用で押し付けられることになるのでお互いに何が嫌かどうか、耐えられるかどうかを恋人状態の時に確かめ合うようにしましょう。」

「それが心の緩衝材になるという訳ですね先生。」とサダムネ君。

「そうだね。いくばくかはそれで心の自由が獲得できるだろうね。子供が出来たら子供優先になって子供と長い時間過ごす事になる母親である女性の方が負担の『割合』が高くなる。ちょっと目を離せば死んでしまう可能性の高い生き物を一日中見る訳だからね。心労はある。ただそれで忘れがちなのがその2つの命を繋ぐ為の外貨を外で稼いで来ている男性側がいる事。忘れたゆえに本来稼ぐ事も含まれた『家庭』の事を『家の中』での出来事のみで考えてしまい、先程から出ている『我だけ』に近い状態になる。女性側に見えない場所で外貨を稼ぎ、疲れて休みたい男性の姿が怠けている様に見える時が多々ある。で、さっきの『それぐらいやってよ!』で愛すべき存在を見たくなくなるを繰り返し、意欲を無くして家庭が崩壊する。それでも保っている家庭は何かしらどちらかが心の負担を抱えながら耐えていると考えられるね。」


「うちのお父さん‥‥。」

ティナは思う所があるようだ。そう、子供にそれが伝播して心労を連鎖させちゃうんだよね。近いからこそ伝わり易い糸電話みたいに。


「これを上手く回避出来ているのは多分ヤチさんの所かなと思う。」

「えっウチが!?」

「ご実家はパン屋なんだよね?お父さんもお母さんもその場で働いて育ててお互いを確認出来る位置にいる。利益はどれほどかは分からないけど食という無くなり辛い職業で稼ぎ、娘がパン屋やりたい!と次世代の育成も出来ている。円満な生活や背中を見せている何よりの証拠だ。ヤチさんが今後結婚を考える時どんな人が来るかで状況も変わるだろうけど、その時にこの教室の内容が役立てば良いなと思うよ。」

「ウチって意外と凄いんだ‥‥?!」

「そうだよ?」

「すごっ!!」

テンション爆上がり女子のパワーの方が凄い。凄い2人の娘と分かり、アタイってば最強ね!状態だ。


「こういった『立ち位置の明確化と理解』『役割分担』『心の緩衝材』の必要性は分かって貰えたかな。でも気付いたかな?要は自分が『稼げてて疲れなきゃ良い』という事に。」


みんながハッ?!と驚きを見せる。


「これまでの授業において身体作りや精神の自己調整や地域内乗数効果の話を先にしたのもその為だったりする。どうかな?しっくり来るかな?」


はい!っと一斉に返事が返ってくる。結局体力とメンタルお化けが最強なんだ。その基盤にそれを活かして支える為の知識とやり甲斐と制度を上乗せすれば行動が起こりやすく、持続的発展が見込める。今鍛えるべきものを理解し、国の継続を考えるという形になる様に繋ぎたかった。


「ではそろそろお待ちかねの男女の異性の恋愛意識の仕方の方にも入っていこうかな。」


女性陣の眼の色が変わる。

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