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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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カナリの教室⑤ 判断力と身体作り

「人間の心はどこにある?」


唐突かつ当たり前かもしれないが聞いてみよう。


「えっ?頭ですよね‥?」


マイは答える。

「心臓と言われず良かった。そう頭だね。では頭の中の脳は何をする為に発達した臓器でしょう?」

「え?それは物事を覚える為です。」

「それは実はおまけなんだ。」

「おっおまけ??」

「脳は元々『筋肉を動かす為』に発達した臓器なんだ。生物は生きて行く為に他の命を頂かなきゃならない。中には危険を伴うし技術のいる物もある。よってその事を記憶する場所も同じ所に設けて身体を行動させるようになったんだよ。」

「記憶や思考能力は後付けという事ですか‥‥。」

「そういう事。どんなに考えても実行されないと何も変わらない。さっきの基本『考えるは決める事』はここに係ってくる部分だね。決めた結果、動かねば意味がない。身体的能力が伴わずに『動けない』も同様に意味がない。という事で『何を目指して身体作りをするか。』 これを話していきましょう。」


ホワイトボードに項目を書く。


『判断力』


『健康』



「この2つをまず目指してみましょう。これらに深く関わる機能が‥‥。」


『判断力』 → 反射神経


『健康』 → 肺活量



「になります。」


と、言ってもこれでは何の事やらだろう。


「判断力を鍛える為にまず一つ生活の中でやってみて欲しい事がある。何でも1つ項目を聞いたら『3つ考える』事。」

「3つ?」


                ◯

      / I \

     ◯ ◯ ◯

  / I \    / I \     / I \  

 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯


ホワイトボードに一気にこんな図を描く。


「この様に1つ聞いて3つ思い浮かべて更に3つ考えると一番下の段は9個になるね。これがあちらの世界の言葉で『1を聞いて10を知る』という状態。これを目指す為にまず最初の所で3つ考えるを行なってみようという事。 人間は選択肢が狭まると不安から余計に失敗したり自信を無くしたりする。その幅を狭めない様にする為の『心の安全装置』にもなる。」


あっ、この世界で装置って言葉もしかして無いか?


「視野を広く見ようという事でしょうか?」

手を上げて聞くサダムネ君。

「そうだね。それもここに含まれる。考えの広さが答えに辿り着く最短。自衛隊の時に今ある状況の答えは自分の中にある知識の中にしかない、通常時に多くを取り入れ、有事には考え続け導き出して対処出来る事こそ自分を守りつつ他を救わねばならない自衛官として必要な能力だと教えられた。そこで考えた必要な能力の根幹とは何か? それは『集中力』だ。」

「集中力‥‥。」

「集中力には2つの意味がある。1つの項目に集中するのは皆知っての通りだけど、もう一つは『自分に集中する情報を処理する能力』だ。」


ホワイトボードに上に向かって矢印↑を引く。


「丁度この図の逆だね。次に行う自分の行動1つを決めるのに様々な情報から正解を導き出す。行う内容、行う時期は適切か、色々考える事は多いよね。ちんたら考えてたら時期を逃しちゃう時も多い。そこで『反射神経』が関わってくる。そもそも神経は分かるのかな?」

「えーと頭から身体を動かす為に身体中に張り巡らされているものですわよね?」

「そう。神経にも種類があってその中の1つが反射神経。自分に情報が入って来て次に行動するまでの動きの速さに関わる神経で、これは5歳から12歳までぐらいで成長してその後も鍛えられないわけじゃ無いけど骨格や筋肉や内臓の方に成長の力を取られちゃうから10代までで鍛えておくと良いわけだね。この中でいうと多分マイさんは速そうかなと思うよ。」

「えっ?私がですか?」

目をパチクリさせて驚いている。

「君は剣術を教えられているんだろう?剣先を捉える速さ、そこから躱して次の一撃を打ち込む行動へ移す速さ、反射神経が鍛えられている要素が多い。だからそうなんじゃないかと思ってね。」


エヘヘとちょいと照れるマイ。褒められて伸びるタイプかな?

「この情報の処理を1つから派生、他情報から1つにと行き来する速さを鍛えて危険回避や機会を逃さない人間を目指して下さい。素早く動く遊びや運動、あと、みんなでお題を相手に出して3つのお題に沿った話をするという練習をお勧めします。」

「練習をするならまず、お手本が見たいですわカナリ様。」

「それもそうか。言った手前やらなきゃね。では何か単語を1つお願いします。」

「では、『食べ物』で。」

「①私の実家は農家で牛、鶏、こちらでいうブルガンジーとモミージを飼ってそれらを加工販売まで行なっていました。

②食育という教育も行なっていましたが食育は栄養や製造工程を学ぶだけではなく人間の営みを学ぶ事にもなります。物を手に入れ、調理し、口に運んで、身体を維持する。先程言った外貨を稼ぎ、街に取り入れて、事業を成して、街を維持するに通じているという事が含まれている教育です。

③この世界で私はそれらを先導する立場で補助を充てる事になるわけですが、特に好物であるブルガンジーの肉とシャキットを加工して美味しく食べられる日を待ち望んでいます。」


①は実家の話 ②は食育とは ③はこの世界でやる事と自分の好物


「とまぁこんな感じかな。分かりやすいお題で助かりました。」


「この回答の速さ‥流石ですわ!」

「一応分かる単語であればこれぐらいの早さで。1つ話している間に他を考えていたりもしますね。そうすると自然と前の話と繋げられたり相手の予想した答えを出すなども可能になってくるので、コツとして覚えておいて下さい。」

生徒達から拍手喝采。良いお手本を見せられたなら良かった。



「次に健康における『肺活量』 これは病気になりにくい身体作りに必要な息をする時に摂取している酸素という物質を多く取り込む能力。これらは20歳から60歳までで半分に減ってしまう。つまり病気になる確率は?」

「‥‥!! 倍!!?」

真っ先に思いついたティナが声を上げる。

「正解。魔法で何とかしているかも知れないが薬も乏しく平均寿命の短さを見てもこれは顕著に表れているのだろうと思う。15歳成人で子供を作るという人間の本来の循環が保たれているのも頷けるね。」


肺活量は成人男性3000cc〜3500cc以上、女性2500cc〜3000cc以上が必要でガンなどの病気に抵抗する為の酸素を取り込み、それを使い日々体内で免疫が戦っている。半分になれば3〜2人の内1人がガンになるわけだ。それらの事実を元の世界の学校では教えていない。まあその方が都合が良い奴らによって考えさせない教育を施した国だからな。とか思い出しながらこれらの数字を書き、説明を続ける。


「肺活量を増やせる時期はいつか?成長期の今でしょ。これの倍あれば半分になっても20歳ぐらいの免疫力があるわけだから。そして腹に付きやすい贅肉、これは脂肪というけど実は血管の中にもどんどん付着して行く。酸素で体温を維持しながらそれらを燃焼させて脂肪が血管を塞いじゃう事を防がないと、栄養や酸素が届き切らないで身体のどこかが悪くなっちゃう。実はこの現象8歳頃から始まります。ダル君はいくつ?」

「13です。」

「絶賛付着中(アウト)ーw」

親指を立ててニッコリスマイル。ダル君あんぐりな顔。ティナとヤチは大爆笑。そんな中「具体的な対策はありますか?」とマイ。


「基本は『走る事』  走る事でまず心肺を鍛える。水分が抜けた筋肉は硬く思われがちだけど実際は走る振動を受けて柔らかくなって血流は通りやすくなっている。大きく深い呼吸をしながらやる事で肺活量が増える。泳ぎも良い。背中の筋肉が柔らかくなって女性は背中のツボや肩甲骨が柔らかくなる事で美乳に育ったりもする。でもこの大地の真ん中の街でどこで泳げっちゅーのという事で、誰でもすぐ出来る走る事をお勧めするよ。コツとしては3日に一度は全力で走る『締める』日をする事。ただ同じ距離を走っているだけは筋肉はつかない。筋肉痛になるぐらい走る日を作って次の日は休んで傷ついた筋肉に超回復が起きて更に強化された筋肉が出来上がる。注意点は走りで多く呼吸する事で口の中に病気の元になる目に見えない菌という物が入り込むから、走った後水分を取る前にうがいを忘れずに。って所かな。」


足は第二の心臓と呼ばれるポンプ。万病一元 血の汚れと言われ、巡りが悪ければ汚れ、病気になる。是非走って鍛えて長く活躍できますように。


「あちらの世界ではスポーツと言って気晴らしにする運動が競技や職業にまでなっている。出来そうな物はこちらでも取り入れるつもりだ。安全に且つおおらかな心を養い、これら2つ能力を伸ばして行きましょう。」


「はい!」


「次で今日は最後にしようと思いますが改めて大丈夫?」

「大丈夫です!」

元気な返事。流石10代。


「では休憩を挟んで最後、男女の違いについて話して行きましょう。」

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