カナリの教室② 計画とその立て方
「では続いて計画の立て方について説明して行こう。その前に皆は何かなりたいものはあるかな?この人数だし全員に聞いてみようか。」
ヤチはそのままパン屋をやりたい、マイは父から習っている剣術を活かす為の何か、ティナは先程の思いから他を考えたくて思案中、ギンは木だけじゃなく色々な物を作りたい、サダムネは運送屋として山賊に苦しめられる人を見てきた為そういう人の力になる、ただ一人ダルは少し渋っている様だった。
「ダル君は何か言い出しづらいのかな?それとも決まってない?」
「うぅ‥区長の子としてその跡を継げって言われてきたからちょっと‥‥。」
「気にしないで良いよ。ここで言うだけタダだし。やりたい事を言ってごらん?」
「まっ‥魔法使いになりたくて‥‥。」
「まあ!そうでしたの?言って下されば魔法学会に推薦状を書きましたのに。」
「いっイセ様にそんな!‥‥でも回復や補助魔法とかが使えれば皆の役に立てるかなって思ってて‥‥。」
「良いね。両方やれば良いさ。案ずるよりもやってみて、たとえ歩みは遅く大変でも止まらずいればいずれ技術や役割は追いついてくる。私も不器用ではあるから想定力と練習量で補って何とかやってきたけどその歩みと成長は11歳から止めてない。それははっきりと言える。今だに不安だし足りてない部分は多いけど、こんだけ続けてやってればこんなにまでなるよの実例になってる自信はあるよ。」
「カナリ様が止まっていられないのは間近でガンガンに感じておりますわ。この方ソーアでランフォーを全て撃退し、敵の大将と一騎打ちして戦を止めてそのまま被災者数百人分の晩御飯を拵えて文字通り倒れるまで動き続けてましたのよ。」
「うへぇマジかよ。超人じゃん。」
そう言うのはティナ。目を細めて気味悪がられてる。
「実際14歳の頃のあだ名は超人だったよ。」
「ああやっぱり?」
「あの時私の膝の上で眠るカナリ様の寝顔が可愛くてw」
「えー!?恋人同士のやり取りじゃんイセ!」
「ウフフwww」
話題が逸れたので戻そう。
「まあそれは置いておいて、ダル君の所は親にそういう教育を施されてるんだね。どう選ぶかは勿論君の自由だけど区長であれ魔法使いであれ、どんな自分を目指すのかの計画を見せて方針を説明しなきゃならない。これからの説明がそれの役に立つよ。」
「はい。」
まだ少し迷うと言った感じかな。魔法使いはイセみたく駆り出される事もあるし仕方ないか。
「では今現在の皆のやりたい事は出ました。計画の立て方の始まり、『目標』『題目』。あちらの言葉で『テーマ』と言います。これがなきゃ始まらないね。だけどこれが中々決まらない時も多い。その時は出来る事とやりたいけど今出来ない事、自分の好きな事を全部書き出してみる事だね。そしてそれを他の人に見て貰う。他の人の知識も総動員して閃く事もあるし、さっき言ってた客観視を受け止める練習にもなる。思案中のティナさんはこれをやってみる事をお勧めするよ。」
「はぁい。」
早速色々書き出しているみたいだ。そのまま授業も聞いててね。
「ではテーマが決まったら次は『対内目的』 自分や自分の身内にどんな目的があるか考えてみよう。例えば、パン屋をやりたいヤチさんなんかは私のパンで収入を得て盛り立てたいとかかな。」
「私のパンで皆笑顔にしちゃうよ!」
「良いね。次に考える『対外目的』 やりたい事に関わってくる他の人に対する目的も今のに入っている。このように対内目的と対外目的は内容が被る部分も出てくる事が多いから無理に分けて考えてしまわないように。」
そうなのかー。と元気なヤチさんはメモを取る。
「次は『事業内容と期待される効果』を考えよう。ではサダムネ君。運送屋として効率を上げるとしたらまず何を考える?」
「うーん、道の整備が1番だけど運送屋でやるというより国とか街の仕事っぽいので‥‥まずはサウを大きいのを買って速さを上げてみます。」
「良いね。この場合、事業内容は『運送業の効率化を図る為、大きく速いサウを購入』 期待される効果は 『大きさと速さにより一度に運べる荷物の量が増え、街への往復時間も短縮』になる訳だ。」
良い答えだったんだが当の本人は眉を顰める。
「そういうものだと思って答えたんですけど‥‥これって損するかも知れないですよね?」
「うん。大きいサウを飼うとなるとそれなりの小屋の用意や餌が必要になってくるだろうし、荷物の量が少なければ損になる場合も出てくるだろうね。」
「そうですよね‥。」
「授業としては良い答えだよ。これが次に考える『準備物』と『予算』に繋がってくる。この場合準備物は『小屋と餌や新しい荷車』 予算は『小屋代、サウ購入代、餌代、荷車代』となるね。」
「初期投資の段階で金額が‥‥。」
「まあ予算立案が一番悩む所さ。行政側としてはそこを補助する為に皆から税金を集めている。そう考えて行政と相談する事だね。為政者側も補助を基準に考えよう。」
イセもうんうんと頷く。この前の会議で示した事を思い出してるのかな?
「先生ならどの様に効率を上げますか?」
次の説明に行きたがったがそう来るか。まあ実家の死活問題だしな。
「これに加えるなら‥まず『宣伝』だね。」
「宣伝ですか。」
「安心安全に運びます!ていうのは他の運送屋でもいう事かもだけど、ここに『デカいサウで速く、新しい荷車でより大きな物も!』っていう明確に伝わるものが付けば独自性が出て、それを知った依頼者が選ぶ要因になる。折角買ったサウと荷車を知ってもらわないとね。」
「なるほど‥。」
「こういった効果を上げる為の案が予算を決める時によく出てくるから、ここから期待される効果に書き足す事もある事を覚えておいてね。」
「了解です先生。」
「あとは荷物自体を考えるかなぁ。冷蔵冷凍の荷物は魔法使いに冷やすのを頼む形だったかな?」
「そうですね。それが一般的です。ウチでもそうしています。」
「ダル君の魔法の練習を兼ねてその代わり低賃金で荷物を冷やして貰えればその分利益が出たりね(笑)」
「良いですねそれw」
「ええぇ!?」
「冗談だよダル君。勿論やって貰っても構わないが?(笑)」
「うー失敗が怖いので遠慮します!」
「それは残念。でも今後に期待しているよ?いつでもお待ちしておりますw」
「半笑いじゃないかー!」
ハハハと一同笑いが起こる。
「まあそうイジらずに。走りながら冷やせる装置を荷車に組み込むとかも私は作れるとは思うけど魔法使いの収入を下げる訳にも行かないし今は秘密ね。」
「サラッとすごい事言ってますけど先生!!?」
「いや、私からしたら魔法の方が凄いから。」
あー目がイキイキしてるわ。こりゃ後で質問攻めだな。
「とまぁ横道にそれたけども、この計画の立て方。」
『テーマ』
『対内目的』
『対外目的』
『事業内容と期待される効果』
『準備物』
『予算』
「この順で覚えて色々考えて見て下さい。勿論他の人に試しに見て貰うのもありです。」
「「はーい。」」
その一瞬イセが『テーマ カナリ様と逢引き』と書いているのが見えたが見なかった事にしよう。
「では計画を立ててその次は仕事に就く訳だけども、『何を念頭に置いて』仕事をするか話していこう。それは‥‥。」
ホワイトボードを消して次の項目を書き始める。
『地域内乗数効果』
「次はこれね。」
是非この6つの事柄をコピペして自分の気になっている事にお役立て下さい。 ハルエ




