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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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カナリの教室① 自己紹介と学校とは

ここから数話は講座になります。読者の方にも何かプラスになれば幸いです。

今日はイセの屋敷にて教室を開く。頭が回るか不安もあるが街に必要な事はこなさないとね。


「おはようございますカナリ様。本日はよろしくお願い致しますわ。」

「おはようございますイセ様。こちらこそ人数を集めて頂きありがとうございます。」

「人数なのですが‥何分皆急でしたので今日は6人程となってしまいました。」

「十分です。感謝します。」


あてがわれた部屋の扉を開け、皆起立し、こちらに注目する。まずはイセから挨拶と紹介を受ける。

「皆さんおはようございます。こちら本日の講師、ベルレ神が遣わされた御使カナリ様です。」

「おはようございます初めまして、紹介に与りました加成剛志と言います。本日の講座で少しでも街が未来に繋がるよう授業に努めて行きます。よろしくお願いします。」

「お願いしまーす!」


「皆の自己紹介もしてもらって良いかな?ではそちら(左端)から。」


順に自己紹介。


イセの同窓生 実家はパン屋の ヤチ  女 15歳

同じく同窓生 親は憲兵団の  マイ  女 15歳

幼馴染    親はキャル農家 ティナ 女 16歳

西区代表   区長の息子   ダル  男 13歳

南区代表   木工職人の子  ギン  男 14歳

東区代表   運送屋の子   サダムネ男 15歳


声を聞く限り落ち着いている子が多い自己紹介だった。男女半々というのもイセの配慮なのかも知れない。これにイセが加わり、7人に授業を進めていく。


「どうもありがとう。ではこちらももう少し詳しく経歴を。話にあった様にベルレ神が遣わせた御使、つまり私は皆から見て異世界人だ。」


その単語に分かっていつつも緊張が走る。落ち着いていた子は1人サダムネ君だけだ。


「元の世界では幼少期に色々と不幸が重なり、克服の為に技量を磨いて学生を終えてからは自衛隊に所属した。実際はあれだが分かりやすく国防に特化した兵隊と考えてくれれば良い。そこで戦闘技術、生存自活術などを学び、災害対応に派遣なども行なっていた。除隊後は実家で酪農家をやり、生産、加工製造、販売、鳥獣害対策をする傍ら青年団の会長として祭りや婚活といった催しの企画運営、青少年の理事として育成事業、それらを怠け状況を悪化させた前世代からこちら次世代に丸投げされて苦しみ、その声を届ける為、政治家になり、制度導入、市政運営に従事していた。その自ら経験した物を基に次世代への講座を開いていたんだけどそれをこちらでもとイセ様に頼んで今回に至ります。こちらの世界では現在流通、国内の問題対処、面白い物の創出普及、制度導入を行い、現在このベルレ・ガルアを始め、クマポンのソーア、ガサとクオカーフとゴシマの3カ国と友好を結んでいます。」


「えっ?魔人族の国と友好を?」

「まだあの顕現の御触れが出てからひと月ぐらいよね?」

「えー本当にそんなに出来るのかー?」

「流石に盛りすぎじゃ‥?」


口々に皆疑問の声を上げる。


「まあ皆が疑問に思うのも無理はないですわ。ただ少なくともこの世界での事は私がずっとついていたので証人になれます。この授業が終わり次第ソーア、ガサ、クオカーフ、ゴシマそして今回問題を起こしたキサガナルに向かわれます。貴重な機会ですので皆何かを学び取って今後に役立てて貰えると助かりますわ。」

その助言が助かりますよ。ありがとう。


「では本題の授業に入りたいと思います。最初に質問から。ではヤチさん『学校』とはなんでしょう?」


「へっ?えーと学ぶ場所?」

「何を?」

「何を?え?将来に必要な?」

「必要な?」

「知識?」

「はいありがとう。こちらの学校でもあちらの世界と同じくそこら辺を教えていない事が分かったよ。読み書き計算だけ出来れば世はこともなしって所かな。」


そこでイデアでホワイトボードとマーカーを生み出す。御使の力を間近で見た面々は本当に御使なんだとそこで確信を得たようだ。書いた文字は


「基本的な能力と人格の育成の場」


これをこちらの文字で書いた。異世界能力いいね。


「この基本的な能力とはなんぞや?」


その答えも書いていく。即ち


「読む」「書く」「聞く」「話す」「考える」


「あれ?何かいつもやってる事と同じじゃ‥‥?」

そう言ったのは運送屋のサダムネ君。言わせたい事を言ってくれてありがとう。


「そう。君たちが学校で受けている事と同じだ。ではこの能力が何に繋がっているか?分かる人いるかな?」


一同は黙ってしまう。


「そういう所まで教えてこそ、『この為に今コレをやっている』という意味とやる気が出る。では1つ1つ見て行こう。」

縦並びに書いた各項目の横に矢印を書き説明する。

「まず『読む』は『守る』事に繋がる。あちらの世界では商品に何が入っているか、生産者など事細かに書かれているんだけども、身体に悪いものが入っていないかなど確かめ、自分の体や子供などの関係者の身を守る事が出来る様になっている。これから契約書などを読む事があると思うけどそれも同じ。読めていなければ自分に不利益な部分があった場合それを承認してしまい、その不利益が自分の関係者にまで及ぶ事になってしまう。それらを守る為にも相手との交渉の際にはこの読む力で人間同士でしか出来ない落とし所を見つける手段を取って欲しい。読む事は守る事!復唱!はい!」

「「読む事は守る事!!」」

「良いね!」

理解を得た返事に指でOKマークを作る。皆乗って来たのかメモを取るペンのリズムが良い。


「次は『書く』事は『格』を意識する事に繋がる。」

「格?」

「そう。性格とか格式とかの格だね。運送屋のサダムネ君、受け取りの署名を頂く時、書かれているのが綺麗な字と汚い字だとどっち貰いたい?」

「えっ綺麗な字。」

「何で?」

「何か‥見やすい?」

「そうだね。相手の事を考えるから相手に伝わる様に綺麗に書いた物だからだ。汚い字だと?」

「見にくいしイライラする。」

「相手の事考えずにコレで良いやって身勝手に渡された様に思うよね?書いた人の意思のあるなしに関わらずお前にはコレで充分だって見下されて伝わってしまう。イライラの要因はそれ。伝わってしまうのは見上げ見下しの『格』ってわけ。商会や店の名前も傷つけちゃう可能性もある。何が伝わるか客観視と格を考えて書こう。はい!書く事は『格』を意識する事!」

「書く事は格を意識する事!」

「良いね!」

再びOKマーク。


「聞くは効果があるの『効く』に繋がる。あちらの世界の脳を調べる学問の研究があり、それでは耳で聞いた物事は強化されて記憶して行く事が分かっている。良い事を言い続ければそれを出来る様に脳が働く様になり行動に移すようになる。それが目標達成にまで繋がるかどうかは置いておいてその目標を目指す様に行動はするという事。特に女性は記憶回路が太く忘れにくくなっている為、一度間違って覚えると中々戻らずおかしな方向へ行きやすい。男性は忘れやすい為、聞く時に他の事と結びつけると効果的だ。はい!聞くは効くに繋がる!」

「聞くは効くに繋がる!」

中々良い声だ。


「次は話す事は『放す』事に繋がる。話す事で相手に自分の知識、自分の重荷、指示などを渡す事が出来てそれを相手に聞かせる事になる。ではマイさん。聞かせるという事は話す時に何に気を付けなければならないかな?」

「はい。先程の聞かせるは効かせる。つまり効果がある様に話す事に気を付ける。でしょうか?」


父親が憲兵だからかしっかりとした受け答えだ。


「正解。相手に効果がある様に話す事。今私も『聞く』の話からこの『話す』の内容に繋げた事でマイさんもすんなり答えが出たね。効果がある話し方が出来ていたという事。もう一つ気を付ける事は自分の発言には責任が伴うという事。責任を持たない発言は喋り、相手と責任が伴うのが会話。前者はその辺の柱に発言しても大して変わらない、自分がスッキリしたいだけ。女子は脳の記憶回路的にこれやりがちだから注意ね。」

「えっ!(ドキッ)」


声を上げたのはパン屋のヤチ。おしゃべり好きなんだろうなぁ。


「ただこの話すというのは自分の肩の荷を下ろす事も出来る。これに遠慮をして相手に話せないまま心が潰れてしまう例は多い。友達を作り、その重い荷を預けられる関係を築く為にも、書くの時に言った格と客観視を考えて相手に話す『誠意』が必要になってくる。これを築けるのは脳の成長の著しい学生の時分が特に優れているし、思い出を共有しやすい為、話した事で何か衝突してもその思い出が緩衝材となって仲直り出来る。」

ここで少しイセがピクッと反応する。


「私は遠慮された側で間に合わなかった。友を失う事は太陽を失うと同じ。皆にはそうなって欲しくない。どうかその点はよろしく頼みます。」


教室が一瞬にしてお通夜状態。


「(カナリ様‥‥これが経験者は壁であり誘導員であるべきという御自身の信条の行動なのですわね‥‥自らの心を抉ってでも‥‥)」


「話す事は責任を伴い、放す事に繋がる!はい!」

「話す事は責任を伴い、放す事に繋がる!」


暗い雰囲気をすっ飛ばすように先程よりも強く発声する。


「最後に考えるは『決める』事に繋がる。繋がるというよりも繋げる意識を持つ事。考えてその結論を元に行動し、その結果を受け止める。普段やっている『行動』とはこういう順だね。これを繰り返す事で自然と責任感と客観視、結果を受け止め続ける事で精神力が身につく。この考えて決める力がないと他の人に自分の人生の手綱を持たれる事になり、自尊心を失う。それでも少しの楽しみさえあれば人間は生きて行けるけども、それは納得した生き方だろうか? それで良いと結果を受け止めて生きる者も多いけど必ず人生が細る。金銭的か人間関係的か生き甲斐かあるいは全部か。なんにせよ何かは受け止める事になる。出来れば納得した結果で生きて行きたくない?ティナさん?」

「アタシ!?」

「可愛い反応だな。そう貴女です。」

「アタシは実家を手伝いながらで今は楽しいからそれが続けばと考えてたんだけど‥‥何か他の道を見てみるのもありかなと思えて来た。でもどっちを選ぶにしろ納得出来る方がそりゃあ良いと思う。」

「良い答えだね。納得するか納得させるかで心の澱の溜まり具合は大きく変わる。納得出来るものかどうかしっかり考えてみよう。考える事は決める事!はい!」

「考える事は決める事!」


「これらを元に勉強と経験を積み上げ、友達と切磋琢磨して人格を育てる。それが学校であり、君達の今しか出来ない物だらけの世代の重要事項だ。」


おお!と声が上がる。


「では、育んだ先、その力を振るおうと外に出た時、何が必要か?ギン君?」

「えっ何だろう?武器?w」

「まぁ冒険者とかなら武器はいるかなwまあある意味それで人生戦って行かなきゃならないからこれも武器かもね。」

ギン君の天然のおとぼけにのほほんとする一同。


「じゃあいざ外に出るとなったら誰がまず心配する?」

「親や家族‥‥です。」

「そうだね。じゃあ何を伝えれば安心するかな?」

「えーと‥自分はこういう事がやりたい!っていう思い?」

「その思いが乗っている?」

「乗っている‥‥うーん。」

ギン君は考え込む。

「良いねー考えてるねぇー。じゃあ補足を一つ。何かをする時に『立てる』ものと言えば?」

「あっ!計画!」

「正解!計画を立てて自分のやりたい事を説明する事が必要になってくるね。次は能力を伸ばした先、『計画の立て方』について説明して行こう。でもその前に少し休憩。水飲ませてもらうね。皆も厠とかあったら行ってきてね。」

アカウント詐欺に遭ってしまいXが凍結という結果となりました。対応に追われて今後遅れる可能性もあります。皆様もお気を付けを。

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