報告と意外な関係者
「暗殺ぅぅっっ!!?」
驚きの声を上げるのはミクニ。晩御飯を食べながらここを出てからの3カ国での出来事を話して行く。
「そうだよ。矢で肩を射抜かれちゃってさ。」
「何簡単に言ってんだよ!死ぬかも知れなかったんだろ!?」
「まあ死んだらそれまで。でも一国の王であり女を庇って死ぬなら男としては箔が付いた死に方だよなとか。」
「いやいやいや!箔のついた死に方を求めるのは男としては分かるけどもまず死ぬんじゃねぇよ!」
女性陣はその通りと頷く。
「まあこうして生き残った。その後女性陣がブチ切れ、仕向けた女王の叔母の所に殴り込みよ。」
「いやーチャル先輩の怒りっぷりったらなかったぜ。今でも身震いするわ。その女王の叔母の側近のガーディってやつの腕と足を滅茶苦茶にしてたからな。素手で。」
「えーチャルちゃん‥‥。」
「ボクはご主人が大切なダケデスヨー?」
チャルは誤魔化しながらシャキットを齧る。
「まあその叔母と繋がってたのがクオカーフの大臣で、クオカーフの王は寝耳に水だったみたいでね。その大臣の不始末とこの事件の賠償をどうするか聞きに直接クオカーフに行ったってわけ。」
「自分の暗殺を利用して交渉に掛かるなんて、転んでもタダでは起きないやつだなぁ。」
「利用出来るものは使う。悪いものであれば余計に早く処理しないと身体に悪いのは身に染みてるからね。そこでガサが戦に躍り出た理由であるズイの不作の復旧の資金援助を求めた。ズイから作られる調味料の『ジャー油』を各品目に使用して試食させてこの賠償に充てる事を提案したんだ。」
「今後美味い物も手に入り、賠償としてるから事件の御咎めも無しになるけどどうする?ってか。上手い事考えやがるな。」
「いつもの胃袋掴んだら勝ちってやつさ。戦を仕掛ける様な強欲な王様だからそれだけじゃ足りないと踏んで盤上遊戯の品を見せて対戦欲を満たした。と思ったんだけど今度は闘技場の大歓声の中一騎打ちで力を示せと来たもんだ。」
「はぁ!?一国の王と一騎打ちかよ!」
「最初は無手同士、次に武器戦だったんだけどね。もう一撃が重いのなんのって。受け流しの技で何とかって感じ。」
「いやぁカッコ良かったぜぇ主。向かってくるナーカス王をスポーーン!って空中一回転させてんだ。」
「ナーカス王の攻撃がそれだけ威力があるって事だよ。相手の力に自分の力を乗せて返せるか、間に合わなければボコボコだよ。」
「アタイの攻撃を稽古でも防げる主が出来ねーはずねぇよ。安心して見てたぜ。」
「槍対大剣になった時も受け流し、魔法も障壁で防いでたっすからねー。」
「マジで楽しそうに突っ込んで来るから内心ヒヤヒヤだよ。最後は銃を取り出し、観客全員に向けて発砲。戦を止める力を示して引き分けという事で終わった。」
「滅茶苦茶笑ってたよなナーカス王。宝箱見つけたみたいに。」
実際あの時に見た少年の様な目はそれを表していた様に思う。
「で、その後そのまま技の説明と演練だったんだ。」
「そこまでやってまだやり合ってたのかよ!」
「ボク達も断ろうとしたんすけどね。ナーカス王が止まらなかったっす。目を輝かせて技を覚えてたっす。」
「まあそのまま賠償などの契約は承諾。ソーアの復旧にはガサが、ガサの国家事業の資金援助はクオカーフも担う事になった。万事目論見通りってわけで、クオカーフのご飯を検分しながら食事を進めてたんだけど、途中報告があってリューコさんの婚約者の情報とゴシマが襲われてる話を聞いたんだ。」
「ああその時だったんだねぇ。私に連絡をくれたのは。」
「こっちでリューコが慌てて飯の為にサーツを蒸して持ってくって夜に来てよ。何事かと思ったらゴシマを助けに行くってんでびっくりしたんだぜ。」
「うん。俺たちもすぐに準備してそのまま夜に飛び立ったんだよ。どうしても距離があったし、婚約者の事もあってお知らせとお願いをさせて貰ったんだ。間に合ってくれて本当に良かったです。ありがとうございます。」
「当然の事をしたまでさぁ。」
「だから慌てても何か口元緩んでたんだな。」
少し肉を食べて続きを話す。
「ゴシマでは船の上の戦だった。初めてだったから少し緊張したよ。」
「前日にシーが嵐を起こして半分帆船を沈めてたからねぇ。魔法封じが効いてきてなければあの子だけでも行けただろうけど、それじゃあアレに気づかずあの子達はお陀仏だっただろうさ。」
「あの子達?」
「魔法封じの装置が船底に仕掛けられててね。子供達の能力と魔力で動かす物だったのさ。親兄弟は人質を取られ戦に参加している形だったねぇ。」
「許せネェな!!!」
ガン!!と酒のジョッキを机に叩きつける。
「確かに許せないけどそこは私の出番さぁ。時間は掛かっちまったけど分解して無効化、子供達も救出したよ。」
「本当に来て頂いてありがたいと思いました。よっ魔道具の事なら世界一!」
「それ程でもあるよぉ。」
謙遜する気無し。それでも本当にこの人の技術に救われた。
「5つの船が接岸しようとしてたんだけど手分けして攻略。最後のトドメは魔力を解放されたイセ様の特大光球を最後尾の船にぶつけてカケラも残さなかった。」
「1番反対側の船にいたのに本当にデカくて眩しかったなアレ。ガサでの共闘の時も凄かったけどあんなの反則級だぜ。」
みんなでアレはすごいのオンパレード。この街の住人のミクニは恐ろしいやら頼もしいやらと複雑な表情だ。
「戦の後、ゴシマとも友好を結べたけどもやはり子供を人質に等許せない行為が多いからね。各国の事業の後にキサガナルの王をシメてくるって段取りになってる。今はこんな感じ。」
一通り話を終えて飯も食い終える。
「はぁー突拍子もない事になってんなぁ。よくもまぁ次から次へと。」
「退屈はしないよ。 あと従者も2人増えた。その事も話しておきたい。」
「2人もか?」
「ああ1人はポーゼ。俺を暗殺しようとした下手人。」
「はぁ?!自分を殺そうとした奴を従者にしてんのか?!大丈夫なのかよ!」
「まあ理由があってやってた事だからね。それを許す代わりに従者として一族をまとめてガサとソーア間の護衛と、ここベルレ・ガルアの周囲の魔獣狩りに分かれて生活してもらう事にした。魔人族ではあるけどもこちらに粗相をした瞬間一族全員俺が射殺するって言いつけてあるから滅多な事はないと思うけど街側の一般人として目を光らせて置いて欲しいんだ。」
「御目付け役って事か。」
「出来れば友好を深めて欲しいぐらいだ。」
さっきまでの陽気な雰囲気が一気に落ち着く。
「魔人族がどれだけ人間族を下に見てるか‥‥。それでも俺にやってほしいって事か?」
「ああ。頼む。」
この程度の人数を結び付けられねば調和など夢のまた夢だ。この街の一般人で顔利きなのは俺の知り合いの中ではこの男しかいない。
グビーーっと酒を飲み干し
「ぷはっ!ああ良いぜやってやるよ。ダチの頼みだからな!」
「感謝するよ。もしもの時は俺に言ってくれ。」
「おう。」
乾杯して了承。
「もう1人はツバサ。ミヤーザの元戦士。」
「ツバサ隊長か!!!!???」
「知ってんのかい?」
「北部戦線で活躍してた隊長だよ!俺も冒険者時代に成り行きで一戦参加させて貰ったがあの剣は見事だった。噂じゃあ味方の命を救う為クオカーフの捕虜になったって聞いてたが‥‥。そうかカナリが解放してくれたのか。良かったなぁ。」
酒をお代わりして今度は祝いの乾杯。
「ゴシマで一緒に戦ったっすけど見事な剣捌きに身体能力だったっすよ。」
「伸びがあるというか流れる様に剣が相手に届くんだよな。」
「そんな感じだったっす。お陰でボクは捕縛に専念出来たっすよ。」
そうなのか。見たかったけど今後も見る機会はあるだろうからその時確認しよう。
「今は久々のミヤーザという事でロームに里帰りさせて来た。3日後には合流して各国を巡る手筈だ。」
「その時に挨拶させて貰うよ。じゃあ今日はこれでお開きにするか。どうせ明日も色々とやる事あんだろう?風呂入ってゆっくり休め。」
「そうするよ。」
ここで解散。アワラの湯に入って身体をほぐし、寝室へ。つまり‥




