帰還と段取り
ツバサをロームに置き、俺達はベルレ・ガルアに帰還する。
「よくぞ戻られましたカナリ様。イセも大事ないか?」
ガルツ神官には逐一連絡を入れて状況をお知らせしていたがやはり戦とあっては心配だったようで目の下がクマで酷い顔で出迎えてくれた。
「今回でガサ、クオカーフ、ゴシマと友好を結ぶ事が叶いました。ここミヤーザにもベルレ・ガルアにも利がある様にはなったと思います。」
「魔人族の国2つと友好とは流石カナリ様。短期間でここまでとは感服致します。」
「急遽とはいえイセ様を戦に駆り出す事となり申し訳ありません。」
「いえいえ!確かに戦と聞いて心配はしておりましたが他ならぬシーさんの国の一大事ですから。魔法学会でもお世話になっていた人の窮地に駆けつけるのは当然の事です。行かねば無理矢理でも行かせる所ですがイセに限ってそんな不義理は致しませんので、無事に帰ってくる事だけを祈っていた次第です。」
送り出すけど怪我だけはしないで、と。インターハイに出場する子供を見送るような感覚なのかな?
「こちらの事業の進捗状況をお聞きしたいです。メキは指示通りノクトちゃんの休養に向かって。イセ様は例の人集めの声掛けをお願い致します。」
「分かったぜ主。」
「分かりましたわ。」
2人は退室し、チャルと2人でガルツ神官とフルイチさんとルオカさんの状況説明を聞く。
催し物の件は先日投票が行われ、大食い大会が1位、運動会が次点であったらしい。大食い大会の種目になる品定め中との事。俺からはジャー油で焼いたとうもろこしことシャキットを推薦して置いた。俺が出たい。
けん玉など木工の普及の件はけん玉作りがようやく量産出来た具合でまだ出荷にまでは至っていなかった。留守にしていた数日間でそこまで伸びているのなら良好と判断し、今後の販路の予定を確認していく。王都とソーアに向けて先ずは運ぶ事で落ち着いた。
鳥獣害対策と補助についてはギルド登録の冒険者達がやる気を出して仕留めてくれた為ポガポガの肉は他に保管を依頼しなければならない程に膨れ上がり、作物への被害は例年の4割程度にまで激減。報奨金確保の為にもポガポガの保管と付加価値を付けて加工販売を早急に行う必要が出て来ていた。酢ポガ作りにガサからジャー油、ビーネを運ぶ段取りと北部にあるセサの加工油とバクス粉で肉まんの製作などを提案する。それらをギルドで行う事は領分でもないので各食堂で加工して御持ち帰りで旅のお供にして貰う事を提案した。合わせてギルドには狩猟民族の派遣でより鳥獣害を防ぐ為と運搬護衛の為の人員強化を話す。人員はすでにこちらにも派遣している事はガルツ神官へのお知らせでも了承済みだ。屯所となる場所の確保を街の地図を見ながら決定していく。ギルド御用達の宿屋の近く、つまり冒険者と連携が取りやすい位置に設定し、これでポーゼの一族が来ても共同戦線をする為のコミュニケーションも取りやすいだろうと采配する。
「教育に関しては先程イセ様に頼んだイセ様世代の子供達に明日、1回目の教室を開き、その反応次第で今後を決定して行く所存です。今後は魔人族の出入りもある為、余計な勘繰りや諍いも想定に入れて条例を制定しましょう。まずは楽しい祭りの成功を目指すことと農作物の収穫期の豊作目指して行く。これで。」
了解です。と全員が了承し、会議は終了する。これをソーア、ガサ、クオカーフでまた行うというのを数日間でやる強行軍だ。世界を股にかけてる感あるなぁ。
「お疲れっすご主人。アワラの隣の家は万全らしいっすから行って晩御飯にするっすよ。」
外は日が落ちかけており、昼抜き状態の為に大分空腹だ。チャルは見越して提案してくれる。
「ではサウ車を手配致します。」
「いえ。頭を落ち着かせたいのとギルドに寄って肉などの補充をしたいので歩きで行きます。ご配慮に感謝します。ではまた明日。」
「どうかゆっくりと御休み下さいませ。」
こうして屋敷を後にしてギルドへ。
「おう!言ってた通りちゃんと帰って来たな!」
ギルドマスターのトウさんが元気よく迎えてくれる。
「何とか無事に戻りましたよ。3カ国と縁を結べましたので明後日にはまた立ちますが。」
「忙しいこったな!肉はたっぷりとあるから出立した時に言ってた分に上乗せして渡すぜ。それに油もな。」
「ありがとうございます。流石に全部無くなってしまっていたので助かります。あちらで予想していた調味料も見つけ、新しい料理も色々作る事が出来ました。ガサで普及量産の段取りをしていますのでこちらでもいずれ。」
「そいつは楽しみだ!」
肉とラードを受け取り、今後の肉の扱いや狩猟民族の派遣の件について段取りをする。
「冒険者達もそろそろ移動する時期だから常在がいるのはありがたいな。保管場所管理もしてくれるならこの上無しだ。ウチとしては少し管理に人材雇用をすれば行けそうだ。やっておくぞ。」
「よろしくお願いします。」
ギルドを後にしてアワラへと向かう。宿の直前でメキとリューコさん、そしてダチのミクニが待っていた。
「よお!お疲れさん!色々と話を聞かせてくれよ。」
「土産話には事欠かない数日間だったよ。腹減ったからまずは飯だ。」
「応ともさ。食いながら飲みながら聞かせて貰うぜー。」
という事でみんなで食事。




